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11/07 新型コロナウィルスに翻弄される製薬株と投資家...

 新型コロナウィルスが世に忽然と現れてから大分と月日が経過していますが、未だ隠然とした陰のパワーを持っていることは何一つ変わっていません。人類は自前の製薬で新型コロナウィルスに打ち勝つべく奮闘していますが、今一つ決定打に欠けるのが事実です。
 しかし、世界の名立たる製薬企業は日夜制圧にしのぎを削っています。そして、このドラゴンの背中に飛び乗って、一儲けを企んでいるのが「株式投資家」です。報道や風評、会社発表に株価が大きく左右される魑魅魍魎の株式市場で、精魂尽きるまで頑張れるか否か、そろそろ決着の日が近づいて来ていると感じています。

新型コロナの起源

 新型コロナの起源に関しては全く定かではなく、2019年年末から2020年初頭の中国武漢での原発説以外にも、既に遡ること6カ月以上前の2019年夏頃には某国某地域から大量のPCR機器が発注されていた説、生物兵器として恣意的に製造された説等もあって未だ混沌としています。

未だ、謎に満ちた未知のウィルス

 また、起源以外にも

  1. インフルエンザウイルスとの同時流行が起きない説
  2. 100年前に発生した「スペイン風邪」が起源調査から同種のコロナウィルスであった説
  3. 第一次大戦時の米国陸軍がヨーロッパ上陸時に持ち込んだ説
  4. スペイン風邪は大流行後、概ね2年6カ月で自然消滅(ウィルス自死)した説

 全く謎に包まれている未知のウィルスです。

製薬企業の奮起

 新型コロナウィルスが中国武漢から世界都市へ拡散し始めたことで、世界の著名な製薬会社は新型コロナウィルスに対する新薬開発の動きを見せるようになります。これは所属の政府機関の要請に基づくもの、補助金を受けての対応もあれば、自発的に商機と捉える動きもあって区分し難いですが、ザックリと著名な企業を見渡してみます。

  1. ワクチン開発 : 既存のワクチン製造メーカー等は、この機会を商機ととらえて新型コロナウィルスのワクチン開発(RNAワクチン)を開始。米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得る。代表的な企業は、ファイザーです。
  2. ワクチン開発 : 時間勝負となるので、新興のバイオ企業は新製法で新型コロナウィルスのワクチン開発(RNAワクチン)を開始。米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得る。代表的な企業は、モデルナです。
  3. ワクチン開発 : 遺伝子組み換え技術(従来からある技術を用いて)で新型コロナウィルスのワクチン開発(組み換えタンパクワクチン)を開始。米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得る。代表的な企業は、ノババックスです。
  4. 新型コロナ治療薬 : 重症化の恐れがある患者の入院や死亡のリスクを約50%減らす効果が期待できる治療薬(経口薬、症状発症から5日以内にできる限り早く服用を開始することを奨励。1日2回、5日間の服用)。米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得る。代表的な企業は、メルクです。
  5. 新型コロナ治療薬 : 入院と死亡のリスクが89%低下したとの臨床試験(治験)を基に市場への提供が進む治療薬(経口薬、1日2回、3錠を投与する)。米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可の申請予定。代表的な企業は、ファイザーです。

今週、それぞれの株価動向(5日間の株価推移)

ファイザー株

11/7 ファイザー株

 40ドル台未満で推移していた株価が、本格的なワクチン提供が進むにつれて上昇。四半期決算の都度、株価上限を切り上げて一時は50ドル台を突破。しかし、メルクのコロナ経口治療薬の発表から株価が下がり始めて遂に43ドル台へ。5日(金)同社が独自の経口治療薬の治験良好を公表すると株価が暴騰しています。なお、同薬に関して「現在、世界90か国と錠剤治療薬の供給契約を論議中である」との報道もあります。
(7-9月・第3四半期)
・1株利益(調整後):1.34ドル(予想:1.08ドル)
・売上高:240.9億ドル(予想:226.8億ドル)
 ワクチン年間売上高は、従来予想から25億ドル増額して360億ドルになるとの見通しを発表。22年度についても290億ドルの販売を見込み、60億ドル超の上方修正を行う。



