米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

1/11 FRBと市場の「せめぎ合い」の中、高金利政策は続く...

 市場とFRBの「せめぎ合い」が続いています。米国内のインフレ亢進を止めるべく、米国金融の総本山である連邦準備制度理事会(FRB)は、ここ数カ月にわたり毎月0.75%の幅で政策金利を引き上げ続けています。
 この副作用として起こるであろう「米国内のリセッション(景気後退)さえも辞さず」姿勢を強く堅持しています。FRBのこの本気度に対して、市場とFRBの腹の探り合いが続いているのです...。


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FRBは金利高を維持する(利下げなんて、とんでもないこと...)・・・

 議長の脇を固める高官たちが、異句同様に次のような「FRBは金利高を徹底的に維持する(利下げなど、とんでもない・・・)」発言を至る所で繰り返しています。ざっと拾えるだけでも、次のようなものです。

  • 9日、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、米国の政策金利について「5%以上となる可能性は本当に高い」「我々は、絶対的に、米国経済を減速させねばならない」と断言するまでに公的な会見で述べています。
  • 9日、米アトランタ連銀のボスティック総裁は、ロータリークラブでの講演で「金融当局は4-6月(第2四半期)に政策金利を5%超に引き上げ、その後、その水準を『長期』にわたって維持すべきだ」との見解を示しました。

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  • 10日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、スウェーデンで開かれている国際会議の講演で「インフレ時には物価の安定を回復するために、短期的に不人気な政策も求められる」と語るだけに留めました。一部でタカ派寄りの発言が警戒されていましたが、賢い議長は「サラッと素通りした」だけに抑えています。
  • (参考)10日、資産家のポール・チューダー・ジョーンズ氏は、CNBCとのインタビューで「FRB議長のインフレとの闘いは、完璧な月面着陸を試みるようなものだ」と述べています。「パウエル氏が直面しているのは過去40年で最も厳しい経済環境」、「足元のインフレは異例の財政刺激策と異例の金融刺激策が主因」であるとコメントし、議長が成功すれば、株式は7-8%上昇するとしています。 
  • FRBのインフレとの闘い、月面着陸目指すようなもの-ジョーンズ氏 - Bloomberg

パウエル議長講演は、想定どおりの無風通過となる...

 パウエル議長講演の【無風通過】で安心感を得た米国株式市場は、主要株価指数が上昇して取引を終えています。市場カラス達は、12日発表予定の『米消費者物価指数(CPI)』に注目しています。
 なお、次のCPIは、対前年比の上昇率が幾分鈍化すると見込まれているので、発表まで米株は「下値限定の推移を維持」するものと見ています。

12月消費者物価指数(CPI)でインフレピークを確認できる?

 ゴールドマンサックスは、12月CPIが前年比で+6.43%と、新車価格が‐0.5%、中古車も‐1.6%、加えて、原油安で航空券も2%程の価格の下落を想定し、全体指数を押し下げると見ています。更に、賃貸の下落もインフレの鈍化に繋がると指摘して、インフレピーク達成を示す新たな証拠になると指摘しています。
 順調に進めば、12月消費者物価指数(CPI)発表において、我々はインフレピークを確認することになります。ここでも再び、FRBと市場の「せめぎ合い」が生じています。

1月11日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は反発し、前日比186ドル45セント(0.6%)高の3万3704ドル10セントで終えました。ナスダック総合株価指数は3日続伸、前日比106.980ポイント(1.0%)高の1万0742.630で終えています。


MYポートフォリオ

 ポートフォリオ組成の方針変更はありません。引き続き、GAFAM銘柄を淡々と買い増ししています。もちろん、2~3年後を見据えた中期投資です。

グーグル株が下げて市場が始まる…

 寄り付き前、グーグル株価が価格ボード(プレ市場)で2ドル近く下がって推移していました。何かあったに違いないんですが、詳細は不明…。兎に角、付近価格帯に40株の指値を入れて開始を待ちました。AタイプとCタイプの両頭買いです。

何故か、グーグルに惹かれる…❗️

 グーグルは、何をどうしてるのか、わかり難い企業ですが、Androidや Chromeといった基幹OSをさらりと提供するソフトウェア技術力、世界の隅々までカバーする探知能力、ミクロからマクロまで幅広く組み合わせ、支配下に置ける資金力など、他企業がなし得ない領域までカバーするところにあります。日本企業など足元にも及ばない対応力…。収集欲は尽きません^ ^。


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編集後記

 連日に亘り、ディフェンシブ銘柄が値を下げています。嘗て売られていたハイテク系銘柄などの買戻しが盛んになっています。
 インフレが落ち着き始めた指標を直近データから読み取れることが出来るようになりましたが、ボウマンFRB理事は、「最近の一部インフレの鈍化にもかかわらず、まだ、やるべきことはたくさんある」と指摘。数多くのFRB高官は追加利上げが必要と主張しています。

市場では「金利が5%を超えることはない」姿勢が強い・・・

 しかし、市場参加者は「金利が5%を超えることはない」との見方を一層強めて、積極的に「ドル売りに傾斜」しているのです。株価見通し、債券価格・利回りの見通し、ドル高低の見通し...等。FRBと市場の「せめぎ合い」が至る所で生じています。嘗て【FRBには逆らうな】の言葉(格言)が幅を利かせていました。
 少し長いですが、市場関係者の心情を記した記事を引用します。何故、ディフェンシブ銘柄が今週に入り売られているのか、ハイテク銘柄が買い戻されているのか、一端を垣間見ることができます。ゾロゾロと、市場には『株を買いたい症候群』が頭を擡げて来ています。

 こうした中でも、市場は依然として年後半からの利下げ転換を予想しており、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)の織り込みも依然として5%未満にとどまっている。


 こうした状況を受け、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、投資家は楽観的であり、市場の予想とFRBの見通しとの間の乖離について、これをチキンレースであるとした上で、市場はチキンゲームの敗者になるなどと語ったという。ただ、こうした頑なFRB高官らの姿勢はあくまでポーズに過ぎないと考えられる。


 米国の物価水準は依然として高いとはいえ、CPIや平均時給の伸びには明確なピークアウトが見られてきている。一方で、米12月ISM非製造業(サービス業)景気指数が景況感縮小の50割れの水準に一気に下降してくるなど景況感・景気の変調も著しい。


 ISMサービス業景気指数の50割れは大寒波の影響による一過性要因の可能性もあるが、個人消費の減退が主因である可能性もある。米国ではすでにコロナ禍での財政給付によって貯めた資金が使い果たされ、貯蓄率はコロナ前の水準を下回るまでに落ち込んでいる。一方でリボルビング支払いなど消費者信用残高が急速に増えている。

 ここから、米ISMサービス業景気指数の50割れは景況感悪化による個人消費の腰折れによる可能性もゼロではないと推察される。


 今後も、米国でのCPIと雇用統計での平均時給の伸びの減速が続く一方で、ISMサービス業景気指数の50割れが続くようであれば、米雇用者数の割合で製造業の4〜5倍程も占めるサービス業の悪化は深刻と思われ、FRBもいつまでもタカ派なポーズを取っていられなくなるだろう。


 今後出てくる指標次第ではあるが、チキンレースにFRBが負ける可能性もあり、その場合は株式市場の底入れが期待されてくる。ただ、短期的にはここから1カ月程度は、経済指標よりも、今後本格化する企業決算に対する見極めが重要と思われ、チキンレースに負けたFRBの利上げ停止・利下げ転換による相場底入れにはもう少し時間がかかろう。

(1月11日 フィスコ)