米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

5/12 高インフレが続き、財布のひもを締める米国民...

 物価高ともなると真っ先に節約されるのが『娯楽系支出』です。米ウォルト・ディズニーが10日発表した2023年1~3月期決算は、純利益が前年同期の2.7倍の12億7100万ドル(約1700億円)でした。
 テーマパークが復活、人でも堅調でしたが、動画配信サービスの赤字が続く状況は変わりません。コロナ禍の人出減少がジリジリと回復する中、「米国民の夢」ウォルト・ディズニーの株価回復が望まれるところです。


(雨の中、ニューヨーク3番街)

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動画配信サービスが3カ月で400万人減・・・

 動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の会員数は市場予想を下回り、3月末で1億5780万人と2022年末比400万人の減少となっています。
 10日の決算電話会見で、ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は、「たくさん作ってきたコンテンツが、必ずしも有料会員の増加を促すわけではない。」と語りました。消費者は「無料」「割引」等であれば喜んで会員登録しますが、「有料化」となると一気にサブスクリプションサービスへ解約が押し寄せるのです。
 ここ一年、強烈なインフレが襲っている米国では、不要な支出を避けることが最優先なので、市民は「企業の収益の糧であった定額課金サービス」から一歩も二歩も身を引き始めています。

定額課金、従量課金サービスは、安定経営の基本モデルであるが...

 アップルが音楽配信等で強力な収益を得て盤石な財政であるのは、「定額課金、従量課金サービス」の賜物です。アップル以外にもこのビジネスモデルに礎を置いている企業は多数あります。
 映像系ストリーミングサービスの最大手であるNetflix。コストコは物品販売で得る利益よりも、「会員の年間会員登録収入」がメインであることは有名ですし、アドビの画像編集ソフトであるPhotoshopは、月額980円(税抜)の定期課金を取り入れて以来、安定経営で名を馳せています。アマゾンのプライム会員への課金、マイクロソフト社はソフトウエア提供を課金制に切り替えて、何と株価が10倍超も高騰したことはご存じのとおりです。

課金ターゲットが「個人」と「法人」とで、差が開きつつある・・・

 マイクロソフトやアドビは、個人を対象にしたビジネスモデルだけではなく、法人をも対象としているので根っこが太く安定的です。しかし、ディズニーやNetflixは個人や家庭を主ターゲットとしているので、対インフレと真正面から向き合わなくてはいけません。ここがキツイところてす。

4月の米卸売物価指数(PPI)の発表...

 11日に発表された「4月の米卸売物価指数(PPI)」ですが、市場スズメは『市場予測値と比べると改善傾向になっている』と囃し立てていました。
 しかし、データ自体は依然としてインフレが猛威を振るっている事に何も変わりはありません。「傾向」としては「数値上、インフレの猛威が下火になりつつある。」というだけです。生活感、体感的には不変だと思います。牛肉価格が落ち着かない事には、米国民は枕を高くして眠れないでしょう。
 ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は、『「インフレの持続性に驚いている」と述べ、物価上昇率の高止まりに懸念を示したようだ』と市場へ伝わり、少なからず影響を与えました。


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富裕層、マンハッタンの商業用不動産に触手を伸ばし始める...

 ニューヨーク・マンハッタンの商業用不動産市場が、FRBの金利引き上げの影響で激震に襲われています。オフィス物件は金利上昇によりデフォルト(債務不履行)が広がる恐れが強くなっていて、地銀の融資比率が高いことも特徴的です。
 「一部の富裕投資家にとって、ニューヨーク市の不動産を所有することの魅力は抗し難いものがある」ことも事実です。東京の銀座や青山、渋谷以上のステータスなのでしょう。このような指摘は、投資会社ブラックストーンの某部長も、今がチャンスとコメントされています。そうそう、GAFAM企業も新型コロナ禍の中、マンハッタンでビル一棟を買ってましたっけ…。

人の行く裏に道あり花の山…

 『人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け』…。これは、千利休の句と言われています。意味するところは「投資家は、群集心理で動きがちですが、他人と同じことをやっていては成功が得られず、むしろ他人と反対のことをやった方が、うまくいく場合が多い。」と云うところです。

  大口の機関投資家が取引を控える中、富裕層ファミリーや無名に近いデベロッパーがマンハッタンのオフィスビルで「バーゲンあさり」をしている。

  仲介業者サヴィルズによると、こうした買い手はかつて「世界でも羨望(せんぼう)の的だった商業不動産市場」で物件を取得する機会を見いだしており、購入に占める割合が上昇している。


