米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/19【番外編】実は難しい「バイ・アンド・ホールド」...

 短期・超短期の株売買を繰り返すのではなく、「一旦株式を購入すれば、長期に亘って持ち続ける」戦略を「バイ・アンド・ホールド(英語: Buy and hold)」と呼びます。簡単な投資手法のように見えますが、保有中は何かと雑念が生じやすいので、長期間継続するには、強い信念と忍耐力が必要です。積み立てと組み合わせるのが強力です。
 これに近い格言としては、「バイ・アンド・ホーゲット(英語: Buy and Forget)」があります。同様な投資戦略で「買ったら、買ったことすら忘れる」の意で、投資家に沈着冷静な行動を求めたものです。


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「バイ・アンド・ホールド」は、続けなければ意味がない

 私の拙い経験で、この「バイ・アンド・ホールド」投資手法を続けられるのは、投資家それぞれの可処分所得(貯蓄総額)の内、投資に回せる一定額を最優先にする場合だけです。つまり、5万円の可処分所得があって投資に2割の1万円を余裕で回せるのであれば、年間12万円を「バイ・アンド・ホールド」や「バイ・アンド・ホーゲット」で、投資継続することができるということです。

節目を突破するには、積み立てた投資額を無視するしか手がない

 上記の例では、5年で60万円、10年では120万円と初期投資額が積み上がって来ます。20歳で始めた株式投資であれば、切りの良い10年後の30歳という節目では「貴方を取り巻く環境は大きく変化」していることでしょう。
 事象的には、就職、結婚、子供の誕生、住宅の取得など...。大概の人にとって、この段階で「積み立てた投資」を売却・換金してしまうのです。ここで『節目』を意識的に中央突破しないことには、貯まるものでも貯まりません。

年数を経てから、再び「バイ・アンド・ホールド」へ向かう...

 そして、次に目覚めるのはいつの時かと言うと、子供の独立時、住宅ローン完済時や「老後」、「退職」を意識した時です。最初に投資を始めた時から、大分と月日が経ってしまっています、残念ですが・・・。

投資家として年輪を経て、直面する問題...

 投資家として年輪を経て来ると、① 可処分所得額(貯蓄総額)の引き上げが可能か。② 投資に回せる定額資金の引き上げが可能か。これらが長い投資家生活の中で、貴方が直面する難問となります。
 ここで、どうにかこうにか投資資金の増額を成し得た方が、最後に笑う投資家になる確率が高まります。若い時分から始めた投資のゴール地点で、そのバックボーンとなっているのが「バイ・アンド・ホールド」であることを忘れてはいけません。兎にも角にも、先人のアドバイスに乗っかかってみることです。

日本では「バイ・アンド・ホールド」の歴史自体がない...

 日本における株式投資は、配当金を得る「インカムゲイン」ではなく、売買差益を得る「キャピタルゲイン」を主体とする歴史で発展して来ましたので、コツコツ投資で「バイ・アンド・ホールド」を推奨する歴史がないのです。


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嘗て、日本では高利息の預金(貯蓄)が主流であった...

 古い話ですが、私は20歳で公社債投信や中期国債ファンドの積み立てを開始し、37歳の時に自宅購入で背伸びしたこともあって、全ての積み立て資産をローン頭金に投入、証券投資から撤退したのです。
 今でこそ、株式の積み立てが囃されて、優れた商品が複数ありますが、当時は「日経平均株価 (225種) 」を基にした財形貯蓄(無税)積み立てぐらいしかなく、純粋な株式投資とは全く言えないシロモノで、年率7%以上の「国債」を基にした貯蓄性積み立てが推奨されていました。
 よって、若手投資家は株式投資から距離を置いて、郵貯の10年で2倍にある「定額積み立て」、証券会社の「公社債投信や中期国債ファンド」、信託銀行の「ビッグやワイド」の積み立てに精を出したのです。結局、株式・不動産バブル崩壊で、これら高利息商品に投資していた者達が最後に笑ったのですが・・・。

