米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/10 SVBファイナンシャル・グループの中核銀行が破綻!

 「SVBファイナンシャル・グループ」は、米国シリコンバレーを中心に業務展開する唯一の米上場銀行として、米スタートアップの株式上場に深く関わっています。
 ことの発端は、SVBが8日、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を含むポートフォリオで大きな損失に被ったため、総額22億5千万ドル(約3060億円)の増資を実施すると発表したことでした。
 SVBの株価は9日に急落、10日の時間外取引での下げも含めると、発表以降の下落率は今や79%に達しています。


【SVBファイナンシャル・グループ、売買が停止中!】

本日中の売買再開は、まずないでしょう。

時間外取引で30ドル台迄下がっていた筈なんですが...。

株式市場も、次週月曜日には落ち着き始めることでしょう!


3/10 SVBファイナンシャル・グループの中核銀行が破綻!-1

SVBが破綻、米当局の管理下に・・・

 米国らしく素早い対応で好感が持てますが、市場開始の直前まで時間外取引で売買を行っていた投資家は悲惨な運命となりました。
 幸運にも売却出来た方はラッキーでしたが、買い向かった方、ホントにご愁傷さまです。米国政府の決定がもう少し早ければと思います。



同行CEO、必死の説得を試みる・・・

 同行のベッカーCEOは、サンフランシスコ時間9日午前11時半(日本時間10日午前4時半)頃に、約10分間の電話会議を開催しました。この中でベッカー氏は、ベンチャーキャピタル投資家を含む同行顧客に対し、同行が過去40年にわたり「顧客を支援してきたように同行を支えてほしい」と要請した。ということです。


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現預金をSVBから移す動きが活発化・・・

 アバラボのジョン・ウー社長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「これは典型的な銀行取り付け騒ぎであり、それが始まると最後の1人になりたくはないものだ」と指摘しました。ウー氏は、同社がSVB依存から離れ「既に多様化」していると語った模様です。また、あるスタートアップ企業のCEOは、9日にSVBから数百万ドルを引き出そうとしたが、うまくいかなかったと明かしました。
 但し、流れとしては「米著名起業家ピーター・ティール氏が共同創業者のファウンダーズ・ファンドなど、複数のベンチャーキャピタル(VC)会社は投資先企業にSVBからの資金の引き揚げを提言した。」が主流です。

スタートアップ企業の半数、VCポートフォリオ企業の44%に関与...

 同行が公開しているウェブサイトによれば、「米VCが支えるスタートアップ企業のほぼ半数、昨年の株式公開したテクノロジーおよびヘルスケア分野におけるVCポートフォリオ企業の概ね44%と取引がある」とのことです。

想定範囲ですが、現状と関与、そして今後起こること...?

 公開資料がないので、あくまでも創造範囲ですが、次のようなものでしょうか?

  • 一般的に新規の株式上場企業側に付いた証券・銀行は、企業側に上場株式資金を融資します。融資を受けた企業は株券を発行して、何倍もの株式売却資金を得て、上場の利得を得るわけです。
  • 銀行の担保は「これから上場する企業の株券」以外に押さえるモノが皆無なので、SVBも多数のタケノコ企業の株券を多量に所有していることでしょう。
  • 例外なく、銀行において株式公開は、当該企業の価値を最大限に見積もっていますから、当該企業の株価が下落すると大変なことになります。
  • この一年間、FRBの金利引き上げによって、スタートアップ企業の株価が半値以下に暴落しています。このことから、融資元銀行では担保価値の洗い(担保価値の精査)を行います。
  • 結果、担保割れ続出で『不良債権』が発生したことでしょう。
  • このため、SVB側は「債務超過」となり、自己資金比率の低下が目を覆うことになるので、資本(資金)注入を当該企業へ求めます。
  • しかし、資金流出で倒産を避けたい当該企業は「ない袖は振れぬ」とばかり、知らぬ存ぜぬを決め込みます。
  • このために、SVB自体の屋台骨まで影響が広がって、新年度早々の3月に『SVBへ増資』『SVB保有の数兆円の債券売却』を言い出したのです。
  • 極論すると、今回の「SVBファイナンシャル・グループ」の資本増強措置は、自行の資本毀損(債務超過)による『倒産回避が最大の狙い』であって、融資先の企業救済ではありません。
  • よって、知り得た投資家達は、執拗に同行株を売り浴びせているのです。

現時点の株価(プレ市場)は・・・?

