米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/02 欧州中央銀行(ECB)も利上げ貫徹、9月は0.75%か?...

 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事(ドイツ出身)は、7月の利上げ以降ユーロ圏のインフレ見通しは改善していない(インフレ率の低下が見られない)として、9月の大幅な利上げを示唆しました。ECBは7月の理事会で、政策金利0.5%を引き上げています。利上げは何と11年ぶり...。これで丁半、駒が揃いました!

欧州中央銀行(ECB)


 ECBは、米国FRBに続く「市中金利の引き上げ肯定派」グループ入りを決め、天然ガス・原油の域内の消費量を減らすべく、景気を犠牲にしてでもインフレ抑制に大きく舵を切ったのです。

手を携えないと、欧州は「ユーロ安の輸入インフレ」を抑えられない...

 FRBが利上げ路線を維持する以上、ECBも利上げを進めないとユーロ安が進み、輸入インフレ圧力が強まる恐れがあります。
 このため、ECB首脳は相次いで大幅な利上げを行うべきだと内外で発言し、「市場との対話路線」を大事にする素振りを見せながら、投資家の金利高への認知誘導に努めていると思われます。

欧州のインフレ亢進の元は、「脱炭素化」と「脱ロシア化」に行き着く...

 「脱炭素化の要」である再エネは、ここ数年の天候不良で不安定な状況が続き停滞気味、「脱炭素化の礎」に置く天然ガスは、調達先ロシアとの関係悪化で半強制的に挫折。両輪とも先行きが見通せなく絶対量の不足もあって、これから冬本番となる「難儀」が待ち構えています。
 今より更に、欧州各国のエネルギー価格は上昇せざるを得ません。再エネの普及を図ろうにも時間がかかりますし、気象や地形に左右されるため再エネは安定性に劣るのです。

欧州は巡り回って、金利引き上げで「景気の腰を折る」ことに・・・

 高尚な理論は得てして現実の前に砕け散ります。結果、高騰するエネルギー価格が「生産と消費の両面」で各国景気を悪化させるので、必然にユーロ安という「通貨安」へ進み、通貨当局はこれを阻止すべく、市中金利の引き上げ議論が現われてくるのです。堂々巡りの悪循環の繰り返しになります。

欧州の物価上昇は前年比9.1%、過去最高の伸び率...

 8月のユーロ圏消費者物価が前年比9.1%上昇と過去最高の伸び率を更新、エネルギーや食品を除いたベースでも前年比4.3%へとなるなど、ヨーロッパでインフレが落ち着く兆しは全く見えません。ECBが目指す2%の物価目標を大きく上回っているので、9月8日の理事会で、0.75%の引き上げ幅で決着する公算が強まっています。

世界の趨勢は『利上げ指向』へ傾く...

 このように、米欧の中央銀行が競い合うように利上げに進んでいます。その事由は「物価の安定、インフレ抑制」です。「少々の景気後退を招いたとしても、市民生活を守る」との大前提を前面に押し出しての利上げとなります。

日銀だけが、金融緩和の唯我独尊...

 一人だけ置いてきぼりは『日本銀行の黒田総裁』です。任期は来年3月、故安倍元首相と組んでの異次元の金融緩和(特に株式購入)など『中央銀行の禁じ手』を使いまくっての退任となりそうです。さすがに再々任は望み薄、残り半年『出口戦略』のスタートラインに立つことすら叶わず、後任へ煩雑な事を丸投げで「THE END」となるのでしょうか?

欧米の投機家の動きは「暫くは、日本株を貪り喰らう」・・・

 唯一、ブレることなく金融緩和を緩い条件下で続けている日本、欧米の投機家にとっては格好の儲けるターゲット国として映っています。更に、ここ数カ月かけて、24年振りの為替安(円安、140円台/ドル)へ誘導したことで願ったり叶ったりです。何故なら、欧米の株式市場は金利引き上げの影響で『下がることが確実』ですし・・・。

日銀は、購入済みのETFを売却する「最初で最後のチャンス」・・・

 9月以降、投機家は本腰を入れて「日本株の上値を追い求める」のではないでしょうか? そして、日本のマスコミもこれに便乗して『日経平均、年内3万円突破を目指す...』等、勇ましいタイトルを所狭しと並べて煽ることでしょう。日銀にとっては、購入済みのETFを一部分でも売却できる「最初で最後のチャンス」がやって来ているのです。

日本株を上げるだけ上げてから、円高反転で「落とす」?...

