米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/22【番外編】経験を積んだ投資家は慌てない...

 経験を積んだ投資家は、株価が不況を予測したり、インフレの見通しから下がることがあっても、それはどちらも誤った一時的な動きであることを知っています。
 何故なら、経済情勢は誰にとっても予測不能であることを心得ているからです。インフレはいずれ鎮静化するし、不況からいつか脱出できるという堅い信念を長年の経験から培って持っているからです。

不謹慎ですが、狭心症は怖い病気です

 毎週、月〜金の5日間に亘って株式市場が定時に開かれ、いつも似たり寄ったりの理由から、株価が上下して市場は閉まります。悪い噂は、下記の「プロスペクト理論」からも、疑心暗鬼を助長して株価と評価額を押し下げます。日々、こんなのに付き合っていると、さしずめ「狭心症」になっちゃいますよ^ ^。

投資家には、哲学の心得も必要...

 株式投資にはある種の哲学の心得も必要になって来るのですが、ジョージ・ソロス氏のように成功者には自然と身に付くものなので慌てる必要はありません。逆の見方で「身に付けたから成功者になった」とも言えますが…。
 心を乱すような、好からぬ周りの金儲け談義に、近づかない、見聞きしない、触れないことが肝要です。恰も、信念がぐらつく禁煙者は、喫煙者から離れて近づかないが如くです。

金利上昇は、「必然の結果、中長期に亘る」を覚悟すべき...

 米国では好景気が続くと、消費者のクレジットカードの借入残高が、増え続ける買い物のために膨れ上がり、行きつく先は銀行ローンの増加と金利引き上げに繋がっていきます。
 ここ数年間、米国で市中金利の上昇をみなかったのは、連邦準備理事会(FRB)が政策的に金利引き下げと循環資金量の増加を図っていたからに他なりません。その為、FRBによって漏れ溢れさせられたマネーは株式市場へ入り込み、あたかも潮の満ち引きの如く『買うから上がる・上がるから買う』が繰り返されていたのです。トランプ大統領(当時)が公言して憚らなかった【株式市場の上昇=政権の通信簿】的な暗黙の後押しもあったのでしょう。


連邦準備理事会(FRB)パウエル議長

下げに向かうのは、「株式と債券価格だけ」と認識すべし...

 何事もやり過ぎると抑えが効かなくなってマネーが膨張、するとインフレが昂進して物価上昇が止まらなくなります。これに慌てた連邦準備理事会(FRB)は、金融緩和策の停止からばら撒いたマネー回収に方針をドデン返し、月々の金利引き上げを実施して生産と消費を抑制し、市中から膨張マネーを引き上げ始めました。
 短期間で済むような生温いものではなく、思いの外、月日が掛かりそうです。(1970年末頃に生じた米国インフレは、金利引き上げにも拘らず暴れまくり3〜4年の歳月を必要としました。)
 この結果、【下げに向かうのは、株式と債券価格(利回り上昇)だけ】となるのは、残念ながら歴史が証明しています。今回、更にウクライナ争乱・ロシアへの経済制裁がインフレと物価上昇の後押しを行っているので、短期間の生半可な金融抑え込みでは要を成さないことは明白です。(数年後インフレが収まると、1980年台のように株価上昇が顕著になることでしょう。)

「株式を売却、購入を思い止まる」は、インフレで収益率が劣るから...

 名うての投資家であっても株式を敬遠する動きをとるのは、「企業収益の上昇がインフレに追いつけないのではないか」という懸念が頭を擡げて来るからです。敬遠した結果、資金を何処へ向けさせるのか、と問われれば『確定利回りの有期債券投資』へと回答せざるを得ません。
 しかし、常に上昇を続ける市中金利に出遅れる事は否めず、債券を購入した途端、評価損を計上する始末ですが、なけなしの選択肢として「満期のない株式=定まらない評価額」か「満期のある債券=定まった評価額」のいずれかを選ぶことになります。あなたは、株式派ですか、それとも債券派、もっとも欲張りな折衷派ですか?

現預金は、「一時的な待機場所に過ぎず、以上でも以下でもない」...

 このような悪循環が見られても、通貨のまま時を過ごしてはいけません。現預金は一時的な待機場所であって、これ以上でも以下でもなく、価値の保存場所ではないからです。
 特に、1970年代の終わりから1980年代にかけて現われた「米国版インフレ期の現象」を思い起こせば、不安に慄き先に先にと手段を講じたくなるのも分かりますが、ものには順序というものがあり、時が成すまで様子見も必要なのです。
 これから胎動し始める諸事を考えると、ここ1カ月程に見られる米国株式の株価戻し、上昇など、ちゃんちゃら不可解な現象であると言わざるを得ません。

「下げ相場では忍耐力を試される」のは、毎度のこと...

