米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/11 リーマンに続く「シリコンバレーショック」が降り掛かる...

 ホンの数日前には、200ドルを超える株価を維持(52週の最高値597ドル)していた「SVBファイナンシャル・グループ」...。この傘下銀行で、シリコンバレーの新興企業を資金面で支えた「米地銀シリコンバレー銀行(SVB)」が、運営資金繰りに行き詰まり、債務超過の末に経営破綻しました。打ち続く米国金利引き上げという大波にあがなう事ができずに沈没です。

一皮剥けば鬼の形相、ベンチャーキャピタル(VC)・・・

 一般預金者ではなく、変わり身の早いベンチャーキャピタル(VC)から預金の受け入れを増やし過ぎると、身動きが取り難くなりがちです。今後、新株発行がしずらい新薬開発のベンチャー企業に、多少の影響が現れるやも知れません。

預金は、法人顧客で主に構成されている・・・

1件当たりの預金量の多い「法人顧客」は、同一行動を取りがちです。情報の仕入れ先が同じところが多いので、今回の場合も『経営が危ない...』と噂が流れるや否や、「投資先が一斉に預金を引き出し始めた」と、あるVC関係者は9日晩の様子をこう語ったのです。


一皮剥けば鬼の形相、ベンチャーキャピタル(VC)

 預金者が殺到したため、オンラインバンキングでWEB障害が発生、預金が引き出せなかったとの声もあります。そうなって来ると、「SVBの発表がかえって取り付け騒ぎを引き起こしてしまった」(関係者)のかもしれません。
 著名投資家ピーター・ティール氏率いるファンドなどが、『投資先に預金引き出しを呼びかけた』ことも伝わって不安が増幅したようです。このような時は、悪魔の囁きにも似て、悪い方向に全てが進むのです...。


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テック業界との深淵度合いを不安視...

 シリコンバレー銀行の破綻の引き金を引いたのは、「テック企業やVCの預金引き揚げだった」と報道(2022年末の資産規模が全米で16位のSVBは、短期間で預金が急激に流出して資金繰りに行き詰まる)されています。
 よって、他行へ余波の広がりを株式市場は警戒して、似た金融機関へ強烈な株売りで応えています。しかし、この深淵度合いを掴むのは並み大抵のことではなく、時間の経過と共に判断する以外、手も足も出ないでしょう。


他の中堅銀行は財務基盤が比較的安定しているとの見方

 株式アナリストからは「個別行の特異事例が、他行でも起きていると連想した投資家の売りは、余りにも過剰反応だ」(バンク・オブ・アメリカのプーナワラ氏)という指摘がありますが、株券を紙屑化しないために、投資家が取り得る対応はかぎられるのです。
 破綻する前から『実質的に過小資本にあったシリコンバレー銀行』と異なり、他の中堅銀行は財務基盤が比較的安定しているとの見方がありますので、今回の波及範囲は限定的とみられています。今回は金利上昇の余波が招いた熱風で、過ぎ去るのが早いか、隣に燃え拡がるのが早いか、関係者は固唾を呑んで見守っています。

SVBのCEOベッカー氏、顧客に「落ち着くよう」に要請はするが...

 昨日、伝わった次のような電話会談の内容...。SVBのCEOベッカー氏の悲痛なる叫びでしたが、所詮『金の切れ目が縁の切れ目』のビジネス界です。しかし、「40年に亘り・・・」の件(くだり)が、胸にジーンと来るものがあります。


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 サンフランシスコ時間9日午前11時半(日本時間10日午前4時半)頃に、約10分間の電話会議を開催しました。

 この中でベッカー氏は、ベンチャーキャピタル投資家を含む同行顧客に対し、同行が過去40年にわたり「顧客を支援してきたように同行を支えてほしい」と要請しましたが・・・。

3月11日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比345ドル22セント(1.1%)安の3万1909ドル64セントで終えました。週間の下げ幅は1481ドルと、2022年6月中旬以来の大きさとなっています。ナスダック総合株価指数は続落して、前日比199.467ポイント(1.8%)安の1万1138.888で終えています。



 米中堅金融「SVBファイナンシャル・グループ」の傘下銀行が10日、経営破綻しました。米国金融システム全体に波及することへの警戒感から、金融株を中心に売りが大きく膨らんでいます。

影が薄かった「2月の米雇用統計」

 毎月、主役を演じていた「米雇用統計データ」ですが、今回だけは主役をシリコンバレー銀行に譲ったようです。
 朝方、2月の米雇用統計が発表されました。非農業部門の雇用者数が前月に比べ31万1000人増と市場予想(22万5000人増)を上回る大幅な増加となりました。一方、失業率は3.6%と、市場予想(3.4%)より悪化。平均時給の伸び率は前月比0.2%となり、これは市場予想値(0.4%)に届きませんでした。


