米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

10/18 ビッグマック指数と止まるところを知らない円安相場

 先週、円/ドルの為替相場は円安へ大きく動き出しました。114円台へ突入です。今年の2021年1月4日の初値は103円台でしたから、何と10カ月足らずに10円強も『円の価値が下がっている』ことになります。ここが悲しいポイントなのです。

為替相場で源泉徴収税額が変わる

 例えば、2021年1月4日、某銘柄を円貨からドル貨に転換(103円/ドル)して購入し、本日付で売却(114円/ドル)したと仮定します。某銘柄の株価が同じ株価であった場合でも、貴方に『為替差益の売却利益』が買値の10%程発生していることになります。その為替差益に対して「売却益が生じる」のです。

逆手に取って・・・

 米国株投資家は、米国銘柄の収益予測や株価見通しの分析以外にも、円/ドル相場観がとても大事です。秋から冬にかけて季節が移り替わる時季になると、日本税制の「損益通算システム」を活用して、私財を手元に残したいのならば、これを学習しなくてはいけません。

円安が進行しても貿易黒字が増えないと・・・

 短期的に、内外の投資家が最も注目しているのは、円安が進行した場合の『日本の貿易黒字の増加額と増加率』です。資本的収支(海外投資等)の黒字化は間違いないのですが、要の輸出入貿易で黒字幅が「増えるのか、減るのか」です。
 減るならば、マスコミが声高く叫んでいる『円安は日本の輸出入貿易にとってメリットが大きい』ことが間違っていることになります。単に円安は、大手企業だけが潤うシステムで、消費関係は大きな打撃を受けている訳です。
 中期・長期的には、円安とは日本国の資産切り売り(外国人への)に等しいものです。詳細は他のブロガーたちも述べてるので、他ブログ参照して下さい。

ビッグマック指数

 世界の物価動向や購買力を測る物差しとして、マクドナルドが販売する「ビックマック価格」が俎上に上ります。これは、ビッグマック指数として有名で、イギリスの経済専門誌『エコノミスト』によって1986年9月に考案されて以来、同誌で毎年報告されています。
The Big Mac index | The Economist

 ビッグマックはほぼ全世界でほぼ同一品質のものが販売され、原材料費や光熱費、労働賃金等、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使い易かったのでしょう。
 具体的には、例えば日本でビッグマックが250円、アメリカで2ドルのときは、250/2=125となり、1ドル=125円 がビッグマック指数とします。もし、この時点で円/ドル為替レートが1ドル110円であれば、「為替相場はビッグマック指数に比べて円高、125円に向けて円安が進むだろう」等と推理します。
 但し、各国の消費税や補助金などがビッグマック価格に含まれるので、単純比較ができない欠点も内包しますので、あくまで簡易な指数として利用します。また、ビッグマック指数のほか、トール・ラテ指数(スターバックス指数、2004年から)やコカ・コーラマップなどの指数もありますし、IPod指数はどうだろう?との指摘もあります(╹◡╹)。



2000年のビッグマック指数

 下図は、2000年4月時点のビッグマック指数を日本円をベースに各国のビックマック価格と比較したものです。日本より高いビックマック価格であった国はほんの数国で、円を持って海外旅行をした時などは、『強い円を実感』されたことでしょう。米国への旅行においても、安いドルの恩恵を受けた筈です。


10/18 ビッグマック指数と止まるところを知らない円安相場-2000

2021年のビッグマック指数

 次の下図は、2021年7月時点のビッグマック指数を日本円をベースに各国のビックマック価格と比較したものです。21年後の現在、日本と比べて高いビックマック価格の国が圧倒的に増えて、『日本よりビッグマックが安値の国は発展途上国ぐらい』となってしまいました。価格が安いからと喜んではいけません。収入も比例して更に下がっているからなんです。
 円を持って欧米を旅行すると今や『弱い円を実感』し、私などはホテルの宿泊料金、外食料金がバカ高いことに腰を抜かしてしまいます。コロナ禍前に欧米、アジア諸国から旅行者が日本に殺到したのは、「円が超が付くほどの安値」になっているからに他ならないなのです。


10/18 ビッグマック指数と止まるところを知らない円安相場-2021

弱い通貨の国では購買力が、そして給与が上がらない

 米ドルと円の2021年のビッグマック指数で比べて平準化すると、円/ドル為替は「70円/ドルを下回ると均等化」されることになります。今の円/ドルのレートと比べると『ちょっと、低いね、高いねレベルではない』事がお分かりいただけると思います。日本国にとっては、建国以来の危機的状況です。円安は喜べない事なのです。
 諸外国の旅行者にお金を使ってもらわないと景気が良くならないこと自体が異常で、日本国民が低い為替レート故に高い輸入品や高い原材料を用いた製品を買わなければならない現状では、物が売れない、買わないのです。すると、ますます利幅を落として販売価格を引き下げる。まわり回って、国民全体の賃金単価や給与額が更に低下して可処分所得が減って来くる。
 ビッグマック指数でみると、1ドル=70円ぐらいが適正な為替水準である記事をご覧になって、貴方は何を思いましたか?

我々ができる防衛策の一環

円貨で資産を持ち過ぎず、米国株や米国債券を保有する

 真っ先に思い浮かべるのは、資産と呼べるものを米国ドルで保有する。円貨で資産を持ち過ぎないことです。換金性の高い米国ドルで資産形成をしておくと、円安に対して抵抗力を持つことになります。
 代表的なのは米国株や米国債券です。日本の証券会社を通じて円貨から米ドルに換えてこれらを保有することになります。これら投資対象物は流動性が高いですから、相続財産としても価値を損ないません。

50年先を見据えて、ゴールド(金)を現物保有する

 50年先、孫の代までを想定して『ゴールド(金)を現物保有』する手があります。預かり証ではなく、ゴールド自体を保有するのが最も有効な手段です。10~15キログラムまでの重量であれば移動も可能ですし、あの黄金色の輝きは素晴らしいものです。
 この時、正規代理店から必ず購入すること。その時の購入記録を毀損することなく必ず保管し続ける(50年後を想定して...)ことです。無くなってしまったなら、税務署にガッポリと税金をむしり取られるのを覚悟しておいて下さい。儲けはすべて税金となるような高税率が掛かって来ることになりますから・・・。

米ドル紙幣の保有はお勧めしません

 紙幣は単なる商品売買を介在するシロモノですから、長期間に亘って、通貨で貴方の資産を保有する事は避けましょう。単なる紙くずになる危険性もありますので・・・。

海外不動産への投資はお勧めしません

 肉親が住んでいるような国であれば、海外不動産の購入を検討されるのも分からなくないですが、何処の国でも「不動産取り引きには、良からぬ素性の者たちが徘徊」しているので、私はお勧めしません。株式市場でREIT債券までに止まるのがbetterです。


10/18 ビッグマック指数、止まるところを知らない円安相場