 米国版Yahooファイナンスから生データを拾うと、なんとも悲惨なことが起こっています。思わず、目を覆います。


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 現地時間、午前6時12分、市場オープン前のブレ市場では「1株61ドル」程で取り引きされています。現物取引なので空売りは市場が受け付けていません。下落率は、前日終値の▼45.03ドル安、率では▼42.47%安です。2日間の株価データは次のとおりです。


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 これによると、8日の終値が267.83ドル、9日の終値が106.04ドル(39.59%)、10日のプレ市場取引では61.01ドルです。8日終値の株価と比較すると、概ね1/5程度まで暴落していることになります。
 なお、私が実際に行った中で、唯一「市場オープン前のブレ市場」の取り引きができたのは、マネックス証券(午後9時以降)だけでした。

「SVBファイナンシャル・グループ」を伝える報道では・・・

ブルムバーグ紙によると、次のような記事が掲載されています。抜粋して掲載します。

 SVB顧客はピンタレストやショッピファイ、クラウドストライク・ホールディングスなどが同行の顧客だ。


 次に何が起こり得るか?

 SVBから預金を引き出しているスタートアップ企業は現金を預けられる他の銀行を探している。一方、金融機関への投資家は影響を受けそうなほかの銀行を注視している。

 10日の米市場が開いた時に何が起こるかは不透明だ。パーシング・スクエア・ホールディングスの創業者、ビル・アックマン氏は米政府がSVBを救済するべきだと提案した。


 最悪のシナリオは?

 どの銀行にとっても最悪のシナリオは、手元資金が枯渇し事業が続けられなくなることや、資本が毀損(きそん)するほどの損失を出して当局から身売りか清算を迫られることだ。

 SVBの増資が成功すればこれは回避できる。どうなるかはこれからだ。(ブルムバーグ 3/10 16:57配信)

金利上昇で銀行が受ける恩恵とは?

 市中金利が上昇すると、銀行にとっては貸出金利が上がるので「受け取る金利収入が増加する。但し、融資先が問題なく払える相手であれば・・・」の『棚から牡丹餅の理論』が成り立てば、大きく銀行利益が増加します。しかし、現預金が枯渇していて払いたくとも払えず、逆に資金需要が不足している企業から、「生かす為に『追い貸し』が求められる」ことでしょう。
 すると、金利上昇の局面では、大手企業を相手にしている大手の金融機関においては、『棚から牡丹餅の理論』が成り立つけれども、これからの企業を相手にしている「地銀等の場合はケースバイケース」であると言えるのです。これを警告しているのが、次のブルムバーグの記事です。

編集後記

 SVBファイナンシャル・グループが公表した『3000億円を超える増資案件』。騒乱の中でこの額で収まりきれるのか?時間との勝負のような気がしてなりません。先に待つのは「破綻」か、政府による「救済」なのか。適宜、関連情報をアップしていきます。

バイデン大統領、仮想通貨マイニング電力に30%の課税を求める...

 何という「最悪のタイミング!」で、2024年度の予算書に盛り込まれたようです。もちろん、米国議会で可決されることが前提ですが・・・。報道によると、次のようなものです。

 米国において暗号資産(仮想通貨)マイニングの電気代を課税対象とする提案を米大統領ジョー・バイデン(Joe Biden)氏が政権の2024年度予算で行ったようだ。3月9日に発表された財務省の補正予算書によって明らかとなった。


 補正予算書によると米国財務省は、マイニングを行う企業に対して、マイニングに使用する電気代の30%に相当する物品税を課すという。なおマイニング機器が自社のものでも、リースされたものであっても課税対象となるとのことだ。


 また、この法案では、オフグリット(電力会社に送電網に繋がっていない状態、あるいは電力会社に頼らずとも電力を自給自足している状態)で電力調達を行う企業も課税対象となり、推定電気料金の30%に相当する物品税が課されるという。


 なお、この法案は可決されれば、2023年12月31日以降に開始する課税年度から適用される予定だ。

 また、この物品税は段階的に導入され、初年度は10%、2年目以降は20%、3年目以降は30%になるという。またマイニング業者には「使用電力の種類と量、その電力の価値」を報告する義務が課せられる。


 補正予算書にはマイニングについて「マイニングの成長に起因するエネルギー消費の増加は、環境に悪影響を及ぼし、環境正義に影響を与えるだけでなく、マイナーと電力網を共有するものにとってエネルギー価格を上昇させる可能性がある」とし、「マイニングは、活動が非常に変動しやすく、移動も多いため、地域の公益事業者や地域社会に不確実性とリスクをもたらす」という見解が記されている。(髙橋知里 2023-03-10)

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