モデルナ株

11/7 モデルナ株

 RNAワクチン専業的な評価が強いモデルナ株は株式市場からの期待も高く、常にファイザー製ワクチンとの比較で語られていました。昨今、劣勢報道もありジリジリと株価が軟調に推移していたのですが、4日(木)の「四半期決算内容が期待外れとの評価」で一気に株価が下落、更に翌日のファイザー製コロナ経口治療薬の報道で同社株価が下押しとなっています。玉突きによる株価下落が進行中です。
(7-9月・第3四半期)
・1株利益(調整後):7.68ドル(予想:9.07ドル)
・売上高:49.7億ドル(予想:63.2億ドル)
  新型ウイルス向けワクチン:48.1億ドル(予想:62.7億ドル)
(通期見通し)
・売上高:170~222億ドル(予想:207億ドル)
  新型ウイルス向けワクチン:150~180億ドル(予想:199億ドル)

ノババックス株

11/7 ノババックス株

 ノババックスが5日に発表した21年第3四半期決算は、売上高1億7884万ドル(前年同期比13.9%増)、純損益3億2243万ドルの赤字(前年同期は1億9731万ドルの赤字)となった模様です。
 日本の武田薬品工業に製造委託を行い、日の丸新型コロナワクチンを期待されている同社ですが、未だ正式に使用承認を経たものではありません(5日現在、インドネシアのみ緊急使用許可)。しかし、既存の方法で製造する同社ワクチンに対する期待値はとても高く、注目されている銘柄です。


メルク株

11/7 メルク株

 「ダウ工業株30種平均」にも名を連ねるメルクは、ワクチンや治療薬の開発を手掛ける世界的な大企業です。新型コロナワクチン開発に後れを取った同社は、今年1月に自前のワクチン開発を断念すると表明。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチンの生産支援に回ったことはご存じのことと思います。
 屈辱を噛みしめた同社が満を持して打って出たのが、コロナ経口治療薬「モルヌピラビル」の治験結果の公表(軽・中等症患者の入院・死亡リスクを50%低下させた)でした。「(同薬の)来年の売上高は30億ドル(約3300億円)を超える」と試算しています。
 これを受けて株価が急騰していまたが、5日(金)ファイザー社が同ウィルスの経口治療薬の治験結果を公表したことから株価が反転、急落しています。

その他企業

塩野義製薬

 日本の塩野義製薬は、海外で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)治療薬の臨床試験(治験)を始める表明しました。海外で治験を行うのは、日本の新規感染者が減少して被験者を十分に確保できない可能性があるためです。
 また、開発中のコロナワクチンに対する最終段階の治験も、早ければ今月中に開始すると表明。なお、治療薬については年内に日本政府に使用承認を申請する予定です。

ギリアド・サイエンシズ

 世界的なバイオ製薬の米国大手企業です。抗ウイルス薬「レムデシビル」が新型コロナウイルス感染症で入院を必要とする患者の治療薬として、米国初の承認薬となったことは有名です。
 また、新型コロナに感染したトランプ大統領の治療にも使用されました。現在、レムデシビルは米国以外に約50カ国で承認もしくは緊急使用許可を取得していますが、世界保健機関(WHO)は、世界各国で実施した新型コロナ治療の調査でレムデシビルは患者の入院期間や死亡率に大きく影響しなかったとする結果を公表(この結果は外部専門家の査読を受けていない)。どうも、ギリアドとWHOは仲違いをしている印象を受けたのは私だけでしょうか? 以前、HIVやエボラ等に関してギリアドとWHOとで一悶着あったのかも・・・。

アストラゼネカ

 英国の世界的な製薬企業です。同社製のコロナワクチンは、超低温での輸送・保管が不要で、2〜8℃の冷蔵庫保管(最大6ヶ月間)が可能な薬剤です。
 しかし、日本におけるアストラゼネカ製ワクチンは超不人気で、予約はガラ空き続出となり、早々と接種を打ち切る自治体が続出しました。台湾への支援として日本の割り当て分を融通したことは報道等でご存じかと思います。まぁ、米国ブランド志向の強い日本では致し方ないことでしょう。

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