8/15【番外編】日米における驚愕の「最低賃金」が判明...
日本の最低賃金、過去最大31円引き上げ目安示す...
時給で平均31円の引き上げ、8時間労働で換算すると1日当たり248円です。1カ月22日の実稼働として換算すると5,456円、12カ月稼働すると年額で65,472円の増額となります。
ここから税金を徴収され、社会保険料の増額、10%の消費税まで毟り取られるのです。
下図は、過去10年に亘る日本の最低賃金の推移グラフですが、米国と比べて厳しい現実が横たわっています。日本の最低時給は最も高い東京都で1,072円(税込)です。
引き上げが無いよりマシであるとの議論もありますが、配当資産株として名高い「Philip Morris International Inc. (PM)」の配当金支給と比較してみます。
今年度の最低賃金の引き上げについて議論してきた厚生労働省の審議会は、過去最大となる全国平均31円の引き上げを目安として示しました。
引き上げ額は昨年度の28円を上回り、最低賃金が時給で示されるようになった2002年度以降で最大です。目安通りに引き上げられると全国平均で時給961円となります。地域別の引き上げ額の目安は
▽東京、大阪、愛知などのAランクと
▽京都、兵庫、広島などのBランクが31円
▽北海道、宮城、福岡などのCランクと
▽青森、愛媛、沖縄などのDランクが、30円となっています。
実際の引き上げ額は都道府県ごとに設置されている審議会での議論を経て決まることになりますが、政府が全国平均の時給1000円の早期達成を目指す中今年度も大幅な引き上げが進められる見通しとなりました。
日本商工会議所 三村会頭「企業にとっては非常に厳しい」
「今回示された目安の額は、家計に対する足元の物価上昇の影響が強く考慮される一方、企業の支払い能力が厳しい現状については、十分反映されたとは言い難い。最低賃金の改定による影響を受けやすく、新型コロナの感染再拡大で影響が懸念される飲食業や宿泊業、原材料などの高騰を十分に価格転嫁できていない企業にとっては、非常に厳しい結果だ」と指摘しました。
週5日フルタイムで働いても、年収は210万円程度
配当資産株のフィリップモーリス株(PM)の配当支払いと比べると...
世界最大のたばこメーカーである「フィリップモーリス(以下、PM)」の年間配当額は、現行5ドル/株、配当率が5%です。日本円換算では665円(133円/$)になります。PMの年間配当額で上記65,472円を得るためには、65,472円 ÷ 665円 = 概ね98.5株のPM株保有でOKです。
8月13日のPM株終値が99.24ドルでしたので、99.24ドル×98.5株=概ね9,775ドル、日本円では概ね130万円の初期投資額で、時間給で31円の引き上げをカバーできてしまう悲しい現実が示されました。
銀行預金の利息支払いと比べると...
見方を変えて、例えば、この130万円を日本で銀行預金にすると、利息率0.1%として年額1300円の利息額となります。130万円で投資したPM株の年間配当額が65,472円、日本の銀行預金に預けると利息額1,300円(0.1%)です。その差は何と6,4172円、巨額過ぎてコメントできない程の差が生じています。
日本では、ゼロ金利政策が10年程続いており、今後も変更せずに続けることが想定されます。今や「株式を持つ者」と「株式を持たざる者」の保有資産の差は、生涯に亘って埋め切れない深い溝となりました。そして、現金指向の強い高齢者の資産が、今「政府」や「ハゲタカ」から狙い撃ちされています。
米国の連邦最低賃金は、2009年7月制定の7ドル25セント...
10年以上前の2009年7月24日に施行されて以降、現在までアメリカ合衆国の連邦最低賃金は7ドル25セントです。この他、各州が定めている最低賃金があるので、いずれか高い最低賃金が適応されることは言うまでもありません。
なお、連邦政府契約事業者に課せられる最低賃金額は2021年1月時点で時給10.95ドルですが、バイデン大統領の大統領令により、2022年1月30日以降に募集する労働者を対象として、時給15ドルに引き上げられています。
米国州の最低賃金の最高は、ロサンゼルス市の16ドル04セント...
