米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/05【番外編】短期で見ると、これから何処まで下がる「ドル/円為替」...

 昭和60年代後期、私が初めて米国へ友人と出掛けた際の「ドル/円為替」は、1ドル168円でした。これでもかなり「円高」になっていて驚いたものです。トラベラーズチェック、クレジットカード、ドル紙幣に得した気分で意気揚々と交換したことを思い出します。

昭和のJTBパック旅行(ロスとシスコ)、25万円を下回る低価格...

 申し込んだのは「安心のJTBパック旅行」で、1週間でLos AngelesとSan Franciscoを巡るフリープランです。「パレット」と命名されていて、消費税導入前で料金は24万8千円/人。成田空港を経由して今はなき「ノースウエスト航空」のLos直行便です。*機内のエコノミー後部座席付近では、モクモクと紫煙が立ち昇っている大らかな時代でした。


9/05【番外編】短期で見ると、これから何処まで下がる「ドル/円為替」...1

旧民主党・日銀の無策で、ホンの10年程前に70円台の超円高が出現...

 この時から彼是30年以上の歳月が流れ、東日本大震災後(2012年)70円台の「円高」を経て、今や円貨が崩れていく「円安」の真っただ中にいます。
 「ジャクソンホール会議」後、140円/ドルへは一瞬で到達して、更に米国では9月以降、本格的な利上げが確実視されることから、日米金利差が更に拡大して「円/ドル」は何処まで落ちるのか? まるで「円貨の底が割れてしまった」ように見えます。
 次のドル/円為替チャートは10年の推移を表わしています。2倍近く円安の一人独歩となっています。


2022/09/05 ドル/円為替チャート:10年の推移

日本の人口減は止まらず、日米の差が拡大し続ける...

 私が小学校の時、日本と米国の人口比は1対2、つまり「1億人と2億人」のように学びました。しかし、今や米国の人口は移民流入もあって3億人と言われています。日本が出生率減少の人口減で目も当てられない状況であるのに、米国は1.5倍の人口増となっているのです。更に、不謹慎ですが、コロナ禍の最新データで「米国の平均寿命が2歳下がった」との報道記事がありました。

平均寿命が延びない米国、日本と概ね10歳の差異...

 平均年齢80歳代の日本とは、既に10歳近くの差異が生じています。これは3倍の人口構成比と併せて、米国社会の優位性を大きく広げます。事の善悪は別にして、国家として見ると、老人向けの支出を抑えられることが、米国にとってはとてつもなく大きいのです。
 繁殖期を過ぎた人口を抱えれば抱える程に国力が衰えます。これは日本だけではなく、中国においても年金問題や介護問題で国力がジリジリと弱まることを意味します。

これからの日本は、貯め込んだ海外金融資産を食い潰す...

 このような事を申し上げるのは、突き詰めると、通貨の強弱は「国の発展、成長の度合い」次第だからです。今、日本が海外に巨大な金融資産を持っているとしても、日本全体が高齢化すれば取り崩して消費するだけになるので、時と共に減少するのは必定です。よって、長い目で眺めても、為替は円安にジリジリと向かっていくことになります。

貿易面から眺めると、急な通貨高は輸出企業に不利益...

 貿易関連で眺めると、急な自国通貨高は輸出企業にとっては手取り収入減を招きます。下記の12カ月チャートでは、ホンの1年前には110円/ドル、これが今や140円/ドルまで記録的に下がっています。
 よって、ドルを自社通貨として決算する輸出企業にとっては、価格据え置きで30%近く減収になるか、30%近く製品価格を値上げするかの二者択一を求められます。企業の為替対応は数年かけて解決を図るのが常なので、急な為替変動は貿易面から眺める限り、長続きしないと捉えるのが自然です。教科書的には、近々「円高」への戻りが見られることでしょう。

しかし、何もかもがイレギュラーである今回・・・

 しかし、今回の為替変動の元になっているのが「自国の景気落ち込みまでを狙った、米FRBの金利引き上げ」なので、教科書的な為替の揺り戻しが生じない事が考えられます。何故なら、逆に輸入企業は貿易額が変わらずとも利益増加で値下げ余地が生まれ、これを消費者側へ還元すれば、物価抑制に効果絶大となるからです。

暫くはドル高(円安傾向)が続くことに...

