米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

7/27 市場波乱の懸念は、中国株ADRと中国政府...

7/27のプレ市場

BABA - Alibaba Group Holding Limited
NYSE - NYSE Delayed Price. Currency in USD
191.76
-14.77 (-7.15%)
At close: 4:01PM EDT
185.91 -5.85 (-3.05%)
Pre-Market: 07:07AM EDT

BIDU - Baidu, Inc.

NasdaqGS - NasdaqGS Real Time Price. Currency in USD
162.37
-10.29 (-5.96%)
At close: 4:00PM EDT
156.00 -6.37 (-3.92%)
Pre-Market: 07:10AM EDT

 思っていた以上に、標題の騒乱が早く動いていますので、頁(ページ)を独立させて記載します。皆さん方も、十二分に注意して下さい。このような時は、損は損として早めに諦めて撤退する、手を引くことが肝要です。

 7月26日、中国当局がネット企業を対象に独占禁止法の順守やデータの安全など、4分野に関して集中的に取り締まると発表しました。同日の香港株や上海株が大幅に値下がりし、NY市場では開始直後から中国株ADRへ売り物が殺到しました。
 米国内外投資家の根底にあるのは、『上場廃止への脅威に直面』していることです。過去数カ月の間、中国株ADRを保有する投資家に注意信号が点灯していましたが、今やけたたましく空襲警報が鳴り響いています。

何が原因なのか

 しかし、いったい全体、何が原因なのでしょうか。回答は単純なものではありません。今年に入り、欧米諸国が中国の人権問題をあからさまに公的な場で取り上げ、「中国の冬季オリンピックボイコット」まで俎上にのぼってきています。
 ボイコット事由の一つとして、1936年8月開催のナチス政権下のミュンヘンオリンピックになぞらえ、『今、ボイコットしなければ中国の現政治体制を認めたことになり、我々は再び同じ過ちを犯すことになってしまう。』とあります。ユダヤを巻き込んで、根が深そうです。

近々、アリババやテンセントでさえ、NY市場で上場廃止になる

 昨年度、上場している中国企業へ米国会計機関の監査が義務付けられました。監査を受けない場合、または、違反している場合は2年程度でNY上場廃止となるシステムです。
 未だかつて、アリババやテンセント等は米国企業並みの会計監査を受けず、今や中国政府と懇ろになったこれら企業が、米国が定めた新規則に従うなど考えられないので、遅かれ早かれNY市場でこれら企業が『上場廃止』になるは必定です。

群がるハゲタカ、ハイエナ投機家たち

 更に、質が悪いのは「欧米ヘッジファンド・投機家」や「中国本土の投機家集団」が、この時ばかりと一攫千金を狙って動いていることです。
 NY市場では、中国株ADRへカラ売りを仕掛けて荒稼ぎ、中国本土の上海市場や香港市場では安値に落ちた同株を買い増し。これを繰り返しては蓄財しています。

どうしても、中国企業へ投資を行いたい投資家は...

 どうしても、将来性を買って中国へ投資したい方は、中国株を組み込んだ(NY市場のADR証券ではなく、中国本土市場の株券)ETFを保有するのがベターです。今後、米中の話し合いで決着する可能性もありますし、中国政府(共産党政権)が瓦解する可能性もゼロではありませんから。しかし、決して中国銘柄を貴方のポートフォリオのメインに据えてはいけません。あくまで添え物として扱いましょう。

米国政府の対応は...

 これはあくまで私の想像ですが、「米国は、本気で共産党政権の中国を潰し」にかかっています。軍事力をチラつかせず、多国籍企業の販売先として確保しながら、深く静かに、更に合法的にです。13億超の人口を抱える大国ですし、万が一難民化すれば収拾がつかなくなるので。
 軍事力を温存しながら、先鋭化する手段としては『金融攻め』が最も効果的です。今回の中国政府の企業統制は、中国が最初の一歩を踏み出した感が強いですが、仕向けたのは米国政府です。
 米国政府機関が金融戦争の口火を切らなくても、中国の嫌がる企業内部調査権を盾に、NY市場からの上場廃止を迫る政策をトランプ政権からジリジリと進め、バイデン政権も引き継いでいます。
 よって、米国政府の対応としては、このまま傍観するか、早めに上場廃止をアナウンスするかのいずれかでしょう。
 NY市場の中国企業ADRの株価暴落や上場廃止の懸念は、米国内外の投資家や米国政府にとって痛手ですが、まわり回って中国政府の喉元に鋭く突き刺さって来る筈です。つまり、中国にとって手持ちドル資金の枯渇になるからです。
 このようなことは突然の出来事ではなく、数年前から予期されていたと思われます。何故なら、ここ数年間、中国とロシアは金(ゴールド)の国内蓄蔵に精を出しているのが、その証左です。

この騒乱をブルムバーグ記事で紐解くと...

