5/24 ハイテク株の買い漁りと金融株の撤退売りが「今流」...
2023年1月~3月の3カ月間、著名投資家達はどのような米国株を売買したのか?
米証券取引委員会(SEC)に提出した「保有株の開示情報」から読み取れることは、『相場の先行きの不透明感が強い中、騰勢を強めているハイテク銘柄に傾斜し、金融株は持ち分を減らしてリスクを回避』したことでした。
但し、慌ただしい世相ゆえ、利が乗れば売却に動くは誰でも同じです。上がるか下がるか、二者択一です。トータルで勝利すれば、それでヨシです。
(左から)バフェット氏、ソロス氏、テッパー氏
フォーム13F
米国では総額1億ドル(約138億円)以上の株式を保有する投資家は、保有状況をSECへ四半期ごとに届け出る必要があります。主に米上場銘柄が対象で報告書は「フォーム13F」と呼ばれ、投資行動が垣間見える資料として注目されています。
2023年3月末時点分の開示が5月半ばまでに出そろいました。但し、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャーハザウェル社はSECの了解の元、幾分遅れて開示されます。
「GAFAM」に代表される大型ハイテク株へ傾倒...
2022年12月末時点での保有銘柄と比較すると、グーグルの親会社、アルファベットなど「GAFAM」に代表される大型ハイテク株の持ち分を増やす傾向が目立っています。
昨年末時点では、ファンド勢と同様に「GAFAM」の保有比率を極端に引き下げ過ぎていただけで、これで元に戻った感じでしょう。2022年末時点で、「ハイテク銘柄」からの撤退は間違っていたということです。
アルファベットなどナスダック指数組み入れ銘柄の内、時価総額上位100銘柄で構成する「ナスダック100指数」は5月22日時点で2022年末比27%上昇しています。
金融株の撤退売却...
米国で利上げが開始される前、貸し出し金利との差異で営業利益増加に着目、盛んに金融銘柄の株価上昇が煽られていましたが、3月の地銀破綻以降、急激な利上げ自体に「金融機関が付いていけない事」が露見し、利上げが長期化しそうな雰囲気が漂う中で「当局の介入があっても、銀行破綻は続くだろう」との見解を持つ投資が多く、一斉に売られています。
現時点において、米主要銀行株で構成するKBWナスダック銀行株指数は22%下落ですが、したたかな投資家の「リバウンドを狙った動き」も見られます。当たれば大きいですし・・・。
ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイでもカストディー(資産管理)業務大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン株と地銀大手USバンコープの株式をすべて売却しています。
電気自動車メーカーからの撤退も散見・・・
米バークシャー・ハザウェイが、長年持ち続けた中国の電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)株の保有を減らしたことは、報道でも取り上げられていて、皆さん方承知の事実でしょう。
ソロス氏のファンドもEV大手のテスラ株を全株手放しており、同じくEVのリヴィアン・オートモーティブ株も一部売却していたことが判明しています。賞味期限切れという事でしょうか? 切れたなら製造業ゆえに下落が早く厳しいです。
5月24日のトピックス
ダウ工業株30種平均は3日続落し、前日231ドル07セント(0.7%)安の3万3055ドル51セントで終えています。ナスダック総合株価指数は反落、前日比160.531ポイント(1.3%)安の1万2560.245で終えました。
米連邦政府の債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の協議に特段の進展がみられず、交渉難航を懸念した投資家がリスク回避姿勢を強めたようです。
「合意にはほど遠い」
バイデン米大統領との交渉にあたっている共和党のマッカーシー下院議長が、共和党議員に「合意にはほど遠い」と述べたと伝わっています。米政府の債務不履行(デフォルト)リスクが高まるとして警戒されています。
米債券市場では満期の近い米財務省証券(TB)の利回りの上昇(債券売り)が目立っていますが、最大級の債券投げ売りがあってもおかしくありません。
MYポートフォリオ
地下資源メーカーの株価下落が止まらないようです。対中国の買いが遅くなっているのでしょう。私なんぞ、比較的買い易い「1株15ドル以下」になっているので、積極的に買いを入れています。人々の目先は「ハイテク」に向かっているので、対極の「資源」は無視されているかのようです。
GAFAM売却を決意するも、軟調な地合い…
今少し、手持ち現預金を増やしたいので「GAFAM」の一部売却を考えていたところ、寄り付きから軟調な株価推移となっていたので取り止めました。無配当のグーグルが1株125ドルの株価は「美味しい」です。分割前ですと2,500ドル相当になります。ここら辺りが一杯でしょうか?
編集後記
元米連邦準備理事会のバーナンキ氏が共著という形式で現れた論文を公開し、その中で次の一節に触れています。
「2021年に始まった急速なインフレは、主にエネルギー市場の動向と耐久財不足で大きく煽られた。」と指摘しました。そして「時間の経過と共に、極めてタイトな労働市場がインフレに及ぼす影響が増大し始めている。その度合いは今後も増加し、自ずと収束することはない。」との見方を示しています。
米国内に不況を招き入れて、インフレを抑え込む以外に策はなし・・・
「求職者1人当たりの求人件数が現在の水準近くで推移することを容認すれば、インフレ率は低下しない。物価が上昇する期間が長引けばインフレ期待が高まるため、インフレ率は徐々に上昇する。」としました。
文中では『労働需要が均衡化されなければ、急速な物価上昇が根付く可能性がある...』のように「均衡化」と云う柔らかい表現を用いていますが、これを過激な言葉に置き換えると「6─7%まで上昇する失業率」となります。FRBは「ここでインフレを抑え込まねば、未来永劫に米国内でインフレは上昇し続ける。」という考えを持っています。この状況下で、米国株が上がり続けることは不可能です。
「次は日本の番」が、やって来る・・・
日米金利差が開いている今、円安状態にある時に、一旦、ドル貨から円貨に戻すことも検討してみては...。日本でインフレ騰勢が強まり、いずれは「円高」に反転するのですから...。その時、ドルへ再転換すればOKですし...。
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