米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

4/27 米銀ファースト・リパブリックの経営不安が再発...

 米地銀の「ファースト・リパブリック(FRC)」は、株価を30%下げました。現地時間の24日夕刻に発表された「2023年1~3月期決算」で大規模な預金流出を公表、『大手銀行への追加支援要請や新株発行を検討している』と伝わるや、投資家から一斉売りを浴び続けています。こんな時、平均株価が上昇する訳などないのです。


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金融銘柄全般に弱気波動が蔓延し始めた・・・

 前日に株価が対前日終値から49%下げましたが、この日も下げ止まる気配を見せず、売り方の為すがままの状況になっています。更に、この余波がJPモルガン・チェースなど大手金融にまで及び、金融全般に弱気波動が蔓延して、上昇していた一部の地銀株にも売りが強く現れています。

何と、株価は1/10に下落…『もう、お前は死んでいる!』

 大手銀行による預金の支援がなければ、FRCの預金は前期比6割減というケタはずれの流出です。同行株は25日、前営業日比49%安と急落。直近株価は、金融不安が生じる前の3月上旬の水準から、ほぼ10分の1に下落した。

米当局は、FRC事案を『放置』に徹する意向・・・

 米国の金融当局は、現時点で「ファースト・リパブリック」の株価変動に対して完全無視を決め込んでいます。システミックリスク(1つの金融機関の決済不履行が次々と他の金融機関の決済不履行を引き起こし、金融システム全体を麻痺させるリスク)と捉えていないためだと説明されていますが...。いつまで頑張れるのか、見ものです。


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米当局のホンネは、第二・第三の「FRC」をつくらないこと!

 思うに、FRBが介入すれば、株式市場で第二・第三の「ファースト・リパブリック(FRC)」が物色されることは明白です。これなんぞ、イタチごっこになるので、「FRC」の株価が売り買いで蹂躙されていても、あくまで「放置する」のでしょう。

5月のFOMC、遂に『利上げは見送り』の公算が大に・・・

 取り付け騒ぎが起こったとしても、資金提供を続けられる限り、FRBは他行へは波及しないと踏んでいるのでしょう。これはこれで正しいです。いつの間にやら、5月のFOMCでは『利上げ見送り』となる確率が、市場で急速に高まっています。「ファースト・リパブリック(FRC)」株価の上げ下げが、嵐の濁流の如くなっている今、さすがに「引き上げる」無茶はできないでしょう。ただ、意地汚いパウエル氏ならやりかねないかも…。

4月27日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は続落、前日比228ドル96セント(0.7%)安の3万3301ドル87セントで終えました。ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発、前日比55.194ポイント(0.5%)高の1万1854.351で終えています。



 足元で米中堅銀行のファースト・リパブリック・バンクの経営不安が再燃し、米銀の貸し渋りが米景気を冷やすとの懸念が更に強まっています。
 一方、前日夕刻発表の四半期決算が市場予想を上回ったソフトウエアの「マイクロソフトは大幅高」となり、ダウ平均を引き上げる場面もありましたが、孤軍奮闘には限界があり飲み込まれてしまいました。GAFAM銘柄に賭ける米国株式市場の現状が判る場面です。

原油先物が急落・・・

 米国経済のリセッション懸念が強くなって来ています。地銀の混乱で「信用状況の引き締まり」が、米景気に悪影響を及ぼすことが警戒されています。懸念だけで終わるとは見ていますが、米国経済の拡大路線が長期間に亘り続いているので、売り方は『リセッション突入』と煽りまくっています。

FRC株の取引が、10回以上にわたり一時停止となる...

 米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)株が前日比30%安の5ドル69セントで取引を終了。49%安だった前日に続く急落です。
 漏れ伝わるころによると、米銀大手による『追加支援策は難航』しているもよう。売られ続けて、一向に下げ止まらない株価は、多くの市場参加者が『FRCの先行きを危ぶむ』心理状況を映しています。

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 テレビゲームのように高速取り引きがFRC株を取り巻き、NY証券取引所はFRC株の取引を10回以上にわたり一時停止しました。前日も数回中断していたと公表されています。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、FRCが複数の米銀大手に対して追加支援策を要請したと伝えた。

 FRCの融資債権や保有債券を、時価を上回る価格で買い取る内容が柱という。

 FRCが拡大してきた富裕層向けなどの融資は、金利上昇に伴い実質的な価値が目減りし、含み損は2022年末時点で221億ドル(約2兆9500億円)に及ぶ。


 資産の買い手はFRCの含み損の一部を実質的に引き受けることになる。大手行側は損失を最小限にするために、規制当局の積極的な関与を期待する。一方、当局側は民間主導の救済案を望み、FRC救済を巡って関係者間に思惑の相違があると米ブルームバーグ通信は伝えている。

MYポートフォリオ

 金融業界の混乱で、損保保険銘柄にも影響が及んでいます。昨日の売却に掛かる税控除が行われたので、6千万円の現預金が減少してしまっています。無配当のGAFAM銘柄の売却を検討しています。米国株のディフェンシブ銘柄全般に言える事なのですが、株価がかなり高くなっています。『値上がったものは必ず値下がる』ので、ご注意の程を・・・。


編集後記

 この騒動、「ファースト・リパブリック(FRC)」資産の評価損や実損を『何処の誰が、どれだけを負担するのか?』が焦点となります。

銀行の資産売却が、すんなりいかないのは...

 そもそも銀行は、預金者マネーを「資金創造で10倍近く膨らませて」から企業等へ融資を実行しています。通常であれば、評価損や実損が発生した場合、他社が支払った金利から充当される(企業側の利益減少)のですが、今回のように「あたり構わずの資産売却」ともなると、この概念が曖昧となります。

援助側が「見返り」を求めるのは、世界の常識・・・

 評価損が発生している銀行の保有資産売却がすんなりといかない理由は、ここにあります。このため、大手銀行であっても「当局からの要請」を必要として、見返りに公的な資金援助や税控除を要求する始末です。もっとも彼ら側に立てば、何処にどれ程の瑕疵が潜んでいるのか判別できない資産を抱えるので、止むを得ないとも言えますが・・・。
 しかし、これって「税金で救済することに等しい」ことにほかなりません。いつの世も、金融機関を潰す場合だけではなく、救済する場合であっても、一筋縄ではいかないのです。


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