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12/27【番外編】譲渡損失の繰越控除、損益通算の税務処理...その1

 株式取引では、これ以上の損失を食い止めるため止むを得ず「損切」を行う時があります。見方によっては『あります』という生易しい言葉ではなく、損切行為を『常に頭の片隅に置いて株取引を行うべき』と説く、株式指南役も多数いらっしゃるのです。
 損切りすると「必ず金銭的な損失額が発生」します。無事に他の銘柄の譲渡益で相殺出来たり、年間の配当受領額とチャラに出来れば、何ら問題ないのですが、赤字のままで1年(1/1~12/31)が終わってしまうことも多々あることでしょう。

申請から3年間有効、譲渡損失の繰越控除と損益通算の処理

 このような時、証券口座で「特定口座+源泉徴収(あり、申告分離課税)」を選択していれば、証券会社発行の「年間取引報告書 (年間損益報告書)」に記載されている数値を税務書類に転記するだけで、『上場株式等の譲渡損失の繰越控除や損益通算の税務処理』が簡単に出来てしまうのです。
 パソコンを持っていなくてもスマホだけで・・・。何んと、税務署は庶民に親切なのでしょう。このように思う人は、世間知らずの【お人好し】村に生息している方です。

税務署のタックスアンサー(よくある税の質問)

 税務署の公的なQ&Aは実によくできています。表現的にイマイチですが、誤解のないように「よく練られたもの」で無料(我々の税金で運用)で利用できるので重宝しています。
 ここに『上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁』の記載があるので、引用してみます。

 上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したこと等により生じた譲渡損失(以下「上場株式等に係る譲渡損失」といいます。)の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。以下「上場株式等に係る配当所得等の金額」といいます。)と損益通算ができます。


 また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます(注)。

 分かり易い図式として、次のようなサンプル図が掲載されています。クリックすると拡大図が表示されます。


上場株式などの譲渡損失の3年間繰越控除


 この措置は大分と以前から存在するので、株式取引を行っている方なら、御存じのことでしょう。条件としては、確定申告を用いて損失・利益を申告すると3年間の効力を持つというものですが、そのためには、
① 毎年、損失額だけではなく利益額も含めて「確定申告」し続けなければならない。
② 確定申告は行ったが、損益通算措置を申告し忘れたら追加申請できない。
③ 確定申告・国税の時効は5年だが、住民税の税還付は翌年6月上旬頃まで。
これらが重要な点です。

これって、突き詰めると税務署に株の利益を申告することに他ならない...

 「申告分離課税」とは、金持ちの方も貧乏な方も「決められた一定の利率」で、得た利益額に乗じて税金を徴収するシステムのことです。対極には「総合課税」があります。
 個人を特定できない「名無しの権兵衛さん」でも、税金さえ徴収できれば「御の字」という【昭和時代の悪弊名高い徴税システム】です。

税務署の悲願成就まで、あと少し・・・

 余談ながら、税務当局はこれを突き破る(分離課税の廃止、総合課税に一本化させる)ために、【マイナンバーカード普及に血眼】になっているのです。

そこには、せっせと悪代官に資産状況を知らせに奔走する投資家の姿が...

 損切り等を行ったがために、泣きの損失額が発生、年をまたいで過去の譲渡益や配当額と相殺するため、嬉々として支払った税を取り戻す行為を行っています。
 この行為、突き詰めれば、自主的に確定申告を行って、ご丁寧にも「取引状況・資産額」「損失額・利益額」「取引証券口座」「取引銀行口座」etc...、ひっくりめて税務当局に個人情報を報告しているのです。これでは、あなたの命の次に大事な資産状況が筒抜けです。
以下、続く・・・。

  1. 12/27【番外編】譲渡損失の繰越控除、損益通算の税務処理...その2 - 米国株 -『正しいものは美しい』
  2. 12/27【番外編】譲渡損失の繰越控除、損益通算の税務処理...その3 - 米国株 -『正しいものは美しい』

編集後記

 12月27日(火曜日)・・・。この日は、米国株の年内取引最後の日となります。アメリカ株を完結したい方は、今夜が泣いても笑っても年内最後の日です。NISA枠が残っている方、今夜(12/27)使わなければ、2022年度分が全て失効します。
 念のため、代表的なネット証券の米国株式取引の案内ページを掲載しますので、確認してみて下さい。


12/27【番外編】譲渡損失の繰越控除、損益通算の税務処理...その1