米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

10/02【番外編】FRBがインフレ退治で真に目指していること...

 歳の若い方なら「インフレ」と聞かされても何のことやら分かり難い事でしょう。特に、この日本では、昭和・平成バブル崩壊後、厳しいインフレは一度たりとも起こっていませんから、当然のことです。

  • 痩せた土地に地震が発生しないが如く、年老いた都市に【自発インフレ】は発生しない。インフレが発生しない代わりに経済成長もない。

 これが私の持論です。【自発インフレ】は自らが引き起こすインフレーションの意味で、反対語が「他発インフレ」です。

反【自発インフレ】= 他発インフレ

 具体的には、多国間貿易でしか入手できない生活必需品の価格高騰で発生するインフレが「他発インフレ」です。日本では、原油、天然ガス、小麦、バター等の輸入時、価格(円安)高騰した時などで発生し易くなります。

年老いた都市(日本)であるが故・・・

 しかし、たとえ発生したとしても、年老いた都市であるが故に、値上げ幅が需要を激減させて、インフレの芽は自然と短期間で収まります。つまり、日本においては「独立して生活している限り、インフレが発生し難い」という結論にたどり着くのです。


米国の激しいインフレ

 米国で発生している「インフレーション」は、新型コロナ禍直後は生産停止と物流停滞に伴う品薄によるものでしたが、原油価格が落ち着き付き始めた昨今、人件費高騰が取って代わったようです。FRBが躍起になって「景気を鎮め、経済発展を押さえに掛かっている真のターゲット」は『雇用創出の抑制』にあります。

国民全般への【ほどこし】

 米国では、新型コロナに伴い雇用解雇が続出して数千万人の離職者が短期間に発生、雇用保険手当の受給(失業保険手当)が待機期間もなく直ちに・手厚く始まりました。国民へ現金給付も行われるなど、国や地方公共団体からの【ほどこし】が、手を替え品を替えて連発されたのです。

働きたくない症候群の者達が急増...

 するとどうなるでしょうか、地域社会で監視の目がない米国都市では、働きたくない者達がそもそも多い処に、このような【ほどこし】を受けた後では、生活レベルを落としたくない輩が増えて当然。離職のままいる程が何かと便利なのは言うまでもなく、身体も楽ですから・・・。

働いてやる(働いていただく)の上から目線...

 つまり、企業主体の「働かせてやる」から、労働者主体の「働いてやる(働いていただく)」にベクトルが変わっちゃったのです。
 こうなると、雇用主は賃金(給与)の大幅引き上げで釣るしかありませんし、票が欲しい議員さんたちは【最低賃金】を州、市、町レベルで引き上げるは、必然となります。
『人件費上昇 → 商品価格に転換 → インフレ率上昇 → FRB金利引き上げ』のスパイラルが続くのです。

エリート巣窟のFRB関係者は、ちゃんとお見通し...

 新型コロナが米国へ入り込む(~2020年2月頃)まで、米国内で金利の引き上げとテーパーリングが話題に上っていたことを思い出して下さい。トランプ前大統領の時代です。彼が当選するや否や、下がるとみられていた米国株が「意に反して」急上昇しました。

 余談ですが、この「意に反して」とは誰の意に反してなのか、分かりますか? 回答は、民主党に連なる大勢の反トランプ派マスコミとアナリスト達です。

 彼ら・彼女らは、一様に「トランプ氏が当選した暁には、極論、まともな政策などできないから、米国債券は急騰、米国株は暴落する」と息巻いていました。反トランプ派のジョージ・ソロス氏は株安へ相場の行き先を張って、日本円で数千億の損失を出したと噂されたものです。

低金利がお好きなトランプ大統領(当時)

 「金利など低い方がいいんだ。」がトランプ大統領(当時)氏の口癖、持論でした。年末12月に株価が下がろうものなら「この株安は、クリスマスプレゼントになる。」とツイートして嘯き、強引に株価を引き上げる等、『ディール』はお手のものでした。

新型コロナ発生前(金利引き下げ、テーパーリング開始前)...

 しかし、米国内でも2020年2月~3月辺りから市場の話題は、中国武漢発の新型コロナ関連一色となり、年始に最高値を更新した「ダウ平均とS&P500」が一足飛びに下がり始めたのです。が、所詮インフルエンザの強いもの程度の認識でした。

未知のウィルスによるパンデミック

 欧州で患者数が激増、同年3月半ばから末に掛けて、さすがのトランプ大統領(当時)の呟きも効果の程が見られず、未知のウィルスによるパンデミックが実体経済に大きな打撃を与え始めました。
 事業所の閉鎖、離職者急増、株価は下落に次ぐ下落となって、FRBは市中金利を猛烈に引き下げてマネー循環を拡大しました。もちろん、テーパーリングは中止・再拡大さえも図ったのです。

新型コロナ発生後(低金利の維持)...

