7/28 2カ月連続0.75%の利上げ決定、米国FRB...
米連邦準備制度理事会(FRB)は27日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開きました。6月会合に続き、0・75%幅の利上げを決めています。これは通常の3倍にあたる上げ幅で、2カ月連続の大幅利上げとなりました。米国は、40年半ぶりの物価高(インフレ)を強力な金融引き締めで抑え込みたい考えを前面に出しました。
今後の誘導目標は2・25~2・50%
今回の利上げで、政策金利の誘導目標は2.25~2.50%となります。金利を急ピッチで引き上げることで経済活動を抑え、インフレを落ち着かせる狙いです。米国時間の27日午後に、FRBのパウエル議長が記者会見を開き、今回の決定理由を次のように説明しました。
FRBのパウエル議長は記者会見の要旨
公表されている報道内容から、議長の発言内容(要旨)を抜き出すと、次のようなものです。特段、目新しい内容ではなく、予測されたことでした。アナリスト達、投資家達は、6~7の項目を重視するのでしょうか?
- インフレは目標水準(年率2%以内)を大幅に上回る状況が続いている。
- 今回、通常の3倍にあたる利上げ幅で、米国内の物価高(インフレ)を抑え込む。
- 米国経済は、利上げを完全に織り込んでいない。
- 次の会合でも、大幅な利上げを行うことも適切となり得るが、その判断は今から次回会合までのデータ次第である。
- いずれは、利上げペースを落とすことになる。これに係る政策は、各会合ごとに新たに決定される。会合では次回の利上げ幅に関して明確なガイダンスを示さない。
- 非常に力強い労働市場からして、米経済がリセッションに陥っているとは考えていない。需要はなお力強く、経済は年内成長を続ける軌道に依然としてある。
- 10月にインフレ基調が変わったら、速やかに対応したい。
米国インフレの元凶と目されている「ガソリン高」
米国でインフレ指標として用いられる「ガソリン料金」。今や、通常の3倍程度の値上がりとなっている模様です。
6月にバイデン大統領は、エクソンやシェブロンの石油メジャーに対して厳しい言葉を投げかけて、両社へ「喧嘩」を売りました。その通りですが、元はと言えば米国民主党の環境重視の施策に従ったからです。
「彼らが石油を増産しないのは、第一により多くの利益を得るため。第二に自社株を買う一方で、新規投資を全くしないためだ」
ガソリン価格高騰の原因は...?
次のような記事が、大分前に掲載されていましたので引用します。
ロシアが世界の主要石油輸出国であることを踏まえると、この数週間で価格が急騰している大きな理由は、ロシアのウクライナ侵攻に対してアメリカとEU加盟国が経済制裁したことにある。
ロイター通信の報道によると、アメリカは2021年に毎月平均2000万バレル以上の原油やガソリン製品を輸入している。これは輸入全体の8%を占める。
さらに、ロシア市場からアメリカの製油所に輸入される石油の種類も非常に重要で、アメリカでのガソリン生産には、この“より重たいサワー原油”が必要だと、ガソリン業界の専門家は『USA Today』にコメントしている。
「ガソリン価格」高騰が止まらない! 年末まで長引く可能性を米専門家が示唆|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)
温暖化対策サミットで「石油メジャー不要論」を展開...
2019年9月の新型コロナ禍の前、無名の少女とされていた「スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん(16)」をNYで開かれた「温暖化対策サミット」に引っ張り出して、気候変動が緊急事態にあると力説させる手口まで弄した「スウェーデンの環境NGO」。
きっかけは彼女の強い意志から始まったのでしょうが、グレタは学校へ行かないで各国を回って演説し、デモに参加していて、背後には大人達が付いています。
スウェーデンの環境NGOの目的は、ヨーロッパ全体で原発と火力発電を止め、自らが投資している再生エネルギーに政府の補助金を出させることです。
地下資源を採掘する企業が悪玉に祭り上げられ(特に石油メジャーは攻撃対象の最たるものとして)、金融制裁(新規融資を停止、既融資の引き上げ、公的基金の株式投資の禁止)でこれら企業へ強い圧力を掛け続け、世界各国は早期に代用エネルギー開発に取り組み実現すべきであるとしました。
「地球温暖化は政治であって化学ではない」の論はどうよ...
