米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

1/9 売るか、売るまいか、迷っている方へ...

 2022年に突入して、初日から数日間は活況でしたが、FRBが12月の会合議事録を公表したとたん、市場を取り巻く雰囲気が激変しています(あくまで報道からの情報に拠りますが・・・)。つまり、株価を図る物差しとして【PER】が前面に躍り出てきたのです。

 【PER】:  株価が「1株当たりの当期純利益(単に1株当たり利益、1株益ともいう)」の何倍になっているかを示す指標。

 例えば、PERが10倍であれば、1株あたりの純利益の10倍まで買われていることになり、投資した資金の回収までに10年かかると言う見方になります。

 但し、上記計算式は「成長率が0%」として計算したものなので、年率複利で15%超の成長を遂げる企業の場合、7年もあればPERが「0」になってしまいます。

 一般的に、PER12~15が妥当と言われていますが、ハイテク系や製薬系など成長率が飛躍的に伸びる業態の場合、高めのPERまで買い進まれています。それが、今、売り込まれているのです。

高PER銘柄とは...

 株式市場には様様な投資家が集い、多種多様な考え方が幅を利かせています。この中で「高PER銘柄とは」の問いに対して「この数値だ」とは断言できません。しかし、誰でも納得するのは、今、アップル株やマイクロソフト株が売られている事実なのです。

高PER銘柄の基準を推測すると...

 両雄は、次の点でスタンダードとして扱っても良いのではないかと考えています。

  1. 四半期配当の支払いを確実に実施していること。
  2. 時価総額が1兆ドルを超えていること。
  3. 世界で活動する多国籍企業であること。
  4. 個人投資家の人気銘柄であること。
  • アップル株 : PE Ratio (TTM) が 30.69
  • マイクロソフト株 : PE Ratio (TTM) が 35.13
  • (参考)アマゾン株 : PE Ratio (TTM) が 63.62
  • (参考)テスラ株 : PE Ratio (TTM) が 335.39
 ここから推測すると【PER30】を超えたら『高PER銘柄である』と、言い切っても間違いないのではと思います。一度、皆さん方が保有されている銘柄のPER値を書き出してみて下さい。

売るか、売るまいか...

 ここまで読んでいただくと、もうお分かりですね。保有している銘柄の企業成長率を将来どれぐらい見込むかということなのです。過去数年の成長率の伸び率、そして今後数年先までの成長度合いの伸び率を頭の中で巡らせて「数値を弾く」ことが大事です。自分自身の直観力、構想力を信じて『売るか、売るまいか』をお決めになることです。判断するのに参考例としては、次のようなものがあります。

身近な例を引き合いに出して自問自答してみる・・・

 例として、アップル株とマイクロソフト株を引き合いに引き出します。次のような問いに自問自答して、身近な範囲で未来予測を行うことが大事です。

  1. 貴方のスマホは「アイフォン」ですか、それとも「アンドロイド系」ですか?
  2. 近い将来、「アイフォン」もしくは「アンドロイド系」以外のスマホ占有率が増加すると思いますか?
  3. 近い将来、欧米日において、一人一台のスマホ保有に近づくと思いますか?
  4. 貴方のPCは「マック系」ですか、それとも「ウィンドウズ系」ですか?
  5. 近い将来、「マック系」もしくは「ウィンドウズ系」以外のPC占有率が増加すると思いますか?
  6. 近い将来、欧米日において、テレビジョンがPCに取って代わる、あるいはPCがテレビジョンに取って代わる、いずれの勢いが勝ると思いますか?
  7. マイクロソフト社製「Officeソフト」に取って代わる『ビジネスアプリケーション』の占有率が高まると思いますか?
  8. 世界におけるクラウドサーバー占有率が激変すると思いますか?
  9. 課金ビジネスの勝者を求めるならば、アップル社かマイクロソフト社、その他企業のいずれだと思いますか?
  10. 欧米日の政府から、独占禁止法違反を告発される可能性が高いのは、アップル社かマイクロソフト社のいずれだと思いますか?

 上記の問いに、独自調査の上で自問自答され、あなたはアップル社、マイクロソフト社のいずれの将来に軍配を上げますか? それとも両社とも拒絶しますか? あるいは両社とも取り込みますか? さて、貴方はいずれでしょうか...?

「今売って、後日に安く買い戻す」手法が通じるのか?

 一言、これがズバッと決まれば株で損はしません。宮本武蔵ではないですが、私は『株の極意は【売ることである】』を真理だと見ています。どのタイミングで売るのかが最も難しい事なのです。買いではありません。売却後、売却した銘柄の株価が上がり続けるのか、下げ続けるのか、未来のことが誰も分からないからです。

利益が生じている銘柄か? 損失になっている銘柄か?

 『確実に売り・買いを決める時は「成行売買」に限る』と有段者の談にあります。仰るとおりで反論など毛頭ありません、そのとおりです。
 私の売り対応としては、利益が生じている銘柄の場合は「指値」、損失になっている銘柄の場合は「成行」を執ることが多いです。損失が出ている時は、これ以上の損失を止めるのが先決で、利益が出ている時は「まぁ成約を逃しても次がある」という楽な気持ちになっているからです。

直近例として、私の「QQQ」売却を引き合いに出すと...

 私事ですが、昨年12月29日に403.58ドルで「QQQ」全株の売却予約を市場開始前に入れました。前日の勢いからこの株価で成約が可能と踏んでいたのです。結果、403.05ドルが最高値、401.55ドルが終値でした。ここで引き下げるのが投資家としてまともな対応なのですが、翌日へ同価格で持ち越しました。

「分かっちゃいるけど指値が止められない」

 12月30日は403.57ドルが最高値、400.35ドルが終値で成約ならず。12月31日以降は、さすがに402.58ドルへ引き下げて、売却予約を入れ直しましたが、1月4日に記録した402.28ドルが天井で、1月7日の終値は379.86ドルまで急落しています。結果、莫大な「得べかりし利益」となりました。売却の際、理性が狂ってしまい、まともな判断ができにくいものです。

現金化は理性を狂わす?

 幸いにも、12月28日に「QQQ」89株を売却していて、多少は救われています。しかし、この日は何を思ったのか、フィリップモーリス株とAT&T株の一部売却までして「損切りと現金化」に精を出しています。一瞬でも現金化に舵を切ると、他に売るものはないか、邪気のように目を皿にした自分が居たような記憶が残っています。


編集後記

 何だかんだと書き綴ってきました。「未来新聞」なるものがあって、1銘柄だけでも明日の株価が分かるなら「全力買い」、もしくは「全力売り」するのですが、実社会ではもちろん適うことはなく、あれこれ思案しながら自分で結論を出すしかありません。
 ここに株式取引の難しさと醍醐味がある訳で、貧富の道しるべを自分自身が選べる、正に理にかなったシステムなのです。生を受けたからには、これを利用しない手はありません。


1/9 売るか、売るまいか、迷っている方へ...