26日の夜間帯にブルムバーグから次のような記事が配信されました。

 上海からニューヨークに至る世界のトレーディングデスクでは、中国規制当局が次はどこを標的にしそうか、市場は規制リスクを適切に織り込んでいるのか、という疑問が渦巻いている。

 不動産管理会社や食品配達企業の株価は26日、政府が両分野の監督強化を示唆したのを嫌気して大幅下落した。(ブルムバーグ、2021年7月26日 23:25 JST)

 一部の投資家は、こうした株価下落が買いの好機を提供していると話す。ただ、インターネットプラットフォームや商品(コモディティー)、巨大な不動産業界などあらゆる分野に当局の締め付けが広がっていることを踏まえれば、さらなるサプライズの余地はなお多く残っているとみられる。

 外国人投資家にとっては特にそうだ。習政権は歴代政権に比べ、外国人投資家を動揺させることを意に介さない姿勢を示している。(ブルムバーグ、2021年7月26日 23:25 JST)

 「中国リスクは織り込み済みと思っていても一段と悪化する恐れがある」。ゴールドマン・サックス・グループのセールスデスクは顧客へのメモでこう記した。

  中国金融の脆弱(ぜいじゃく)性を論じた「レッド・キャピタリズム(赤い資本主義)」の著者フレーザー・ハウイー氏は、「あらゆる産業がターゲットにされている」と指摘。「これは舵取りが非常に難しい環境だ。週末に国の命令で自分のビジネスが価値ゼロになってしまうこともあり得るなら、一体どうやって計画を立てればいいのか」と語った。(ブルムバーグ、2021年7月26日 23:25 JST)

27日には更に、次のような記事がブルムバーグから配信されています。

 米国に上場している中国企業の株価は26日の取引で下落。中国当局によるテクノロジー、教育産業に対する締め付け強化が世界に衝撃を与えており、このわずか5カ月で7690億ドル(約84兆8800億円)の時価総額が吹き飛んだ。

 米国で上場する中国の大手98社で構成するナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、この日に7%下落。23日には8.5%下げており、2営業日での下落率は15%と、2008年以来の大幅な下げとなった。(ブルムバーグ、2021年7月27日 6:43 JST)

 一部の大型投資家も既にこうした銘柄を手放し始めている。キャシー・ウッド氏の旗艦上場投信信託(ETF)「アーク・イノベーションETF(ARKK)」は、2月時点で8%を記録した中国株の保有比率を今月に入って0.5%未満に引き下げた。

 中国の百度(バイドゥ)のポジションをすべて解消し、テンセント・ホールディングス(騰訊)の保有もわずか134株にとどまる。残る唯一のポジションであるオンライン不動産取引プラットフォーム、貝殻找房(KEホールディングス)は今年60%値下がりしている。(ブルムバーグ、2021年7月27日 6:43 JST)

 ジョーンズトレーディングのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「当局を巡る不透明感は大きく、投資家にとっては数値化できるようなものではない」と指摘。「投資家は中国政府がこうした仕組みの合法性を確認するまで慎重になったほうがいい」と述べた。

 業界大手のTALエデュケーション・グループ(好未来教育集団)とニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループなどの米国預託証券(ADR)は26日、一時少なくとも26%値下がりした。週末はいずれも過去最大の下落率を記録していた。(ブルムバーグ、2021年7月27日 6:43 JST)

日本のソフトバンクグループにも多大な悪影響が…

 この余波が、日本のソフトバンクグループ株(SBG)の株価を直撃しています。27日の同株価は、前日比166円(2.3%)安の6,940円まで下落。連日で年初来安値を更新して、2020年11月以来、約8カ月ぶりに7,000円の節目を割り込みました。
 SBGは、傘下の投資ファンドを通じてBIBIをはじめ多くの中国企業に投資しており、企業収益への悪影響を懸念した売りが止まりません。更に、SBGの資産基盤(資金借入の担保)が、筆頭株主であるアリババ株の時価資産です。よって、今回の中国企業への信頼感喪失に伴う株価下落は、SBG本体と投資ファンド資産にダブルで下押し圧力を掛けています。

ソフトバンクグループの悪夢

 最悪の場合、SBG保有のアリババ株は「張子の虎」や「絵に描いた餅」に陥る危険性が高いと考えます。歯に衣を着せずに言うなら、『アリババ株を売却して現金化することもままならず、アリババと一蓮托生の運命を辿る』のではないか、ということです。単なる危惧で終わればよいですが…。

他の日本企業は大丈夫か

 どっぷりと中国大陸に根を下ろしている企業(ぱっと浮かぶだけでも、現地進出している自動車業界etc)も無傷では済まないかもしれません。まぁ、日本以上に韓国経済が受けるダメージが大きいですが、嫌がらせ、玉突きで極東の島国まで影響が出るのは必至とみています。

日本政府の対応

 最後に、日本政府の対応について述べたいのですが、情報量が少なくて分かりません。今、日本政府は影響度を最低限に抑える検討すらできていないことでしょう。詰まるところ、将来のXデーに誰が首相として座っているのか、想像すらできない状況ですから・・・。