 日本市場の株価を引き上げられるだけ引き上げて(円換算の場合。ドル換算やユーロ換算では平行線)から、金利上昇騒動を持ち込み、急な「為替の反転」で円高へ誘導、ガッポリと投下資金以上を回収する手練れです。
 なお、ドルを主体とした海外投資家にとっては、「円高局面では日本株売り、円安局面では日本株買い」がオーソドックスな行動で、売買利益と為替差益の一挙両得を狙います。

歴史は繰り返さないが、韻を踏む・・・

 欲の皮の突っ張った「日本の投資法人や個人投資家」を市場へ参入させ、彼らの資産を虎視眈々と狙っています。あたかも丸々太った豚を食するが如く・・・。ありゃ? これはどこかで見た光景です。そう、平成バブル崩壊の最中、日本人が経験した「阿鼻叫喚の再現」です。ひたすら下がり続けた株式市場…。『歴史は繰り返さないが、韻を踏む』ことになるかも知れません・・・。

9月2日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発、前日比145ドル99セント高の3万1656ドル42セントで終了しました。ナスダック総合株価指数も5日続落して、前日比31.08ポイント安の1万1785.13で終了しました。



 米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化への警戒感から売りが先行したが、8月の米雇用統計の発表を2日に控えて持ち高調整の買いが入った模様です。

今、「売りたい奴には売らせる」しか手がない...

 早い話が、この「値下がり持久戦」に耐え得る精神力があるか、資金力が続くかです。過去の実例からして、早い・遅いの違いはあっても、米国株はいずれ元居た位置へ戻って来るのですから・・・。

MYポートフォリオ

 また、ぞろぞろと原油先物が売られています。実状の原油価格は2国間の中期・長期に亘る相対取引がベースでなので闇の中です。まぁ、臨時のスポット価格などは先物価格に少なからず影響を受けるでしょうが...。

原油先高感は変わらずに継続する...

 今後の原油先高感は否定できないので、今、原油先物市場で何故売るのかと問われれば、「限月(決められた取引最終日)」までの短期間の一勝負に他なりません。
 強欲な者達は、尤もらしい理屈を並べて人間心理を突き、証拠金取引の弱点である「恐怖心を助長させる」のです。参加者は、耐えられる・耐えられない微妙な境目で、損益分離の堀の上を平行棒を手にしながら歩むに等しいものです。


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編集後記

 漸く、ユーロ圏の欧州も利上げの仲間入りします。誰が見ても、欧州は米国以上にインフレ亢進、物価高に悩まされることでしょう。巷で言われる【ロシアの呪い】が、市民生活にどっぷりと根を下ろしているのです。

10円の値上げで客が来なくなる・・・

 日本へはインフレと物価高がいつ頃にやって来るのでしょうか? 暮らしていると実感がわかないのと、「製品価格の値上げより、サイズや容量のダウン」で目眩ませするのが日本企業の得意技ですから困ったものです。
 報道で、駅前の「立ち食いソバ屋」の店主が「10円の値上げが死活問題、10円の値上げで客が来なくなる」と話していたのが印象に残っています。ここんところは、「赤信号、皆で渡れば怖くない」理論を推し進める以外に手が無いです。

「改善」と「削減」を繰り返す...

 昭和の後期以降、為替が変動相場制に移行してからというもの、企業は目減りする利益に対して、「改善」「削減」を企業内で主テーマとして取り組んで来ました。
 取り組めば、それなりに結果がついてくるものです。円高の苦しい時期から「改善や削減」のやり過ぎで、今や企業においては、他社が行った「改善や削減」が直に自社へ影響(利益減少)が生じる「悪循環に陥って」います。儚くも、最後に行き着く先は「人減らし」と「低賃金」になってしまい、更に「成果主義」が導入されてからは、労使共に「会社は喰らう処」へと変貌を遂げてしまいました。


 『おい***、人件費はな、最大の経費(削除対象科目)なんだぞ!』が、私の入社1年目、ダフルカフスにハマっていた課長の得意のフレーズでした。

弱り目に祟り目

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