米国株 -『正しいものは美しい』

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3/27【番外編】悩み多き「AT&T のスピンオフ」対応...

 今日は、近々に実施される「AT&T スピンオフ」に関して覚書程度ですが、皆さん方と悩んでいきたいと思います。いろいろなブログ等で他の方も取り上げておられますので、私としては主に税金面でお話ししたいと考えています。

スピンオフ後、「一般口座」へ強制移管される

 代表的な日本のWEB証券会社の対応は次の如くです。それぞれのWEBサイトで確認することができます。一般口座へ強制移管されるのは共通ですが、「親会社の株式の口座区分はされず」となっているマネックス証券対応は良しとして、他の2証券会社は親子共々【特定預かりはお払い箱】となります。
 *私感ですが、この2社は、後々、国税からイチャモン付けられるのを避けたのでしょう。一般口座に入れてしまえば、投資家の税対応となり、個人責任に転換することができますから...。所詮、世間とはこんなものです。

SBI証券

スピンオフの注意事項

 A株がB社をスピンオフ、とのコーポレートアクションを発表した段階で、A社もB社株も一般口座に払い出されます。また、A社株、B社株ともに単価調整は行われず取得単価はA社株で特定預かりの際に購入した際の取得単価を、「参考単価」として表示します。

楽天証券

 特定口座で保有していた海外株式に、非整数倍の株式分割(無償割当)、株式配当等のコーポレートアクションが発生した場合、特定口座から一般口座へ払い出された後に、コーポレートアクションの手続きがおこなわれます。なお、コーポレートアクションにより一般口座に払い出された株式を再び特定口座へ移すことは出来ません。*未確認ですが、NISA口座の親株はそのままNISA口座で管理されている方の記事がありました。

マネックス証券

 原則として、保有していた親会社の株式の口座区分は変更されず、スピンオフした子会社の株式は一般口座に入庫いたします。*未確認ですが、NISA口座の親株は一般口座へ強制移管された方の記事がありました。

参考ブログ

肝要なのは

 要は、一般口座へ強制移管された時、今まで行ってきた「円貨における取得価格」と「時々のドル/円の為替価格」を銘柄1株毎で把握できているか否かです。
 移管された時点ではなく、取り引きを行ったその時点です。数株単位の保有であれば、交付された電子報告書を丹念に繰れば個々に把握できますが、数百株単位ともなると、これは現実的ではありません。

一般口座扱いは、個人対税務署との関係 

 特定口座扱いであれば、国税と証券会社がタイアップして対応していますので、我々個人投資家は対応不要です。しかし、一般口座扱いとなると、投資家個人対所轄税務署との関係になりますので、税の還付と支払いはこの2者の交渉で行うことになります。

 何故に【一般口座】なるカビの生えた遺物が未だ残っているのか、私なりに推測すると、次のようになります。

① コンピュータがなく、手書き処理であった時代の遺物。

② 売買手数料が高額で、頻繁な売買を想定していない時代の名残。

③ 証券会社の株式保護預かり(有料、売買の勧誘電話が煩わしい)を嫌がり、株券発行手続きを行っていた方が多かった時代の名残。

④ 長年に亘り、外為法の壁が厚く、外国株式市場へ円貨ではなく「現地通貨」で投資するなど想定していなかった時代の遺物。と推測されます。

スピンオフ前に売却する方策

 何事もシンプルにスマートに対処することがベストですから、煩雑さを避ける意味から「スピンオフ」前に売却するのも一考です。スピンオフ後、特定口座で買い込めば済むことですから...。

スピンオフ後の「子株」の取り扱い

 無償で払い出されたスピンオフ後の「子株」の取り扱いとしては、【取得価格=0円】となります。日本では、『みなし配当』の取り扱いで処理されます。この考え方は国税の見解です。よって、売却額=売却益に等しく、全額課税対象です。

立ち塞がるのは『円安』の現状

 私もこのように考えていたのですが、昨今、大きく急ピッチで円安が進んだことで考えが少しばかり変わってきました。保有し続けるのもいいのではないかな?と...。当該銘柄と縁切りするのであれば「売却して、さようなら」ですが、スピンオフ後の同銘柄の新規買いを考えるならチョット待ったです。

ますます進む円安?

 これからも米国では利上げを急激に進める腹積もりであり、日本国はマイナス金利の現状維持を決めています。円安が益々進行するのではあれば、手持ちドルから支払うと雖も、取り引き時点でのドル/円の為替価格で特定口座に記録されます。ドル貨では安値であっても、円貨で見ると「割高な株価」となっている銘柄を購入することになりかねません。

株式売買を確定申告するデメリット

 私は、煩雑さで確定申告を回避したいとは考えていません。税の申告を正しく行うことは国民の義務ですから、至極当然のことです。

原則、「特定口座の源泉徴収あり」は確定申告が不要

 株式売買には「特定口座の源泉徴収あり」を選択できますから、これをチョイスしていると納税行為は加入の証券会社が代行して完了してくれます。名実ともに納税からフリーになる訳です。
 と、同時に確定申告が不要となるので、国・都道府県・市町村の公的書類に株式売買の貴方の利益額(納税額)が掲載されることはありません。とどのつまり、利益額を低く見せることができるのです。

確定申告を行うと、株式売買の利益が表に現われる

 例えば、年間の配当額が300万円受け取っていたとしても、「特定口座の源泉徴収あり」を選択していれば確定申告不要なので、300万円の収入は不掲載となります。しかし、事情があって(損益通算の申告等)確定申告を行うと、300万円は正規に貴方の収入して表に現われます。マイナンバー制度が取り入れガラス張りになっていますが、これはデメリットの最たるものです。

SBI証券を例にすると...

