米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/29【番外編】株を買わないと、落ち着いて眠れない人へ...

 8月26日、米国株式市場の「ダラダラ下落する、自棄(ヤケ)下がり」を目の当たりにした投資家の憤懣や葛藤は、土日の2連休を挟んで幾分、落ち着いたでしょうか?


8/29【番外編】株を買わないと、落ち着いて眠れない人へ...

1980年前後の米国、インフレ退治に多大な苦労...

  私などは、1980年前後に米国で起こった高インフレに対するFRBの対応からして、インフレ鈍化へ少なくとも2年~3年の歳月が必要と見ています。最後の締めの段階では、最大6~7%台へ金利引き上げが急騰することも頭の片隅に置いています。

「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」

 26日の講演で、「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と言い切ったパウエル議長。ここで【歴史】を持ち出したという事は、1980年前後の米国を念頭に置いているのは論を待たず、市中金利を15%へ引き上げた当時のボルガーFRB議長とタブらせているのは間違いありません。インフレが鈍化(概ね2%)する端緒が見え始めるまで、金利を引き上げ続ける強い意志を強調したのです。

同期の日本、定期預金5.5%・住宅ローン金利7%台が一般的...

 日本でも1980年前後、1年定期預金の利回り5.5%、20年住宅ローン金利7%台が一般的でした。この利回りと金利水準であれば、定期預金を主体に株式投資など敢えて不要ですし、不動産購入など「頭でっかちの頭金」や「積立定期預金」を求められ、手に入れるなんて夢のまた夢。政府が用意した団地住まいがベースとなるのは必定でした。日本人が今尚、預金派が主体なのはこの名残でもあります。


8/29【番外編】株を買わないと、落ち着いて眠れない人へ...2


 さぁ、古い話はさて置き、週始めのおめでたい日ですから、今年の金融市場やFRB等中央銀行の動きを簡単に振り返っていきましょう。

金融緩和の停止から資産売却、金融引き締めを公言...

 2021年末頃から米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、コロナ禍対策として続けていた「金融緩和政策」を停止、「FRBが市中から買い上げた資産の売却」と「市中金利の引き上げ」も進めると明言して、翌年春先以降、粛々と実行し始めています。

S&P500種がピーク時から20%程下落した後、戻し始める...

 すると、さすがの米国経済においても、好景気を維持、裏打ちしていたデータ指標が崩れ始めました。米株式市場の平均株価(S&P500種)がピーク時から20%程下がる時期になると、猛威を振るっていたインフレ上昇率に低下の兆し(対前月比)が見えたのです。
 こうなると、景気悪化を防ぐ意味合いから「FRBは引き締め策を緩めて、景気に配慮する筈である論理」が幅を利かせるようになり、債券利回りが低下、株買いも強くなって平均株価がジリジリと10%程戻しました。

市場の一部に『債券買い(利回り低下)+ 株買い』の動きが...

 早合点が強い輩などは、2023年明けにはFRBが「利上げ停止」から「利下げへ向かうのでは?」を掲げて、『債券買い(利回り低下)+ 株買い』を煽る始末でした。
 昔から『嘘も100回言えばホントになる』の俗論があるように、金融市場が「市場の雑音」にあたかも耳を傾けた様相が見えたのです。

26日、ジャクソンホール会合でパウエル議長が持説の金融政策を講演...

 市場に広がる【インフレ抑え込み楽観論】【金融引き締め緩和論】に業を煮やしたFRBパウエル議長は、26日のジャクソンホール会合で米国民、会合出席者、主要マスコミ向けに講演を行い(概ね8分40秒)、「7月のFOMC後の記者会見内容」や「7月の連邦公開市場委員会の議事要旨」と違わず、同じ基調ながら改めて「米国の金融当局が近々に既存方針を転換するとの見方を強く牽制」しました。

インフレ鈍化への「臥薪嘗胆」を、米国民と米国企業へ要請...

 そして、より具体的に「インフレを根絶するために利上げを継続し、金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いこと」を示唆すると同時に、「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、家計と企業に痛みをもたらすことにもなる」と、インフレ鈍化に対する【臥薪嘗胆】を広く米国民と米国企業へ要請しました。

講演終了後、ダウ平均が1000ドル超の下落で応える...

 講演終了後、株式市場がすぐさま反応し始め、同日午前中にはダウ平均が500-600ドル下落、場中で一度も株価を戻すことなく、終値は1000ドル超の下落となって『パウエル議長講演後の反応』を見せ、8月中の株価上昇を吹き飛ばしました。
 但し、債券市場及び為替市場の動揺は想定以下に止まり、まるで「株式市場だけが独り歩きしていた」ことが白日の下に晒されました。

金利引き上げは、まだまだ序の口である...