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 この結果、米連邦準備理事会(FRB)が、今月21〜22日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)において、「利上げ幅を再び0.5%に拡大する程ではない」と市場から受け止められ、好感されてダウ平均が上昇する場面もあったのですが・・・。

急激な米長期金利の低下・・・

 長期金利の指標となる表面利率3.500%の10年物国債利回りは前日比0.20%低い(価格は高い)3.70%で終えました。SVBファイナンシャルグループの傘下銀行が経営破綻したことで、金融システムへの悪影響が警戒され米株が下落。相対的に安全とされる債券へ資金移動も見られ、債券買いが優勢でした。長期金利は一時3.67%まで低下しています。
 2年物国債の利回りは前日比0.28%低い4.59%で終えました。10年債の利回りが2年債を下回る「逆イールド」の幅は0.89%と前日(0.97%)から縮小しています。

1円以上のドル安、円高の進行・・・

 ニューヨーク外国為替市場で円貨は続伸し、前日比1円の円高・ドル安の1ドル=135円05~15銭で取引を終え、一時は134円12銭と2月24日以来の高値を付けました。なお、円の安値は136円80銭でした。
 発表された2月の米雇用統計で平均時給が市場予想ほど伸びず、賃金インフレへの警戒感が和らいだことに起因します。金融システム不安への警戒もあって株安+米金利の低下が見られています。日米金利差が縮小したことで、円買い・ドル売りが急速に進みました。私など、現時点で1ドル134円台は「ドル買い」の立場を取っています。

MYポートフォリオ

 今週の時価損益は▼3万ドルまでマイナス幅が拡大しています。円換算値では▼5百万円程ですか・・・。更に昨日は「円高のダブルパンチ」でしたからね…。このような株価下落時は、思い切って日頃買えない銘柄に手を伸ばしてみました。

金融セクターの大型株で構成されているETFである「XLF」

 昨日(65株)と今日(71株)、米国金融セクターの大型株で構成されている「XLF」ETFを買い漁って(今週、237株の購入)います。特に、ここ2日程は値下がり幅が半端ないので・・・。まぁ、次週も暫くはこの傾向が続くので楽しみです。
 なお、「XLF」ETFの保有銘柄ベスト10は、次のとおりです。バークシャー・ハザウェイ株が金融セクターに分類されていて、何と第一位の占有率であること、『驚き桃の木、山椒の木』です。

金融セクターの大型株で構成されているETFである「XLF」

3月10日、保有銘柄の取引明細

 クレジットカードの「ビザ」、投資銀行の「ゴールドマンサックス」の購入が群を抜いて目立っています。昨日実績は、「バークシャー・ハザウェル」でした。また、最も著名なETFであるVanguard Total Stock Market Index Fundの「VTI」を17株、久し振りに新規買いしています。そろそろ、VTIへの傾倒を強める時期に来ました。


メタ株への手抜き投資を後悔・・・

 適宜、GAFAM銘柄に関しては追加購入を行っています。今回、ダウ平均の下落率との対比では、さほど目立った値下がりとはなっていません。メタ株への「投資手抜き」が、今になって大きく響いています。


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編集後記

 シリコンバレー銀行の破綻の引き金を引いたのは、「テック企業やVCの預金引き揚げだった」と報道されています。しかし、私の見立てはこれよりも、市中金利上昇に伴うテック新興企業の業績不振、株価下落にあると見ています。銀行の運転資金に関して、銀行間で融通を受けるための『いわゆる担保不足が表面化した結果』との見立てです。

FRBの金利引き上げが深層の原因か?

 預かっている新興企業の株券の時価が半減から1/4程へ急激に縮小していること。米国債等の投資先債券に関しては、FRBの金利引き上げの影響をモロに受けて、大きく評価損が生じている状況で、もはや追加担保に供することが出来なくなっているのです。
 よって、止むを得ず市場へ「時価額での損切売却・・・」。帳簿上の損失額が表に現われて会社資本を食い潰したのです。これが莫大な額に上って銀行資本の増強に迫られ、例の『資本金の増資』を公表したというものです。これでは、預金の取り付け騒ぎ(倒産劇)が生じても止むを得ないでしょうね・・・。

ここでも、ゴールドマン・サックス・グループが暗躍?

 SVBファイナンシャル・グループは傘下のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻したのを受け、身売り先を探している。

  非公開情報であることを理由に匿名で語った同関係者によると、検討されているのは資産の部分的売却もしくは会社全体での売却。13日までの取引完了を目指しているという。

  SVBは10日、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれ、過去10年余りで最大の米銀破綻となった。

  SVBはゴールドマン・サックス・グループが主導するディールで総額22億5000万ドル(約3000億円)の調達を計画していたが、結局は断念したと別の複数の関係者が明らかにした。(ブルムバーグ 3月11日 5:20)

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