今年2月の些か古いデータしかありませんが、ニューヨーク市と並んで人経費の高い米国ロサンゼルス市の最低賃金データを紹介します。(物価上昇が激しく・速いこと、これに伴う最低賃金の引上げが各州・各市で行われていて、WEBサイトから蒐集するデータ類の更新が追い付いていません。次のアマゾンの記事も概ね1年ほど前の記事です。)
ロサンゼルス市の最低賃金は、今年7月から16.04ドルへ引き上げられています。円換算では何と2,134円(時給)です。ちなみに、日本の最低時間給は最も高い東京都で1,072円(時給)なので、ロサンゼルス市との差異が1,072円-2,134円 = ▼1,062円(時給)。時間給の日米差がマイナス1,062円です。そして、視点を変えると、ここまで時給を引き上げても「米国企業は収益を出せる」ことこそが脅威なのです。
年間ベースで日米差額が、マイナス2,242,944円...
この差異は、8時間勤務で▼8,496円、月間22日勤務で▼186,912円、年間で何と▼2,242,944円。この金額は日米の労働者が受け取る給与の差異額なのです。
日米で同じ業務であっても、勤務地の違いで年間給与額の差異が▼2,242,944円となり、日本の労働者が少額給与に据え置かれているとデータが物語っています。何度でも言いますが、年間給与賃金の差が▼2,242,944円です。これ、労働者一人分なのです。
2023年、ロサンゼルス市は18.86ドルへ引き上げ決定済み...
そして、2023年にはロサンゼルス市の最低賃金(時給)が18.86ドルへの引き上げられますので、益々、日米労働者間で年間総収入額の差異が拡大していきます。そして、悲しいかな、日本は先進国から発展途上国へと、階段を下り始めたのです。
米国ロサンゼルス市は2022年2月3日、最低賃金を同年7月1日から時給15ドルから16.04ドルへ引き上げると発表した。最低賃金の引き上げはロサンゼルス都市部の消費者物価指数の上昇に伴う措置で、事業規模に関係なく全ての事業所が対象となる。
(中略)ロサンゼルス近郊では、観光スポットとして知られるウェストハリウッド市でホテル従業員の最低賃金が2022年1月から17.64ドルへ引き上げられており、2023年には業種や事業規模を問わず全ての事業所に対し18.86ドルへの引き上げが予定されている。
編集後記
とある新聞で日米の物価高の違いを象徴するような投稿記事がありました。某企業の日本本店では「ホッケ定食を980円」で提供。これが米国NY支店に行くと円換算で「ホッケ定食を4,580円」で提供しているとの内容です。NY支店は日本店に比べて高級な部類に入ります、と注釈がありましたが、この価格、これ狂ってますよ、日本の感覚では・・・。とにかく、一事が万事で、どえらいことが起こっている感触を受けます。
円安の今、外国人にとって日本の不動産(日本株も...)は安値・・・
外国人の不動産購入をOKしたままにすると、東京の新築マンション価格など日本通貨では「めちゃ安値」となって、買占めが起るのも無理ないです。そのしりぬぐいを日本の若いサラリーマン夫婦がしなきゃいけないなんて気の毒。夫婦共働きで35年、6000万円の住宅ローンなど、地獄の一丁目に飛び降りるようなものです。あぁ、ローン組んで買えるだけ、まだマシかもしれません…。
単なる金利引き上げで、諸物価高騰を抑えられるのか?...
最低賃金を日米で比較して痛切に感じることは、米国では猛烈に主要都市で物価が高騰している事実です。生きるためには生活費を稼がねばならない。少しでも時給の高い業種・職種に移って稼がねばならない。すると、低い時給の会社は人手不足に陥り、否応なく時給を引き上げなければいけない。
これが延々と繰り返されているのです。金利引き上げで簡単に収まるとは思えないし、月数も掛かり、その間に何処まで上がるのか? そして、一旦上がった時給は下がらないのが世間だし、世の常だから…。
ここに、株価急落が加われば・・・
更に、外部要因として「エネルギー価格の高騰」「穀物価格の高騰」等が加わり、若者がなけなしのマネーを注ぎ込んだ米国市場の株価が下がれば、秋の中間選挙の結果が番狂わせとなっても驚きません。
弱り目に祟り目
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