 売りものが増えて平均株価が下がっても、米国経済の未来が毀損を受ける訳ではありません。下げ相場では忍耐力を試されるのは毎度のことです。増して、ご丁寧にも、証券会社が保有株式の時価評価額を計算して、目の前に表示させてくれるのは『人間心理を突いた株売りを促して、自社の手数料収益を上げる』ためだけです。
 遊園地に来園した者には乗り物にお金を使わせるのが経営の第一義であり、持参した弁当を食べる場所を提供するだけではないのと同じです。証券会社や銀行が嫌がる、眉を顰める行動こそが、貴方に利益をもたらしてくれます。そのためには『我慢』の二文字です。

プロスペクト理論

 マーケティング手法を学ぶにあたって、消費者心理を把握・誘導するための重要な指標である『プロスペクト理論』をご紹介しましょう。
 「意思決定」には、客観的事実だけでなく、貴方が置かれた状況、立ち位置も作用するため、ある種の感情などが『ゆがみ』をもたらした結果、合理的な意思決定がなされないことがあるというものです。この理論、下げ相場の株式売却にそのまま当てはまりそうです。
 プロスペクト理論は「価値関数」と「確率加重関数」から成り立ちます。どちらもマーケティングの手法を学ぶにあたって、消費者心理を把握・誘導するための重要な指標です。


プロスペクト理論

プロスペクト理論の「価値関数」

 価値関数とは、「人が感じる価値と客観的な価値の間には差がある」という傾向のことを言います。
 この傾向には『損失回避性』が大きく影響します。『損失回避性』とは「損をすることに対して過剰に恐怖を覚える性質」のことで、「同じ金額であれば、利益を得る喜びよりも損をする苦痛の方が大きく」感じられることを言い表しています。
 上記の図表では、「1万円を得る嬉しさの心理的価値」よりも「1万円を失う悲しさの心理的価値」が大きいことが判ります。人は損を避ける、損をしたくない動物なのです。

プロスペクト理論の「確率加重関数」

 確率加重関数とは「客観的確率が低いときには過大評価」し、「客観的確率が高いときには過小評価」するという傾向のことです。
 宝くじを事例にすると、宝くじで1等や2等を引き当て、大金を手にする確率は限りなくゼロに近いですが、「ひょっとすると1等が当たるかもしれない」と過度の期待(過大評価)をする傾向にあります。【宝くじは貧乏人に課せられる税金】と言われる所以です。
 一方で、自身の生命に関わるような手術で「成功確率は80%です」と言われても、「万が一、失敗したらどうしよう?」と確率を過小評価して、不安に感じてしまう人もいるでしょう。このように、人は客観的な確率どおりに物事を受け留められず、状況や希望的観測によって認識に差が生まれるのです。

プロスペクト理論の特徴

  1. 金額が大きいほど価値が小さく感じてしまう。
  2. 損を避けることを優先する傾向がある。
  3. 確率の認識は正しいとは限らない。
  4. 有利なときは安定志向で、不利なときはリスク志向になる。

 投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応して、「収益がある場合は損失を回避する傾向がある」と言われます。具体的には「少額利益であっても、株式売却して早めに確定してしまう」ことが一例です。


プロスペクト理論の特徴


 また、収益が出ていて伸び続けているときには安定のまま維持することを望みます。具体的には「株価が高値圏にある時は売却できず、買値付近に戻って狼狽する」ことです。
 一方で、損失が出ているときには、リスクを冒してでも損失分を取り戻そうとするのです。具体的には「最終レースに電車賃まで注ぎ込む競馬マニア」「昼飯代までを注ぎ込むパチンコ狂」などです。

編集後記

 企業では、プロスペクト理論の応用として「返金キャンペーン」「期間限定キャンペーン」が行われていて、頻繁に案内が届きます。人間心理につけこむ商法です。何気ないものでも、ある種の理論に裏打ちされている場合が多いのに驚きます。
 このような理論武装はユダヤ人が得意とするもので、日本人と縁遠い『哲学に由来する』ものなのでしょう。株式投資は哲学と心理学さえマスターすれば、経済学や会計学などは添え物程度でOK。これ納得です。


8/21【番外編】確実に利益が出る「オプション取引」...