 その後、ワクチン製造の進展とともに、株価が上昇し始めたものの、新型コロナ禍の影響で世界経済は混乱のまま、米国経済も停滞の渦に巻き込まれたので、FRBは低金利状態を維持して、経済回復・成長を目指したのはご承知のとおりです。
 同年末以降、求人数が求職者数より大幅に超過する情勢となり、米国経済の活況が確実視されて、今年1月~2月には「ダウ平均とS&P500」は最高値を更新して、米国は「我が世の春」を謳歌したのでした。

いつまでたっても、新型コロナで離職した労働者が、戻って来ない

 「労働者が足りない!」影響もあって人件費高騰、インフレも収まらずに「いつまでたっても改善しない労働市場」に辟易したFRBは、痺れを切らして春先から急激に金利を引き上げたのです。
 いずれは労働者が仕事(職場)に戻り、インフレは鎮静化すると目論んでいたFRBは「新型コロナで離職した労働者が、戻って来ない」現実を直視して、金利引き上げで不況を呼び寄せ、『求人数の減少を図り、インフレ鎮火を目指す』方針に舵を切ったのです。

このような事情で、バイデン政権は「一切、拘わらない」・・・

 FRBは、このような状況が続くと米国内に不況風が強くなって各種指標が悪化、すると株価が大きく下落調整することは承知済みです。
 対する政府首脳は「金利政策 = FRBの専管事項」なので、FRBによる金利引き上げが遅れ、この事態を招いたという理由で、拘わらない方針(銀行家に丸投げ)を維持しています。バイデン政権は、言及すらしません。

FRBの立脚点は、対前年同月比と対前月比にある?...

 米国は毎月、毎週に亘り、経済指標が長い年月に亘って公表され続けています。その都度、市場予測というものが付されていて、「上がった下った」の論評が付いています。
 マスコミ報道やアナリスト談でよく見かけるのが、「今回公表された数値は***、市場予測値***でした。対前年同月比は***、対前月比は***でした。」の発表形式です。めったに、10年前と比べて✕✕✕の論評など見たことがありません。

インフレ上昇率マイナス達成が所期の目的...

 要は、FRBとしては『インフレ上昇率が、対前年同月比と対前月比と比較してマイナスになる』ことが、所期の目的を達成する判断となるであろうということです。
 ここが金利上昇の停止点であって、ここを数カ月マイナス推移することで、金利水準の維持が続くと見ています。

FRBは、引き下げ可能な金利水準を手にした果実(成果)が大きい!...

 これからどれ程金利が上がるのか、停止まで何カ月先になるのか不明です。いずれにしても、『引き下げる時は恵比須顔、引き上げる時は閻魔顔』が世の常 ですから、相当幅の金利水準(次の景気後退時に独自判断で金利引き下げを行える水準)を手にしたパウエル議長率いるFRBは、得意満面でいることでしょう。
 何故なら、実質権限でFRB議長は、既に米国大統領を凌駕し始めていること。そして、議長職を離れた後でさえ、彼は世界の金融界に死ぬまで君臨できるのですから・・・。

編集後記

 「燃える闘魂」と呼ばれた元人気プロレスラーで、政治家として参院議員を計2期務めたアントニオ猪木(本名・猪木寛至=いのき・かんじ)さんが1日、死去されました。


 アントニオ猪木さんが罹っていたのは難病「全身性アミロイドーシス」のうち、 「ATTRwtアミロイドーシス」とされる疾患とみられます。かつては「老人性全身性アミロイドーシス」とも言われ、高齢化の進展とともに増える傾向にあるというものです。

私の青春そのもの・・・

 猪木さんは、ジャイアント馬場さんと共に、力道山さんに次ぐプロレス第2黄金期を極めた方で、リング登場に際して大音響で会場に鳴り響く「猪木頑張れ、猪木頑張れ...」コールが未だ私の耳元から離れず、エキサイティングな青春時代を過ごさせていただきました。切に、ご冥福をお祈りします、ありがとうございました。


10/02【番外編】FRBがインフレ退治で真に目指していること...