 FRBは物価下落まで想定していなく、物価上昇率が2%内に収まれば「よし」とする腹積もりです。その比率が見通せるまで「景気を冷やして物価を上がらなくする」施策を行い、金利を引き上げると宣言したのです。

 ここで言う『上がらなくする = 悪化させる』は同意語で、次いで『悪化させる = 株式が下がる』、『株式が下がる = 景気後退(リセッション)入り』、最後は『景気後退(リセッション)入り = マネー流通が滞る、金回りが悪くなる』に繋がっていきます。

8/29【番外編】株を買わないと、落ち着いて眠れない人へ...3

欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事も・・・

 ECBのシュナーベル専務理事は、ユーロ圏で過去最高、米国で8%を超えるインフレ率を鈍化させるために、決意を持って行動する必要があると強調。更に「現行の物価上昇でインフレ予想が定着する可能性とコストは不快なほど高い」とし、「こうした環境では中銀は力強く行動しなければならない。人々が法定通貨の長期的な安定性に疑問を持ち始めるリスクに対し、断固として対応する必要がある」と述べました。
 また、同理事はリセッション(景気後退)のリスクがあることを認めた上で、「景気後退に突入したとしても、金融政策の正常化路線を継続する以外に基本的に選択肢はほとんどない」と発言。「インフレ減速には潜在成長率を下回る経済成長の期間が必要になる可能性が強い」と、パウエル議長発言と同様の見解を示してFRBと歩調を合わせています。

日本銀行の黒田総裁は、異なる見解を表明・・・

 日本銀行の黒田東彦総裁は、日本の経済情勢については「欧州各国や米国と大きく異なる」と説明。「賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで、持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はない」と述べました。

株買いは、まさに「火中の栗を拾う」様相に向かう?・・・

 古より、常に資金の出し手は個人である国民であり、資金の借り手は企業であることは論を待ちません。今回の金利の引き上げは、資金の借り手である企業をターゲットにしたものです。この点、日本の現対応と正反対であることを片隅に置いておく必要があります。

株式購入は、企業の成長を買うに他ならない...

 株式購入とは、企業の将来の成長を購入するのに他なりません。金利が引き上げられると融資を受けた企業の利払い額が増加します。企業活動(設備投資)の減少、配当金支払いや自社株買い原資(利益剰余金)の減少等が確実に現われて来ます。金利引き上げは、企業の成長が阻害される一番大きな要因となるのです。

淡々と売られる株式...

 教科書的に申し上げると『金利引き下げに戻るまで、株売りが正しい行為』です。9月以降、FRBの金融政策は「反株式市場」や「反投資家」の対応となります。私が「何か、株買いへのアドバイスを」と問われれば、「暫く様子見」を提案します。誰に聞いても、公式回答は「様子見」や「静観」しかないでしょう。

敢えて買い進む投資家...

 しかし、世の中には必ず『天邪鬼』が生息しています。何故なら、投資は他人と同じことをしていては、得られる利益などたかが知れているからです。ものの見方で言うと「株の売り時期 = 株価が安い時期」は同意語で、【安く買って、高く売る】は株式投資の基本中の基本だからです。

結語として..

 このブログは株式投資を煽るものではなく、教本の類でもありません。あくまで、私個人の投資記録を後々(老後)へ残すために書き綴っています。
 2021年末から2022年4月にかけてポートフォリオの組み替えを実行しました。先立つ、2022年初頭には、次のような「投資の基本」を文書にして「自身へタガ」を嵌めました。

私は、2022年の取り組みの中で、次の事を宣言して実行しています。

1.新規資金を米国株式の購入へ投下しない

2.新規資金に「配当等の再投資は含まない」

3.新規資金に「税の還付金は含まない」

4.新規資金に「保有株の売却金は含まない」

5.配当金、分配金の受け取りに重点を置く。

 直に言うと、「株式投資以外で得た収入を、株式投資へ注ぎ込まないこと」を宣言したのです。よって、米国金利が上がろうが、米国株が下がろうが、定めた「投資の基本」をベースに、私は株式の追加購入を配当再投資で粛々と続けます。損切りを厭わずに保有銘柄の入れ替えを行うかやもしれません。人には寿命があり、白黒判断がグラつき始める年齢が迫り、残されている時間にも限りがあるので、悠長に構えていられないのです。
 さぁ、これをご覧の方、これからは【火中の栗を拾う】の様相になりそうですが、それでも貴方・貴女は株式を買い進みますか?

弱り目に祟り目

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