  資金繰りに窮し、借り入れコストの上昇に苦しむ既存の所有者が、物件を「ディスカウント」状態で売り払おうとすることで、この種の取引はさらに増える可能性が高い。


  仲介業者や資産顧問業者が語ったところによると、超富裕層の資金を管理する「ファミリーオフィス」も不動産を手に入れるチャンスに関心を寄せている。(ブルムバーグ 2023年5月12日 6:00 JST)

5月12日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は4日続落、前日比221ドル82セント(0.7%)安の3万3309ドル51セントで終えています。ナスダック総合株価指数は続伸。前日比22.065ポイント(0.2%)高の1万2328.507で終えました。前日、四半期決算を発表した映画・娯楽のウォルト・ディズニー株が大幅に下落。このことが投資家心理を冷やし、ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えました。


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米地銀のパックウエスト・バンコープ、前週に預金が1割弱減少...

 地銀のパックウエスト・バンコープは11日、前週に「預金が1割弱減った」と公表しました。これを受けて経営不安が高まり、株式市場が開く前の時間外取引で3割近く株価が下がり、市場の地合いを引き下げました。もちろん、他の金融株にも売りが及び、再び「地銀騒動が繰り返された」のです。

GAFAM銘柄以外、再び見るべきものはなし・・・

 米国株式市場を見渡すと、GAFAM銘柄以外、贔屓目に見ても買い進む銘柄が乏しく、買いが入るとすぐさま売られる展開です。人気のインデックス系ETFへの資金流入ぐらいでは、もはや米国株の劇的回復はままならず、先行きに黄色信号が点灯し始めています。

MYポートフォリオ

 2年振りに「タバコ銘柄」を買い進めています。日本だけではなく、今や世界中で嫌われ者に成り下がった「タバコ企業」。配当支払いは安定的で、年4回きっちりと支払われるので、私は重宝にしています。


「たばこ」の拡散スピードは、「梅毒」に引けを取らず...

 1500年頃、コロンブスが新大陸発見から欧米へ持ち帰ったことで、あっという間に世界へ拡散した『紙巻き(刻み)たばこ』ですが、世界中の人々への拡散スピードは『梅毒』にも引けを取らず、一二を争う程の早さで、まさに人間DNAの王道を行くものです。
 嘗て、徳川幕府は何度も「禁煙令」を発布するなどして、タバコ文化の抑制を試みましたが、一旦火が点いたものを消すことは難しく、現在、オーストラリアが国家として「撲滅へチャレンジ」を開始しています。


編集後記

 何度も申し上げるように、地銀からの「預金引き出し」を押し止めることはできません。度重なる金利引き上げで、「預金の安全保護」よりも「預金利息の差」がクローズアップされているからです。それは、短期債券の運用で利息分を稼ぎ出す「MMF」との比較によっても明白です。

MMFの直近利回り

 ドル建てMMFの直近利回りは、次のとおりです(2023/05/12現在、年率換算利回り、税引前)。何とも凄まじく高利回りです...。

  • ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド 4.5200%
  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド 4.2540%
  • ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト 4.3230%
  • ゴールドマン・サックス 4.6530%

普通預金の利回りを引き上げれば・・・

 米銀の普通預金利息は一般的に1%未満であって、決済口座としての役割が主です。よしんば、銀行の普通預金利回りを4%超へ引き上げれば、逆ザヤになって「銀行利益が吹っ飛び」資本流出ともなって、経営母体が揺らぎますので、別の意味で「預金の引き上げ」が起こってしまいます。
 FRBの後押しもあって、短期債券で構成された「MMFの利息が4%超」となる昨今、年率換算で凡そ3%超の『利息の差異』は如何ともしがたく、普通預金は主役の座から滑り落ちています。何も米国だから起こっているのではなく、急激に短期金利を引き上げると、いずれの国でも発生する事案です。

銀行合併で資本を巨大化する以外、対処する術がない?

 銀行の個人・企業向け融資は、預け入れ・引きだし自由な「預金」をベースにしている以上、銀行本体の規模が小さければ、もはや成り立たなくなっています。
 回避できる道は、大銀行との合併以外にありません。資本規模の小さな地銀は、FRB金利引き上げ騒動の最大の被害者となってしまいました


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