株式を積み立てる発想自体がなく、商品すら開発されていなかった

 好きな時に自由に追加資金を投下できる、株式積み立て商品自体がなかったと認識される方が良いかと・・・。寡占化された日本の証券業界では、年月をかけて財産育成を図るような発想がなかったのです。株式市場は「切った張った鉄火場」で、個人資金は「銀行が定期預金で吸い上げるのが日本のシステムだったのです。
 事実、信託銀行などがPRする10年で預入金が2倍になる高利息が強調(元金保証)されていた時代です。素人投資家で外国株に手を出す者は皆無、日本株の場合でも取り扱い単位株が1000株(現100株)で、一回の取引額が数百万円は当たり前の状況です。
 更に、売買手数料が高額で、実例としては1999年の手数料自由化の直後、野村証券における株式売買代金500万で何と手数料が片道3万5800円、これでも25%安となったとの「案内パンフレット」があります。

米国からの市場開放の圧力で、目線が下に向いた...

 そして、米国からの市場開放の圧力によって「証券会社でコンピュータ導入が進んだこと」、「ネット証券の設立、業界占有率が高くなったこと」などで個人向けの積立商品が開発され、外国株の取り扱いも広がり、各種手数料も競争激化で下がって来たのです。これで、ようやく日本でも「株式の積み立て」が本格化することになります。

「クローズ型のテーマ投資信託」から始まった...

 「株式の積み立て」が始まる前に時計の針を戻すと、証券会社が組成する「クローズ型のテーマ投資信託」など傲慢そのもので、証券会社の損失が出ている自己勘定取引の穴埋めに利用されるなど、散々な目に遭わされるのがオチでした。
 更に、追加投資も出来ない、途中解約もできないデメリットが放置されたままで、バブル崩壊時などでは刻々と下がる「投資信託の基準価格」を前に、指を咥えて見守るしか手がなかった『信じられない時代』があったのです。

平成バブル崩壊後、「オープン型投資信託」が主流になる...

 資金の出し入れ自由な「オープン型投資信託」が主流になるのは、平成バブルの崩壊後です。個別銘柄やセクター単位の投資からインデックス系投資に主役が移るのと併せて、投資家の自己責任に基づく投資が強調され、証券会社は投資家に証券売買を取り次ぐ単なる業者に成り下がったのでした。
 これが日本の証券投資の幕開けとなりました。ネット証券が誕生する素地が出来上がり、既存の証券会社の寡占状態は手数料自由化が止めを刺しました。こうなると、逃げ足の速いスウィング投資ではなく、積み立て投資が市場から好まれるのは自明の理です。漸く、米国市場の背中が見え始めた黎明期の到来です。

所詮、証券市場は経営者が会社資本を調達する場である...

 このような経緯を経た日本の不幸な証券投資の時代背景がありますが、頭の柔軟な若い方に対しては、これからの市場発展を考慮して株式投資の継続的な積み立ても資産形成の一つとして取り入れることをお勧めします。
 しかし、日米共に『証券市場は、経営者が会社資本を調達する場』であることを理解する必要があります。一旦、会社資本に組み込まれたあなたの大事な資金は、二度と帰ってこない事もあり得るという事実です。

決して、証券会社主導の暗黒時代を忘れてはいけない...

 情報公開が整ってきた今の時代だからこそ、株式の長期積み立て「バイ・アンド・ホールド」をベースに、日本株より米国株、日本円より米国ドル、大手・地場証券よりネット証券が前面に出て来ているのは、嘗て零細な素人投資家を散々蔑ろにした報いです。
 皆さん方は、大手・地場証券会社に所属するセールスマンの囁きに、決して耳を貸してはいけません。実力を蓄えましょう。でないと、ケツの毛までも抜かれますよ。


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