米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/17【続】米国市場でのフェデックス(FDX)ショック...

 週末の米国株式市場が終了となっても、フェデックス(FDX)の業績急変、それに伴う株価急落は市場スズメの格好の餌となっています。この辺りの分析記事が週末の学習テーマとなって来ることでしょう。過去の事例からも、示唆に富んだ格好のテーマですから・・・。


次期の四半期(9-11月)決算見込み...

 フェデックス社はアジアでマクロ経済面の悪化に直面しているほか、欧州のサービス提供でも問題を抱えており、9-11月(第2四半期)は、1株利益は2.75ドルと市場予想(5.48ドル)の半分に落ち込む見込み、と公表しました。

敗因は中国経済?

 中国のロックダウンの影響、これを押し広げると中国経済が直面している不動産問題に端を発した構造不況等が絡んでいるのやも知れません。そうであれば、根が深そうです。

新型コロナ禍の明け、中国からの出荷が減った...

 ラジ・スブラマニアム最高経営責任者(CEO)は米CNBCに出演し「新型コロナ禍で停止していた中国の工場が再開すると出荷が増えると思ったが、実際は減った」と明かした。ゼロコロナ政策、都市封鎖で物流の移動が大きく制限されたことが判ります。

フェデックスの業績は世界経済の先行指標とされている...

 更に、株式市場の不安をかき立てたのは「物流で高いシェアを持つフェデックスの業績は世界経済の先行指標」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)と見られているからです。これが為に、寄り付き後から対前日終値比20%超の下落、3千4百万株以上の株式が売られたのです。(下図は、FDXの1カ月株価チャートです)


リーマン・ショックの景気後退期も、先行したフェデックス株の下落...

 過去、リーマン・ショック時の景気後退期においても、フェデックスの1株利益と予測値の急減は、米国株式全体のそれより半年ほど早かった実績があります。これをそのまま当てはめると、次のような不気味な経済動向が浮かんでくるのです。

  1. 来年の春以降、世界経済に不景気という名の厚雲が垂れ込んでいるのが想定できる。
  2. その時は、今より更に『高い金利下に経済が置かれている』ことが確実視される。

嘗ての「トラック運転手不足」の悲鳴は、何処に消え去った?

 2021/11/21のニューヨークタイムズの記事で、『8万人足りない!米国「トラック運転手不足」の末路』(なり手は減り続け、配送期間は長くなる一方)が掲載されていました。日本も同様にコロナ禍明けに物流が滞る理由の第一に挙げられていたほどです。出したい荷物があるのにトラックが来ない・・・。私はこの問題を「賃金引き上げ」と「商品価格の値上げ」で、自然消滅したものと思っていました。

FRBは、今の高インフレ要因は「労働市場にある」と...

 米連邦準備理事会(FRB)は、米国で高インフレを引き起こす要因はブルーやホワイトに拘わらず「労働市場にある」と狙いを定めているようです。
 現在、米国内都市部の求人数は失業者数の2倍近くに達していますので、企業としては賃金を引き上げないと人を雇えない状況です。西海岸や東海岸の都市部では、日本の最低賃金と比べて2倍~2.5倍以上をを提示しないと駄目ですし、それがスパイラル的な物価上昇を招いているとのFRBの見立てです。
 究極、求人数を減らし、労働需給を緩めるための金融政策、具体的には「金利の引き上げ」が早急に緩むまで必要とみています。


9/17【続】米国市場でのフェデックス(FDX)ショック...1

大胆な、ゴールドマン・サックスの株価予想...

 日経新聞によれば、金融大手で政府御用達と噂されるゴールドマン・サックスが15日、「FRBの金融引き締めで、現在3.7%の失業率が5%に高まれば米国株式は14%下落、同6%なら27%下がる。」と試算したリポートを出した模様です。
 未だ、WEB上では閲覧できないですが、「失業率上昇」と「企業収益の悪化」はこれからが本番です。じわじわと、我々の前に現われては米国株を押し下げて去っていくのでしょうか。聞けば聞く程、気分がブルーになります。

政策金利は既に引き上げ中...

 海の向こうの米国でのことであり、既に7月に0.75%の引き上げが実施されたのですが、何故かピントきません。米国の政策金利は、2.25~2.50%の範囲内で運用されているのです。ちなみに、日本の政策金利は、-0.10%です。間違いではなく、世界で唯一「マ・イ・ナ・ス」なんです。誰も円貨を持ちたくないですよ...。
 一般的には、景気に中立とされる水準の金利は2.50%です。これを9月21日のFOMCで0.75%引き上げることが既定事実となってます。よって、米国では政策金利が3.00%~3.25%となって、明確に【景気抑制領域】に入ります。

今回(9月)のFOMCで、政策金利見通しが示される...

 6月の米FOMCでは「政策金利は22年末で3.4%、23年末で3.8%に達するであろう」との予想が、委員から発せられました。今回、FOMCから出されるであろう政策金利の見通しを、アナリスト達は22~23年とも同4.0%の大台に到達、もしくはこれを突き抜けると予測しています。

そして、米FOMC開催は、まだ年内に予定されている...

 そして、ショッキングなことは、年内に開催が予定されている米FOMCは、9月を除いても、11月(議長の記者会見あり)、12月(議長の記者会見なし)の2回もあるので、
FRBがその気になれば、一気呵成に最終金利を大幅に引き上げる事が可能なのです。

編集後記

 久々に秋台風らしい真っ当な進路を選んできそうな「台風14号」です。皆さん方に被害が及ばない事を願って・・・。

インフレ対策、選べるものなら・・・

 物価高を招く「インフレ」は、正体不明の掴みどころのない奴等です。招いてもいないのにやって来ては、我々に必要以上の支出を迫るのですから・・・。一度、行き着く所まで放置すると、どのような結果になるのか、興味を持っているのは私だけでしょうか? 
 どこの誰が根負けして白旗を上げるのか、はたまた生きながらえるのか、このようなことを承知の上で、インフレ対策の「ある・なしの選択」を自在に選べるのであれば、この歳になって多少の知識もあるので、私は「対策なし」の世を一度は選んでみたいです。

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