米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...

 8月8日、ソフトバンクグループ(SBG)は2023年3月期第1四半期の決算会見を開きました。孫正義会長兼社長は、苦渋の表情を浮かべながら、「ソフトバンク創業以来、最大の赤字を2四半期連続で出した。しっかりと反省し戒めとして覚えておく。今日はわれわれの実態を赤裸々に語りたい」と切り出しました。

8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...

ソフトバンクG(SBG)ショックの波紋...

 四半期で3兆1600億円という前代未聞の最終赤字。前の四半期と合わせると、6カ月で約5兆円の赤字を計上しています。最大の要因としては、20兆円規模を運用する世界最大のベンチャーキャピタル(VC)である「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の不振です。
 世界中のプロ集団は、ソフトバンクG(SBG)の今後の行く末を、自分の未来と重ね合わせながら眺めていることでしょう。それ程にソフトバンクGの動向は、世界の金融取引に与える影響度がめちゃくちゃ高いのです。他山の石とは、まさにこの事です。

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」とは何者?...

 ソフトバンクG(SBG)は、将来お金を生むであろう『金の卵』を産み落とされた時に多量に買い込んで経済界へ放し飼い、ヒナが殻を割り始めてから高値売却して資金を回収するシステムで、独自の「投資ファンド」を都合2件立ち上げています。

株価の低迷など、一切想定していない「投資ファンド」...

 未上場の企業への投資。これって海のものとも、山のものとも分からない事も多く、【投機に近い投資】であることに他なりません。更に、「投資ファンド」を構成する資金は、産油国から確定利率による借入、利回り保証による借入、投資銀行からの融資、よからぬ筋?からの借入、自社(孫会長)所有の有価証券の担保借入等で確保、これら拠出金で賄っている可能性が高いです。
 つまり、卵の途中であっても「投資ファンド」から株券を売買して、売却実益を計上し続けないと「投資ファンドが資金パンクする仕組み」になっていると思われます。

但し、あくまでも「評価損」であること...

 6カ月で約5兆円の赤字は、世界的な株安を受けて上場する投資先の株価急落による損失に加え、未上場の投資先の評価額も独自に見積もり、巨額の含み損を計上したことによります。そして、孫正義会長兼社長の言葉を借りると、現時点では更に「1兆円程の損失額が増加している」とのことです。
 但し、これは評価損であり売却損ではありません。万が一、保有する株式を全て「現金化」するとすれば、途方もない実損が発生することでしょう。

未上場株券の株価は、原則『相対取引』価格で決まる...

 「途方もない実損が発生」とは、『足元を見られて、叩かれる』ということです。何故なら、これら株式に正当な値段など存在しないからです。不動産取引でよく使われる『相対取引価格』に近く、つまり「双方が納得する価格」と言い換えても間違いではありません。
 欲しい方にとっては、これら株式の値段は天井価格、株価などあってないようなものですが、今のように株安のご時世となって来ると『すべてが逆回転』し始めます。世間が落ち着くまで、最悪期は投資家や投機家が破産するまで続くのです・・・。

ソフトバンクGは、日経平均寄与度比率が4.7%程の巨大企業...

 その時々の日経平均値やSBGの株価動向によって差異がありますが、最大で5%近い「日経平均寄与度比率」を持つソフトバンクグループ(SBG)は日本を代表する企業です。
 日経平均寄与度最大手は「ユニクロ」のファーストリテイリングで9%程、第2位は「投資ファンド」のソフトバンクGで4.7%程、2社で計14%弱にもなります。
 こうなると、ソフトバンクグループ(SBG)の株式を購入・保有していなくとも、日経平均インデックス系に投資していれば、間接的にソフトバンクグループ(SBG)への投資、つまり「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」へ投資していることに他ならないのです。

これから続出する『悪い噂と悪い記事』...

 孫正義会長は、正式に「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の不振を公表された訳ですから、これから『悪い噂と悪い記事』が続出することでしょう。早急に事態が改善することもないので、不測な事態が想定されるやもしれません。
 大企業のオーナー社長ですから、命の危険までは考え過ぎですが、安倍元首相の事もあるので、十二分に気を付けて下さい。

8月10日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落、前日比58ドル13セント(0.2%)安の3万2774ドル41セントで終えています。ナスダック総合株価指数は3日続落して、前日比150.530ポイント(1.2%)安の1万2493.929で終了しています。



 昨日に続き、半導体大手の業績予想の下方修正が相次いでいます。本日は、半導体大手マイクロン・テクノロジーによる業績見通しの下方修正が相場の重荷となり、ハイテク株への売りが優勢となった模様です。
 但し、7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を明日10日に控えて、積極的な売りは限られ、株式市場の下値は比較的堅かったと見えました。

米半導体投資法が成立 7兆円規模

 バイデン米大統領は9日、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約7兆1000億円)を投資する法案に署名して同法が成立しました。中間選挙用向け予算のバラマキ、大盤振る舞いです。ハイテク先端技術を巡る米中分断が深まる中、現代生活に不可欠な半導体の国際競争力を高めて中国に対抗するとのことですが・・・。
 昭和末期、嘗て日本がこれを行なった時、米国は「日本政府の補助金による不正な産業育成だ」として大反対の大合唱でしたが、時が変われば、米国自らが先頭に立って「日本資金を間接的に使って」の『補助金のバラマキ』を行なう時代へと変貌したのです。

MYポートフォリオ

 3大株価指数が足踏み状態の中、比較的堅調に推移したポートフォリオ構成銘柄でした。英国籍の「ボーダーフォン」からの配当金が入金されました。携帯会社の苦境を示すが如く、前回支給の配当金より4.2セント減、1株0.472ドル(税込)でした。


8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...3

8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...4

8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...5

編集後記

 今回のソフトバンクグループ四半期決算を拝見すると、この会社は孫正義会長兼社長の所要企業であることを実感しました。会長もそこそこのお歳となって来られたし、あれだけの大企業であるからして、【企業統治】の面から眺めると『あんたしか、いないのかいな?』と感じたのは私だけでしょうか?
 もっとも、孫正義会長の信用力と実績で集客、集金、維持されているソフトバンクグループですから、欧米目線からすると『責任者のソフトバンクグループ孫正義会長兼社長』が事細かに説明できることが【絶対条件】であると言えるのですが・・・。しかし、商店ではなく、れっきとした株式会社なのですから...。

弱り目に祟り目


 *決して、当ブログでは日経新聞(WEB版)等の有料会員登録を勧めている訳ではありません。日経新聞(WEB版)には、月に10記事迄閲覧できる無料会員システムがありますし、これをPC・スマホで、複数のメールアドレスや家族名で使い分けると幅広く対処できます。私は無料登録会員のままですし、敢えて有料会員へのアップグレードは不要です。


8/10 6カ月で約5兆円の赤字を計上、ソフトバンクグループの苦悩...6