米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/3 米国債利回り4%超、30年物固定住宅ローン7%超え...

 米国で金利上昇が止まらない状況となっています。米国債利回りが「全ての年限で4%超え」となったことです。先々の金利低下を考慮して、30年物国債の利回りは4%未満で推移していたのですが、この防波堤が崩れました。

 好調し過ぎる米国経済データから、「インフレ抑え込みが長期間に及び、金利引き上げが継続する」との見通しが強くなっているからです。

逆イールドカーブは、依然として加速中・・・

 次の図のように、今では当たり前の光景である「逆イールドカーブ」。依然としてキラ星の如く存在して、更に加速しています。政策金利が高い状況が長引けば、米国経済はその分だけ下押し圧力を受けます。
 中長期的な景気減速懸念を最も映すのが、2年債と10年債の利回り差になるわけです。投資家達は、これからの米国経済に「黄色信号」を点灯させています。解消までは程遠い感じです。米2年債利回りは3月1日、一時4.9%台をつけました。これは、昨年のピークである4.8%を突破し、2007年7月以来およそ15年ぶりの高水準となっています。


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逆イールドカーブって何?

 金利は通常、返済リスクを織り込むため満期までの期間が長いほど高くなります。足元では2年債の上昇の勢いが強い一方で10年債の上昇は相対的に鈍く、2年債が10年債を上回る「逆イールド」が加速しました。
 金融情報会社リフィニティブによると、逆イールド幅は2000年以来およそ23年ぶりの大きさとなったようです。何もかも、記録づくめです。


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例えば、日本でこれが起これば・・・

 単純な推測ですが、日本で短期金利が長期金利を上回る「逆イールドカーブ」が発生したなら、『変動金利型の住宅ローン金利が10年固定型の住宅ローン金利を上回る』ことなりかねません。
 長い期間、お金を貸す(借りる)利率は、高い金利であることが常識ですが、「長期金利の引き上げは長く続かない」と市場から見下されているからです。

FRB高官たちの「金利に言及」がないと、市場は不安がる?・・・

 今週、「金利上げ下げの牽制球」を市場へ投げるのが大好きなFRB高官達が、大人しく息をひそめていた(あるいは、発言機会がない...)ので、株式市場のリアクションが乏しかったです。ようやく、現地2日、ボスティック米アトランタ連銀総裁の「援護射撃」となるような発言が市場へ伝わりました。余談ながら、ボスティック総裁は「市場からタカ派」と目されている方です。


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米アトランタ連銀総裁の発言主旨・・・

  • 「3月は0.25%ポイントの利上げが好ましいが、支持するかはデータ次第」と発言。データ次第としながらも、3月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の引き上げ好ましいと言及したこと。
  • 「夏の中盤から終盤までに利上げ休止あり得る」とも述べ、夏の利上げ停止の可能性に触れたこと。

 現在、10年物債券利回りが4%超えとなっていますが、ひと先ず金利の上昇が一段落しています。ドル・円の為替動向は朝方の高値137円09銭から136円71銭へ反落している状況。138円台を伺う展開になっても当然なのですが、ドル・円の下降(円安)は未だ見られていません。

米株市場も、久し振りに「上げ足」を速める・・・

 株式市場に関しても、ダウ平均値が何の前触れもなく上昇し始めたことから、この「米アトランタ連銀総裁の発言」を好感して、売り方の買戻しによるものと推測されています。
 ここ数週間、平均株価が下げ過ぎているので、好材料が市場へ投げられると『ぱっくりと喰いつく』のです。ハイテク比率が高いナスダック指数も3日ぶりに反発・・・。なお、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、21日~22日に予定されています。

3月3日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は続伸。前日比341ドル73セント(1.0%)高の3万3003ドル57セントで終えました。前日の1日夕刻、発表した決算と業績見通しが市場予想を上回った顧客情報管理のセールスフォースが大幅高となり、ダウ平均を大きく引き上げました。
 ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発。前日比83.497ポイント(0.7%)高の1万1462.982で終えています。検索サイトのアルファベットや画像処理半導体のエヌビディアの株価が伸びていますが、1日夕刻に開いた投資家向け説明会の内容が失望された「電気自動車のテスラ」は6%下げています。


セールスフォース株が11.5%高、ダウ平均を120ドル押し上げる...

 主役は何と言ってもセールスフォース株です。対前日終値比の11.5%高となり、1銘柄でダウ平均値を120ドル程押し上げています。

 セールスフォースが発表した2022年11月~23年1月期決算は、主力のサブスクリプション(継続課金型)収入の堅調な伸びを背景に、売上高は前年同期比14%増の83億8400万ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(79億9000万ドル)を上回った。

 24年1月期通期の売上高は345億~347億ドル、特別項目を除く1株利益は7.12~7.14ドルと、ともに市場予想(338億9000万ドル、5.87ドル)を上回る予想を示した。自社株買い枠も100億ドルから200億ドルに拡大した。


 「収益性の改善が我々の最優先事項だ」。マーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、こう繰り返し強調した。これまでスラック・テクノロジーズなどのM&A(合併・買収)を積極的に進めてきたが、収益重視の方針に沿って社内のM&A委員会を完全に解散したことも明らかにした。


 アナリストは軒並み目標株価を引き上げた。1日終値(186.59ドル)を49%上回る250ドルに上方修正したジェフリーズは、決算内容は「トライフェクタ(3冠)をもたらした」と表現。

 成長性、利益率、自社株買いの3点すべてをクリアしたと評価した。今後も会社が示した利益見通しを上回る余地があると指摘するとともに、自社株買いが拡大する可能性にも言及した。


