米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

7/21 高PER・人気銘柄の危うい株価戻し...

 6月半ば頃の株安時に記録した最安値の株価から、高PER・人気銘柄の株価が大分と戻って来ているようです。市況を取り巻く環境は何も変わっていないにもかかわらず、先進国の株式市場から逃げ去った資金は少なく、逆に流入が見られると米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)からショッキングな報告がありました。

一蓮托生、毒を食くらわば皿まで…?

 これは、① ここまで巨額になった株式時価総額では、受け入れできる他の市場がもはや存在しないこと。② 少し動いても動くだけ、大きくなり過ぎた自己の重みで潰れてしまうこと。
 これらのことで「市場から逃げる」のではなく、逆に「株式買い支え」に踏み出すことで、株価下落の難局を乗り切り、次にやって来るであろう「上昇機運の飛び乗る」ことを選んでいるのでは? と思わざるを得ないです。試しに、高PER銘柄である「GAFAM」の株価推移を眺めると、次のような動きでした。下がれば『買わずにいられる訳がない』的に買いが入ってます。

  • AAPL  6/16の129.04ドル → 7/20の153.72ドル(119.13%)
  • MSFT 6/16の243.02ドル → 7/20の264.87ドル(109.00%)
  • AMZN 6/16の102.02ドル → 7/20の123.47ドル(121.03%)
  • GOOG 6/16の105.79ドル → 7/20の116.32ドル(110.00%)
  • META 6/16の159.61ドル → 7/20の183.09ドル(114.71%)

レポートでは『株式市場からの資金流出は極小』と公表...

 バンク・オブ・アメリカ(BofA)が公表したデータによれば、① 株式ファンドには年初から1810億ドル(約25兆円)が純流入した一方、② 債券ファンドは2060億ドルの流出でとなっています。

 そして、更に世界の株式ファンドの資金フローは「今年、驚くほど底堅く」、資金流入の大半は2022年の1-3月に発生し、4-6月は数十年ぶりの「高インフレ」と「景気停滞リスク」の高まりにもかかわらず、わずか80億ドルしか流出しなかった、とあります。

オプション等レバレッジ取引の減少や縮小が主体?...

 「S&P500種が高値から20%超値下がり」との見出しが躍る程、株価値下がりは数値的に十分過ぎる下落を見せていますが、株式市場に滞留している『投下現ナマ資金量』に関してみれば、今年の6カ月間だけを抜き出しても、さほど変動がなかったとの結論です。レバレッジを効かせたオプション取り引き等の減少や縮小で、株価調整が発生している可能性が高いとしています。


レポートでは『短期が中立、中長期は極端に悲観的』と結論...

 投資家センチメントに関する指標は「短期が中立、中長期は極端に悲観的だ」とし、株式市場は1年以上の期間については堅調なリターンが望めるかもしれないが、戦術的な降伏レベルに達する前に目先は一段安の可能性があると分析しています。さてさて、どうなるか?

7月21日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は続伸し、前日比47ドル79セント(0.2%)高の3万1874ドル84セントで終えています。ナスダック総合株価指数も続伸、前日比184.503ポイント(1.6%)高の1万1897.651で終了しました。なお、米議会では「500億ドル規模の半導体業界への補助金」が審議中です。


ネットフリックス株が続伸...

 報道では「動画配信のネットフリックスが前日夕に発表した決算が好感され、ハイテク株を中心に買われた。」とありますが、数カ月前、散々貶されたネットフリックス。「定額課金業態の限界」とまで揶揄されていたのに、株式市場を盛り上げるために【大きく持ち上げ】ています。
 同社の会員数の減少は止まらず、減り続けています。観たい映画があって、それを観終われば解約する「超短期ユーザー」の増加が頭痛の種です。

ディフェンシブ株への幅広い売りが続く...

 高PERで人気銘柄の株価が戻してくると必然的に「ディフェンシブ株」は売られ易いです。債券利回りも上がって来ていますし、暫くはディフェンシブ株の受難が続くやも知れません。

MYポートフォリオ

 ディフェンシブ株への売り物増加の影響が、もろに直撃しています(笑い)。高PERの銘柄は一切保有していないので、先行きは安泰ですが「爆上げ」は一切望みがありません。


7/21 高PER・人気銘柄の危うい株価戻し...2

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編集後記

 投資顧問の大手企業である「ブラックストーン」から金融動向予測が公表されましたので、ご紹介します。『米利上げサイクルは長期化、政策金利5%近くに-ブラックストーン - Bloomberg

  • ブラックストーンは、米連邦準備制度の引き締めサイクルは長期化し、インフレ抑制のために来年まで利上げを続ける必要があるだろうと、ブラックストーン・グループのチーフ投資ストラテジスト、ジョセフ・ジドル氏が予想した。
  • ブラックストーンは、インフレが米経済により深く根付いているため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は5%近くまで引き上げられる可能性があると同氏は述べた。
  • ブラックストーンは、「住居や賃金、米経済の中の一般的なキャパシティー制約を見ると、インフレ率はさらに高まると思われる。従って、金融当局によるより大幅で長期の対応が必要になると思う」と語った。同氏は大方の予想と同様に7月の0.75ポイント利上げを見込んでいる。
  • ブラックストーンは、現在の状況では全ての資産クラスについてデュレーション管理が鍵とみており、短期間で収入が得られ供給が不足している賃貸住宅や物流関連などの実物資産を選好。配当とフリーキャッシュフローを生み出す投資も金利リスクを軽減すると指摘した。
  • ブラックストーンは、1年以内の米リセッション(景気後退)の可能性は低いの見方を示し、「米経済は通常、単純に崖から落ちるわけではなく、一連の前提条件がある。それらの前提条件はまだ満たされていない」と分析した。
  • ブラックストーンは、為替については、米ドルの上昇ペースが減速するだろうと予想。「他の中央銀行も連邦準備制度との差を詰め始めるとみられるからだ」と述べた。

弱り目に祟り目

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