米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

1/10 米国株の暴落を煽る、マスコミとアナリスト達…

 1月6日、FRBから12月の会合議事録が日本時間の午前4時頃に公表されて以降、アメリカ株式市場では、今まで牽引してきた高PERハイテク銘柄が売られ、脇に退けられていたディフェンス銘柄や景気敏感銘柄が盛んに買い進まれるようになりました。
 銘柄選考の潮目がガラッと変わったのです。もちろん、オミクロン株蔓延を懸念して株式投資そのものに後ろ向きとなった側面はありますが、【利上げ】というバズーカ砲の衝撃は想定以上に投資家に重くのしかかっています。

急に勢いを増した【米国株暴落説】

 ここでよく彼等が持ち出すのは、シラー指数やバフェット指数などの暴落説を補充する指数の話題です。

 次に、2008年のリーマンショック前(サブプライムローン崩壊)にFRBが急速に金利を引き上げた事例です。その後、リーマンショックによる株式市場の大暴落が起こり、あたかもFRBの金利引き上げがリーマンショックのスイッチを押したかのような印象を与えるので、彼等にとっては好都合の事例となっています。

 このリーマンショック前の米国利上げに関して、日本も金利を仲良く引き上げています。当時の記憶を辿ると、アメリカ財務省やFRB幹部が大挙して日本に訪れ、政府高官と【支援・救済】の会合を重ねた記憶があります。その時、強力に日本の利上げを求めて日銀総裁と膝詰め談判したのがFRB理事長です。

 日本のマスコミからは「サブプライムによる金融危機は、米国の国内事情に留まって日本は影響を受けない」説が流布されていましたので、何故に日本が利上げする必要があるのか、私は不思議でなりませんでした。

利上げの裏に秘められた米国株暴落への懸念

 インフレ抑制の天下の宝刀は【利上げ】であることは論を待ちませんが、逆に経済が変調を来たしそうな時、あるいは変調を来たした時に打てる大砲は、① 財政支出 ② 利下げ これら以外に即効性のある手段はありません。
 上記の引用欄で記したようにリーマンショック前に日米欧ともに急速に利上げを進めました。主要な中央銀行におけるリーマンショック前の利上げ開始時期は、次のとおりです。

  • 2003年10月~:BOE
  • 2004年6月~:FRB
  • 2005年12月~:ECB
  • 2006年7月~:日銀

 2007年11月頃から米国株式市場では悪化傾向が顕著となり、2008年9月15日に米証券4位のリーマンブラザーズが連邦破産法11条(チャプター11)を申請したことで、混乱はピークに達しました。

卵が先か、鶏が先か

 あの時、高騰する株価、商品価格に対抗するが如く、各国の中央銀行は利上げを粛々と進めたのです。今、振り返ってみると、地を這うような低金利が続いていた状態で、株式市場が変調を来たし暴落すれば、策に【打つ手がない】状態となるので、関係者は利上げを急ぎ、躊躇していた日銀へも利上げ圧力を掛けた。と私は解釈しています。

  1. 主要国が利上げを淡々と進めたことで、世界の株式市場は暴落したのか?
  2. いずれやって来るであろう株式暴落時に、利下げする「のりしろ」を確保する為に前もって利上げしたのか?

 『卵が先か、鶏が先か』の議論であり、その人の置かれた立場や立ち位置によって見方が変わることでしょう。参考までに、ITバブル時の利上げ開始時期も次に記します。

  • 1999年6月~:FRB
  • 1999年9月~:BOE
  • 1999年10月~:ECB
  • 2000年8月~:日銀

 2000年4月頃から米国株式市場では悪化傾向が顕著になったとの記録があります。このように見ると、ITバブル時やサブプライムローン崩壊時共に同じような動きに見えてしまうのは私だけでしょうか?

日銀が利上げした以降が要注意?

 ITバブル時とサブプライムローン崩壊時の直前に、日本銀行が利上げを始めました。たまたまの偶然なのか、何か因縁めいたものがあるのか? とにかく、過去のデータから日本銀行が利上げに動き始めると要注意です。

推論の結果

 マスコミは真実を告げることだと幼少の頃から教わってきました。命を賭してでも事実を曲げない事だとも...。アナリストは持説を広く民衆に伝え、為政者の犠牲にならないように導く者たちであるとも...。生活資金を当該企業や各種団体から受け取っていることなど、微塵も考えたことはなかったです。
 下図は、S&P500種の10年間チャートです。見事な右肩上がり、一時的な変調・不調時期があっても、米国株が上り続けていることに変わりはありません。
 この先、過去10年間のS&P500種の実績に信頼を置くのか、それとも巷の暴落説、崩壊説に与するのか、それは貴方自身が決めることです。

1/10 S&P500種の10年間チャート

前週の動向

 では、前週のポートフォリオの纏めを見ると、こうも両極端に傾向が現われるのはとても珍しいです。今まで、牽引して来たハイテク系銘柄を厚く内包するETF(QQQ等)が値を下げ、低いPERのまま放置されてきたタバコ銘柄や通信銘柄、ETFにおいてはエネルギーXLEと銀行XLFが評価益を大きく増加させています。それもー週間という超短期間の間にです。突然に何が起こるのか、未来予測の難しさを実感しています。

1/10 前週の動向

編集後記

 「いつかは、雨じゃろかい」を叫び続けていれば、必ず雨の日がやって来ます。それと同じで、株価暴落を叫び続けていれば、叫び続けて「家族を育めていれば」、いつかは市場暴落がやって来ます。大雨の時、貴方は外を歩き回りますか? 小さい時、母親に「雨の日は家の中でじっとしていなさい。」と諭されたことでしょう。
 株価暴落前に自分だけ先逃げしようとするから「悩む」のであり、「落ち着かない」のです。そして、皆が逃げるから株価調整の谷が深くなり、受ける傷も深手となるのです。【そうは問屋が卸さない】の言葉を噛みしめましょう。結局、なるようにしかなりません。


1/10 米国株の暴落を煽る、マスコミとアナリスト達…

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