 市場から「驚きの実績と見通しだった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティム・グリスキー氏)との声が聞かれる決算発表を示した意義は大きい。セールスフォースは足元で、物言う株主(アクティビスト)の圧力にさらされていた。1月にはエリオット・マネジメントの株式取得が明らかになり、投資額は数十億ドル規模とも取り沙汰された。


 昨年は新型コロナウイルス禍での特需が一巡。米利上げ加速によるハイテク株投資の環境悪化も加わり、株価は年間で47.8%下げた。経営改善を迫られるなか、今年1月には従業員の約1割を削減する計画も発表していた。景気悪化に伴う企業のIT(情報技術)予算削減の影響が懸念されているだけに、決算発表は市場に安堵感をもたらした。


 「モンスター級の四半期決算と見通しは(成長に)懐疑的だった投資家を静かにさせる」(ウェドブッシュ証券)、「どのアクティビストも満足させるだろう」(ドイツ銀行)との評価があった。


 ・・・(中略)「セールスフォースも困難を脱したというのは時期尚早」(カナコード・ジェニュイティ)との声も出る。

 決算を受け、エリオット・マネジメントはセールスフォースの業績改善に向けた動きに一定の評価を示しつつも「まだやるべき仕事は多く残っている」との声明を出した。(日経新聞 2023年3月3日 8:04)

 昨今、金利高による「GAFAM銘柄への売り」が止まない中、投資家たちのソフトウエア銘柄に対する一心の期待を背負って、11.5%の株高は凄いの一言です。一時的にせよ、ソフトウエア企業への業績懸念がいくぶん和らいだことでしょう。

鳴りを潜めていた「FRB高官の援護射撃」が現れた・・・

 今月(21日~22日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ幅が警戒していたほど大きくならない(0.25%~0.5%)との観測も買いを誘いました。
 タカ派と目される「アトランタ連銀のボスティック総裁」が、次のFOMCで「データ次第だが、0.25%利上げに断固賛成する。」と述べたと伝わりました。何と、タカ派の重鎮が金融市場へ強烈な援護射撃を行ったのです。市場では利上げ幅が0.5%に拡大するとの観測が浮上していただけに、株式への買い安心感を誘いました。
 但し、市場に巣くうスズメ達は「市場が騒ぐほど、FRB側の利上げ見通しは変わっていないだろう。」と指摘する声を盛んに拾っています。

但し、10年物金利は一時4.09%に上昇。昨年11月以来の水準・・・

 4%台へ上昇した「10年物長期金利」は、午前にボスティック総裁の談話が伝わった後も下がりきらず、午後以降も高止まりしました。しかし、このような債券利回り高であっても、米株式相場は上げ幅を広げたのです。今日も「債券市場と株式市場の値動きがばらばら」となっている違和感が見られました。

嘗てのリーマンショックにも似た・・・

 金利上昇と不動産市況の冷え込みで、商業不動産の投資環境は厳しさを増している。今回不履行となったのは、5億3100万ユーロ(約770億円)相当の商業用不動産ローン担保証券(CMBS)とのことです。
 嘗て、目にする日がなかった『商業用不動産ローン担保証券(CMBS)』。久しぶりに活字でお目に掛かりました。「不動産不況と不動産証券化債権」は切っても切れない関係ですから・・・。

MYポートフォリオ

 今日のセールスフォース株の伸長で、テック株への警戒感が和らぐと米株にぼんやりとした淡い光が灯るんですが・・・。なお、ここ2日程、値下がり激しい「アマゾン株」を買い増しています。アルファベット(グーグル株)株はちょっと間、休憩です。


編集後記

 日本円換算値で1株あたり2万4千円近くする値嵩株のセールスフォース株が、対前日終値比で11.5%(186.59ドル、+19.24ドル、+11.50%)も急上昇(取扱高は37,686,556株)するなど、日本株の眼中では考えられないです。
 この影響は同類の他企業にも波及して、ソフトウエア企業「アドビ株」が+10.12ドル高、アクセス管理の「Okta株」が+9.47ドル高...。と云った感じでした。

欧州の大穀倉地帯であった"ウクライナは消滅"・・・

 悲惨な記事を目にしたので掲載します。兎にも角にも、戦場になった地域は『お終い』です。これにウクライナの国内原発が放射能漏れなど起こせば万事休す、目も当てられない。

定期預金の高利回り・・・

 世界では「定期預金の利回り」が日本は大きく異なります。日本政府とメガバンク・金融機関が儲けを懐にしまい込んで、にやけている姿が浮かびます。

 スイスの金融大手クレディ・スイスはアジアの富裕層顧客を獲得するため、大口預金に競合他社よりも高い金利を設定している。事情に詳しい関係者が明らかにした。


 3人の関係者によると、クレディ・スイスは新規の500万ドル以上の3カ月物定期預金に年率6.5%の金利を設定。1年物では最高7%の金利を設けている。

 関係者の1人は、これらの金利は第1・四半期末までに期間が限定されており、新規の資金にのみ適用されると話した。


 関係者の話では、こうした金利はJPモルガンやUBS、シティグループといったライバル勢がアジアで設定している金利よりも100―200ベーシスポイント(bp)程度高い水準だ。


 クレディ・スイスの広報担当者は「銀行部門は世界的な利上げに、より高い金利で対応しており、クレディ・スイスは顧客に差別化された助言と競争力のある解決策を提供することに注力している」と述べた。(ロイター 2023/3/3)

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