8/09 米国、企業の自社株買いに1%課税を可決...
米議会上院は、歳出総額4300億ドル(約60兆円)規模の「インフレ抑制法案」を可決しました。賛否50票ずつで同数でしたが、議長を務めるハリス副大統領の賛成で可決されたのです。
予てから成立を急いでいた米国民主党は、同法案には「気候変動対策」や「医療費負担軽減」などが盛り込まれており、記録的な物価高に苦しむ消費者の負担軽減が可能としています。今後、下院の可決を経てバイデン大統領が署名、同法案が成立する見込みです。
歳出総額は、約4300億ドル(約60兆円)にも達する...
バイデン大統領は、上院での同法案可決に次のようなコメントを発しています。
「この法案により、『気候変動危機』と戦うための史上最大の投資が可能になる。一般家庭のコストも削減される。法案への署名を楽しみにしている。」
しかし、まずは「歳出ありき」ですから、秋の選挙対策用の餌撒きが始まることでしょう。何処の国でもやることは同じです。
逆に、米国内でインフレを助長へ...
この法案、エコノミストの見解が見事分かれています。一部エコノミストは「インフレ抑制とうたっているが、インフレを逆に悪化させて景気停滞を招く。」と批判しています。
更に「このインフレ抑制法案の成立が、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定している【積極的な利上げ軌道を正当化する】可能性がある。」との解釈が幅を利かせ始め、サプライズで【8月にも追加利上げを実施するのでは?との思惑も浮上】して来ています。
国を挙げて、地下資源開発を抑制...
原油等の価格高騰を抑制する為に、石油メジャーや産油国等へ「増産要請」を行っているかと思えば、片方では電気自動車(EV)など「エコカー購入者への税優遇」や「再生可能エネルギーの普及支援」に約3700億ドルを計上するなど...。
これじゃ、地下資源・エネルギー経営者は、各鉱物の生産を絞って『細く・長く・コツコツと・・・』、先細りの利益を享受し続けることが得策と考えることでしょう。すると、これら価格は当分下がりそうにもない…。限りある命なので、私ならそうします。
「最低税率15%課税」と「企業の自社株買いに1%課税」...
- 大企業の「節税対策を抑制」して、「会計上の利益に最低税率15%を課す」としました。
- 安易に多用されている「自社株買い」を抑制して、給与引き上げ・設備投資に向かうよう、企業の自社株買いに1%課税を適用するとしました。
- 国税庁(IRS)要員を大幅増員して、特に「富裕層へ課税執行の厳格化」を進め、財政赤字縮小を目指すとしました。
- 「徴税」へ何と凄いほど、前向き・前屈みの対策です。これが【目玉】ですね...。
医療費負担減も盛り込む
「医療費高騰が米国でも社会問題化」して来ているので、(公的)医療保険制度の拡充などの医療負担軽減にも、約600億ドルを振り向けるとのことです。日本のように「金食い虫へドロ沼化」しないことを祈ります…。
想定される結果
これら施策を推し進めることで、歳入見込み増は約7000億ドル、財政赤字が3000億ドル規模圧縮できるとしていますが、取らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)とならぬよう秋の選挙で勝たなければ...。秋の中間選挙で米民主党が負ければ、共和党が同法案をひっくり返すことでしょう。
8月9日のトピックス
ダウ工業株30種平均は続伸、前週末比29ドル07セント(0.1%)高の3万2832ドル54セントで終えています。ナスダック総合株価指数は小幅に続落、前週末比13.096ポイント(0.1%)安の1万2644.459で終了しました。
雇用統計では雇用者数の増加が市場予想の2倍に達し、米連邦準備理事会(FRB)が速いペースで利上げを続けても米経済は耐えられるとの見方が広がったようです。
エヌビディアが2022年5~7月期見込みの売上高と売上高総利益率を大幅に下方修正したことで同社株は6%安と下落。アップル等の「ハイテク株売り」を誘った模様です。
米国景気の分析が急がれる?
520億ドル規模の半導体法案に続き、「インフレ抑制法案」が上院で成立したことで、今後、米国景気にどのような活性化・実益をもたらすのか、エコノミスト達の分析が腕の見せ所となるでしょう。
8月末には、米カンザスシティー連銀主催でワイオミング州のジャクソンホールで年次会合が開催されます。次の焦点は、ここですね・・・。
MYポートフォリオ
「ALLY アライ フィナンシャルを108株」と「OMF ワンメイン ホールディングスを116株」を売却し撤収しています。配当の権利取りも終わり、円換算値で程々まで回復してきていたので、意を決して全株売却しました。金融銘柄の回復はまだ先と判断しました。
編集後記
米国は大規模歳出に舵を切りました。一応、収支計算は青写真ですが出来ています。が、しかし、まずは「歳出ありき」で進みますので、結果始末を...、しりぬぐいを...行うのは何年後の誰なのでしょうか?
これで、我が日本も同程度の歳出拡大を進めなくては、「円高」に逆戻りする危険性が高まりました。『いけいけ・どんどん』の号令は、早や鳴ったのです。次は日本の番です。
弱り目に祟り目
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