 ここで、SBI証券を例にして解説します。MyポートフォリオにおけるAT&T株の保有状況は以下のとおりです。これは、https://global.sbisec.co.jp/Fpts/czk/secCashBalance/search/US#here のURLで閲覧が可能になっています。

ドル/円の平均取得単価等を求める

 一般口座に移管されてから大事なのは、次の3項目です。全て上図から見て取れます。これら数値は、スピンオフ時点でなくても保有株式数を増減させていなければ不変です。

  1. AT&T 2206株の平均取得単価は、[円換算額] / [取得単価] = 115.4776....円であること。
  2. AT&T 2206株の取得金額は、54,730.86ドルであること。
  3. AT&T 2206株の取得金額の円換算額は、6,320,190円であること。

 これさえ把握しておけば、一般口座で保管中の同銘柄を売却、所轄税務署への確定申告時に必要な項目を記入できます。

日本在住者は、円貨に引き直して確定申告がなされる

 このブログをお読みの読者は日本国在住者とお見受けしますので、外国株式取り引きの清算は日本円に引き直して行われます。上記のAT&T株は、平均購入価格の円為替が115円台なので、大きく為替差益(122円-115円=7円/$)が生じています。その額は、何と概ね 52,591ドル×7円=368,137円です。

堂々と確定申告を行う

 このURLページを印刷しておき、確定申告時の添付書類として「AT&T」項目に蛍光ラインマーカーを引いておきます。1~3も記載しておいた方がベターかもしれません。個別の取り引き明細など不要だとー私は思いますー。何故なら、大企業であるSBI証券が公表している書類なのですから、素人作成のものより確かです。

毎年1月から、手書きでも、確定申告はOK

 よしんば、国税のWEBページにある自動計算で弾かれた場合、所轄税務署へ行って担当の方に確認しながら、手書きで「申告」することをお勧めします。必要データを持参して、書き方を尋ねるのは無料です。
 なお、サラリーマンの方なら1月に入れば確定申告ができますので、修正があったとしても3月15日までに完了しておけば加算税は不要です。確定申告後、支払税の変更がある時は「修正申告」、税還付がある時は「更生申告」と名称が変わります。

個人的な【備忘録】として

 以上の事柄は、国税に確認を取った訳ではありません。税の主旨から私が判断した類のものです。私が執り進めるのであれば、この流れで行うという【My備忘録】に過ぎないことをご承知下さい。

編集後記

 円安効果は大したものだと「株式評価損益」を見るたびに思います。例えば、2千ドルを超えるドル建て損失額が生じている「AT&T株」が、ここ数週間の円安によって、円貨建て損益では8万円ほどの『実益に転換』しているという事実に改めて驚きました。AT&T株売却で税金還付を受けられるのではなく、逆に税金の支払い対象になろうとは...です。

10万ドル以上を利確した後なのに...

 昨年12月から今年2月の3カ月間で、10万ドル以上の利益が生じていた「QQQ、VOO、IVV、VTI、VT」を全て利確売却してもなお、昨今の【円安効果、株価戻りと原油高】で、円換算額でのポートフォリオ益額が1千8百48万円台(3月25日終値、121.68円/$)へと急上昇しています。
 1円の為替動向が100万円超の影響をポートフォリオに与える程になっています。他に投資先もないことから、未だフルインベストで米国市場に居座っています。

私は円安派

 私は、日本国内の人口減が続き、2025年には65歳以上の方々が1/3超の人口を占める日本の通貨が、【円高に向かう事など考えられない派】です。よって、今回の円安を比較的どっしりと構えていますが、これだけ日米に金利差が生じていても日本の財務当局が無関心であることに、底知れぬ恐怖感を覚え始めています。
 何度も言うようですが、今回の円安を止めるには、日本の金利を引き上げる以外に手段はありません。ゼロ金利で円貨を保有する【お人好し】は日本人だけです。

途方もない「円安」が出現するかも...

 今まで「比較的安全通貨の円」と報道でも取り上げていましたが、何のことはない、『あべ・トランプ時代』が終わり、世界で日本の立ち位置が変わってしまったのです。通貨毀損で一旦転げ落ちると、止まることが利かなくなります。であれば、近い将来、150円という途方もない数値が現われるやも知れません。

資産保有はドルで...

 今、私は金融資産の12%程を円貨で、他はドルで保有しています。ドルから円へ転換すれば資産が増えようとも、円貨保有で3ヶ月分の生活費を下回らない限りは、基軸通貨のドルで資産を保有し続けます。
 日本円に固守されている方は、近々、狂乱に巻き込まれることを覚悟しなくてはいけない時代がやってくるかもしれません。少なくとも、分散は必要でしょう。

将来、マイクロソフト社がAT&Tを買収する?

 AT&TをWEB検索していると、マイクロソフトとAT&Tがチョクチョク関連している記事を目にしました。ネットワーク網を売却したどえらい記事もありました。
 ひょっとしたらですが、今、AT&Tは大口株主の意向で資産売却による負債圧縮を進めて時価総額が大幅に低下、更にメディア事業をスピンオフした後であれば、対アップル、対グーグル戦略で、潤沢な資金を持つ【マイクロソフト社がAT&Tを買収】するやもしれません。GAFAMの動向は要注意ですし、何事も一寸先は闇ですから...。


3/27 悩み多き「AT&T のスピンオフ」対応...