 米国側の対応だけを眺めると、暫くはこの【ドル高傾向が続くこと】でしょう。その期限は米国のインフレ率が落ち着くまで(対前年度比2%内)と見るのが妥当です。しかし、為替動向は相手国の対応によっても現れる結果が異なります。

但し、日本の金融政策が変更になると、円安傾向に歯止めがかかる?...

 ドル/円の一方の相手国は日本です。日本の通貨当局が、① 金利の引き上げ、② 金融緩和策の停止等(購入した債券や株式の売却)を一部分でも行えば、円安傾向に短期的な歯止めをかけることが出来ます。政府・日銀の我慢の限度はどの付近なのか?... つまる所、今回は「始まってみないと、何も分からない」ということに等しいのです。

米株投資に向かい、円貨から米貨への資産移し替えは大正解?...

 短期・超短期では「円安」から一転「円高トレンド」へ戻す時がありますが、投機家が一息つけば再び「円安トレンド」に逆戻りします。右に左に振り戻しながら、円貨は弱小通貨にヒタヒタと向かって行くのです。今、皆さんが米国株投資に向かい、円貨から米貨へ資産をコツコツと移し替えていることは、大正解となるでしょう。
 次のドル/円為替チャートは12カ月の推移を表わしています。途切れることなく、円安の一人独歩となっています。


2022/09/05 ドル/円為替チャート: 12カ月の推移

『円キャリートレードの本格的回復』記事がお目見え・・・

 今朝の報道で、円キャリートレード復活記事が現われました。米国在住のお金持ち企業や個人投資家が「安全に・楽して・確実に儲ける円キャリートレード」。日米金利差が拡大したことで、本格的に回復し始めたのです。
 本来、受け取るべき我々の利息収入(日本の普通預金利息等)が、奴らの儲けになっているのですから本末転倒も甚だしいです。

結語...

 今日のテーマである『短期で見ると、これから何処まで下がる「ドル/円為替」』の回答は千差万別、人によって見方がそれぞれ異なるのが、お分かりいただけますでしょうか?
 結語としては、現在、本年7月3日に上梓した次の記事に沿って概ね進んでいるので、参考にして下さい。

 同記事内で「135円は単なる通過点で、これから、140円超の空中戦を見る。信じる、信じないは貴方・貴女次第です」と勇ましいタイトルを掲げていましたが、ほぼ2カ月で達成してしまいました。

(推奨)植野大作氏の為替にかかる中期予測...

 この7月3日付では、「強化された52週移動平均線の右肩上がり」と題して、植野大作氏の為替にかかる中期予測を掲載しています。なかなかの優れもので、私の立脚点がここなので再掲します。

 「過去1年間で稼いだドル高・円安貯金を全て吐き出すまで、右肩下がりに転じない」という52週線の性質を考慮すると、仮に今後、何らかの「円高ショック」に見舞われて巡航高度が130円前後まで下がっても、来年(2023年)の春過ぎまでは、52週線の右肩上がりの傾斜はビクともしないで、下値サポートの底上げが続く。

 昨年(2021年)1月安値の102円59銭を大底にして、現在のドル高・円安トレンドが始まってから、まだ17カ月しか経っていない。過去5回のドル高・円安局面の平均寿命は31.2カ月であり、まだ、あと1年近くは右肩上がりの傾向を維持する可能性がありそうだ。

編集後記

 140円台の二十数年振りの円安が出現して、ここから円を米ドルに交換して「米国株投資」を行うのは良策か否か、の悩ましい議論があります。

賢者の教え...

 米国株が金利引き上げに伴って「調整局面から下落に向かっている」ことがそもそも事の発端で、ドルに交換後「円高」に反転して「為替差損で実損」が生じること。米国株下落で売却損が発生すること。「この両方が薄まるまでは、米国株投資を傍観すべき」が賢者の教えです。

投資における思案六法...

 更に、『米国株暴落の声を聴いたなら「株安」+「ドル安、円高」のタブル現象が起こるので、その時こそ全力で投資すべきである』と続きます。
 来るか来ないか分からない「株価の暴落を待ち続ける」のか、あるいはバフェット氏の言うように「適度な株価に値下がった優良株」を拾いに向かうのか、ここが運命の分かれ道、投資における思案六法です。

弱り目に祟り目

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