米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

12/06 FRBの対インフレ策は『利上げ継続』に落ち着く...

 11月30日に行われた「パウエル議長の講演」後、『過剰な金融引き締めは望まず、早ければ12月にでも利上げ減速へ舵を切るFRB』との市中解釈が幅を利かせ、投資家が万歳三唱する活況の中で、「① 米国株式の高騰・② ドル安・③ 債券利回りの低下」が瞬時に見られました。

 しかしながら、健全で猜疑心の強い投資家は、これに異を唱えて、次のように『何も変わらないタカ派的な対応が続くFRB』との立場を取り続けていたのです。

11月の米雇用統計が発表される...

 12月2日、恒例の前月(11月)米雇用統計が発表されると、そのデータから次のような強い労働市況が読み取れる内容でした。


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  • 非農業部門の雇用者数が前月比26万3千人増加、伸びは市場予想(20万人)を上回る。更に、失業率は前月と同じ3.7%、市場予想とも一致した。
  • 労働市場は依然として堅調、賃金も右肩上がりが続く。平均時給は前月比0.6%上昇し、市場予想(0.3%上昇)より強い内容だった。

 当然、米国株式市場では「株売りが先行」しましたが、米長期金利の上昇(債券売り)が一服すると、主力株を買い直す動きが入り、『FRBの利上げペース縮小の考えは変わらず』の解釈が幅を利かせて、午後には3大株価指数が上昇に転じたのです。

米供給管理協会(ISM)の11月非製造業景況感指数が発表される...

 12月5日、発表された同指数は市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの懸念が市場に広がり、直ちに米長期金利が上昇、と同時に株式の相対的な割高感が懸念されて売り主体となりました。

The Wall Street Journalが、来年の政策金利見通しの引き上げを伝える...

 5日、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は12月13日~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、「利上げ幅が縮小される一方、2023年の政策金利見通しが9月時点の予測値から引き上げられる可能性がある」と報じました。これが、株売りの号砲となって、3大株価指数は大きく下落しました。
 市場では、FRBが一段と政策金利を引き上げ、米景気や企業業績の悪化を招くとの警戒が強まって、投資家心理の重荷となり、長期金利は前週末終値3.49%から一時3.60%台へ上昇しました。

結局のところ、30日のパウエル議長講演内容の解釈を『間違えていた』...

 今回、大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)の如く、骨折り損の草臥れ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)の最たるものです。
 時間軸を伸ばせば、「金利引き上げ幅の縮小」から「引き上げ停止」、最後は「金利引き下げ」に向かうのが金融政策の王道です。これ自体は何も間違っていないのですが、『いつから、何が、どのように...』を正しく予測して行動することは誰もが出来ないこと…。いつものように、これが証明されてしまいました。


12月5日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は反落、前週末比482ドル78セント(1.4%)安の3万3947ドル10セントで終えています。ナスダック総合株価指数も続落、前週末比221.560ポイント(1.9%)安の1万1239.937で終了しました。所謂、巻き戻しの最たるものです。


11月のISM非製造業景況感指数、市場予想(53.7)を上回る...

 ISM非製造業指数は56.5。10月(54.4)から改善して市場予想(53.7)をも上回りました。前週末に発表された11月の米雇用統計では、雇用者数や賃金の伸びが市場予想を上回り、労働市場の引き締まりによるインフレ圧力の根強さを市場へ伝えていました。

MYポートフォリオ

 安値銘柄の落穂拾いに徹しています。なお、大幅に値下がりした「CRM セールスフォース」の一部を損切り売却、その資金を「BX ブラックストーン」へ振り向けました。本日の銘柄別売買状況は次のとおりです。
 GAFAMに関しては、引き続きアマゾン株の見切り売りが続いているので、買い下がりを行なっています。グーグル株の売りは止まったようで、100ドル超えの定位置に戻りつつあります。

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編集後記

 要諦は『米国経済の一人勝ち』にあります。他国経済がメロメロであるところに、ロシアのウクライナ侵攻が始まって、欧州のインフラ網が大打撃となりました。対する米国産の商品、資材は引っ張りだ、瞬く間に売り切れる状況下です。これ、あたかも第2次世界大戦下のようですね...。
 米国や欧州からウクライナへ資金援助を行う程、不透明なお金の循環となって世界中でマネーが彷徨います。これが、経済や投資環境に最適な『餌や肥やし』となって逞しく育ち、少々の金利引き上げに遭遇しても乗り越えて進むのです。