「地球温暖化は政治であって化学ではない」の論もあるように、企業の生命線である「融資」を持ち出して企業・産業潰しまで画策されるなど、気分いいわけがありません。また、政治家やマスコミは「地下資源を採掘する企業不要論」で国民を煽りまくって、犯人探しに翻弄する始末でした。
ガソリンを精製・製造するには、石油コンビナートが必要です。これには資金も必要で、完成後は保守点検を怠らずに製造し続けなくては品質を保てないことは明白。将来「政治判断」によって原価回収まで至らない恐れがある状況下では、設備投資の拡大は全くのナンセンスです。
原油価格が暴落、一時マイナス価格へ...
そして、新型コロナ感染が世界に蔓延して最高潮に達し、経済停滞から衰退へ、原油価格が暴落して原油先物価格が一時マイナス圏へ達するなど「原油不要論の報道がピーク」に達しました。しかも、政治家、ユーザー、投資家達は、地下資源企業の混乱動向など完全に無視、更に再生エネルギーへ投資と補助金支出を拡大し続けたのです。
私が石油メジャーの社長であれば...
このような取り巻く環境下で、私がメジャー社長であれば、いずれ「不要論がぶり返してくるは必定」ですから、原油採掘の削減、販売価格の高価格帯維持に陰日向で努めます。いずれは「地下資源採掘企業は潰される・不要となる運命」なのです。中東の産油国首脳も同様の考えでしょう。もちろん、ロシア首脳もです...。
米国はどうよ...
なお、米国は民主党、共和党で考え方が異なりますが、いずれにしても漁夫の利、いいとこ取りの米国の常で、米国企業の株式を保有されている彼・彼女は、今後の事は一切気に留める必要はありません。必然的に利益が転がり込んで来ますから...。
7月28日のトピックス
ダウ工業株30種平均は反発し、終値は前日比436ドル(1.4%)高の3万2197ドルでした。2カ月連続となる0.75%の大幅利上げを決めましたが、市場は「織り込み済み」とのいつもの勝手判断で売り材料にはならなかった模様です。
また、0.75%の利上げを無視して、金利低下が追い風になるハイテク株が買われ、ナスダック総合株価指数の上昇率は4%強と今年最大を記録しています。投資家達が、いかに「買いたい症候群」に陥っているのかが伺われます。しかし、利上げの事実は動きませんし、金利支払いが増加することは現実です。『ハタっと誰かが目覚めて、売り始めること』もなきにしもあらずです( ̄∇ ̄)。
MYポートフォリオ
ディフェンシブ銘柄中心のポートフォリオに切り替えていますので、ダウ平均やナスダック総合株価指数が上昇しても滅茶苦茶の影響がある程ではありません。分配金が振り込まれてきたので、手持ち現金が増加しています。これだけです。
編集後記
大山鳴動して鼠一匹、(読み)たいざんめいどうしてねずみいっぴき
今回の「26日~27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決定」ほど、素人投資家を愚弄した茶番劇はありません。「あるのか、ないのか、どうなのか?」マスコミや識者と称する方は、読者や素人投資家を煽り捲っていましたが、知る人はみな「この結果は決定済み」出来事だったのです。その理由はいつもの如く「米国の秋の中間選挙対策」でした。
雰囲気作りが功を奏した...
ガソリン高のコントロールが効き難い事は避けられないので、であれば、「株価を引き上げましょう」との考えに繋がっていそうな雰囲気があります。そして、選挙が終わるまでは、ダウ平均は3万ドル維持ができそうな感じがしてきました。皆が皆、これで納得したような「雰囲気作りが功を奏した」のでしょう。更に、猛然と買い進む投資家が現われるやも知れませんよ...。
懸念事項は、金利引き上げに伴う住宅ローン金利上昇です。30年もので5%超え(変動金利)なので、諸物価高騰と併せて『逆風』です。
弱り目に祟り目
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