2/15 物価が上昇するから、半端なく米国株も値上がる...
統計は見方によって見る人を欺きます...。14日、米国労働省は「1月の消費者物価指数(CPI)」を発表しました。市場関係者が「今年のFRBの立ち位置を決める重要なデータとなるであろう」と煽った例の数値です。結果、とても「元気な数値」が、意に反して返って来たのです。
1月の消費者物価指数(CPI)
米国の1月消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.5%と、12月から伸びが拡大、2022年10月来で最大となりました。物価高の継続・・・。しかし、これでも株式市場は、買い優勢となったのです。
なお、12月分は+0.1%へ-0.1%から上方修正されました。前年比では+6.4%と12月+6.5%から伸び鈍化となりましたが、予想値を上回っています。
- 1月消費者物価指数:前年比+6.4%(予想:+6.2%、12月:+6.5%)
- 1月消費者物価コア指数:前年比+5.6%(予想:+5.5%、12月:+5.7%)
- 1月消費者物価指数:前月比+0.5%(予想:+0.5%、12月:+0.1%←-0.1%)
- 1月消費者物価コア指数:前月比+0.4%(予想:+0.4%、12月:+0.4%←+0.3%)
物価指数が「7カ月連続で鈍化」 → 「利上げも鈍化する」に違いない...
「1月消費者物価指数」は、前年同月比の上昇率が6.4%となりました。この数値は、アナリスト達が算出予測した「市場予想を上回った」のですが、前年前月データ(6.5%)と比べると【7カ月連続で鈍化】となったので、市場参加者にとって『株買いOK』と解釈されたのです。
同様に、「1月消費者物価コア指数」に関しても、【7カ月連続で鈍化】となったことで『株買いOK』と都合よく解釈されました。
FRBの目指す物価上昇率は、年平均2%上昇(下落ではない)・・・
このように米国物価データは、同年前月比と前年同月比の比較検討で上昇・下降、厳しい・緩いを判断します。但し、FRBは「年間上昇率(対同年前月、対前年同月)を2%前後に抑え込むべく、金融政策を遂行する」と公言していますので、数値的な目安は「2%前後の上昇」で間違いありません。なお、物価に関して、FRBは決して下落を望んではいません。上昇することで全てが丸く収まるのです。
今、目標とする物価上昇率(2%)の概ね3倍強(6.4%)で推移...
今、目標とする物価上昇データは、概ね3倍強の上昇率で、この傾向が12カ月以上続いています。また、上記グラフでも分かるように、ここ5年程は「物価がマイナス」になったことがありませんから、「常に物の価格の値上がり、言い換えれば紙幣価値の値下がりが、ひたすら続いている米国社会」と定義できます。
突き詰めると、平均株価は物価上昇率に比例して上下動する?...
株価に関しても、所詮は「物の価値を数値化したもの」ですから、物価の値上がり(紙幣価値の値下がり)に引き摺られて、株式の値段が上昇するのは自然の摂理です。
上記グラフデータから推測するだけでも、2021年1月以降、物価の上昇率が大きくなり始めていましたが、市中金利は据え置きのままでした。
この結果は「2021年における米国株価の大幅上昇」と符合することになります。後から眺めると【データは真実を語る】です…。
2月15日のトピックス
ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落、前日比156ドル66セント(0.5%)安の3万4089ドル27セントで終えています。ナスダック総合株価指数は続伸、前日比68.356ポイント(0.6%)高の1万1960.145で終了しました。
朝方、発表された「1月の米消費者物価指数(CPI)」の上昇率が市場予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の観測が強まり、長期金利が一時3.79%まで上昇、ドル高に転換、全てが株式相場の重荷となったのです。現地時間の昼前、ダウ平均の下げ幅は400ドル超まで下落しました。しかし・・・
物価上昇率のピークアウト解釈がまかり通る・・・
物価上昇率に関して「前年同月比の上昇率は、2022年6月をピークに低下傾向が続いている」との市場独自の解釈が勢いを持ち始め、下値では買いが入り込んで平均株価が戻し始めたのです。まさに「2/14 インフレ鎮静化の期待感が、株価を高値に引き上げる... - 米国株 -『正しいものは美しい』」です。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、市場へ強力な援護射撃・・・
更に、米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年の投票権を持つハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が、「年内のある時点で政策金利は十分に景気抑制的になると見込んでいる。そうなれば金利を据え置いて金融政策それ自体に仕事を任せることになる」と発言しました。
更に、近い将来にリセッション(景気後退)に陥ることはないとしたほか、労働市場が堅調であるため、レイオフの急増を伴わずにインフレ率を目標の2%に回帰させることができると言及して、「0.25%の利上げが適切で、金利は5%を上回る水準が必要」を繰り返しました。これらが市場へ伝わると、株価は上げ幅を急速に縮めたのです。
ハーカー連銀総裁の発言は、バーキン米リッチモンド連銀総裁やローガン米ダラス連銀総裁のタカ派発言と比べ、金融市場に対する強烈な援護射撃となりました。FRBにもこんな恵比寿様もいるんですね。
MYポートフォリオ
案の定、今日も今日とて「アルファベット(グーグル株)」が売られていたので、平均買値93ドル程で44株を買い込みました。なお、GOOGのレンジ幅は、最低92.65ドル - 最高95.18ドルで推移していました。
編集後記
目には見え難い『上げ基調』なるものがある、感じるとするならば『それは、今でしょう』。真正面からデータを眺めれば厳しくとも、斜め横から数値を眺めるだけで、意味合いが異なってくるものです。
「対・・比率」が何とも曲者ですが、米国には消費者の感触値的な意味合いの数値もあるようです。「1年後の消費者物価指数値は・・・」等の類です。ここまでくると、もはや好き放題的な「数値のいじくり遊び」となります。
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