米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/27 高金利の継続でインフレ抑制 -「早過ぎる緩和を歴史は戒める」...

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、「インフレを根絶するために利上げを継続し、金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆」しました。わずか8分40秒の短い講演でしたが、市場の株高期待を打ち砕くには十分でした。
 「米国の金融当局が近々に方針を転換するとの見方を強く牽制」したのです。しかし、講演内容は従前の主張の繰り返しであり、目新しいことはありません。世界に向けて、公式に発信したことが重要視されました。
 その結果、ダウ平均は1千ドル超も下がることになりました。上がる時は子牛の如くテクテクと、下がる時は脱兎の如く一目散に、何と逃げ足の早いこと・素早いこと。株式市場に巣食う阿呆鳥と提灯屋が勝手に『利上げ緩和が近し』と騒いで、株買いに精をだしていただけの話です。

注目のジャクソンホール会合での発言主旨...

 26日、パウエル議長はジャクソンホール会合で講演を行い、FRB議長としての考え方を強く米国民と世界の投資家に伝えました。事前に配布された資料によると、次のように要約・まとめられます。

  • 物価の安定を回復するには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高いこと。
  • 過去の記録は、早急過ぎる政策緩和を強く戒めていること。
  • インフレ率を目標の2%に下げる取り組みは、消費者と企業に経済的な痛みをもたらすものの、当局にとって「現時点で最も重要な焦点」だと考えていること。
  • 9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、「異例に大幅な」利上げ(0.75% - 1.00%)をもう一度実施することが適切となる可能性もあること。
  • 9月会合での決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右されること。
  • 労働市場は明らかにバランスを欠いているとみられ、労働者に対する需要が供給を大幅に上回っていること。

FRB議長はブレずに、従前の主張を繰り返しただけ...

 全般的に目新しいことはありません。FRB議長はブレずに、言葉を換え・追加して、従前の主張を繰り返しただけです。「7月のFOMC後の記者会見内容」や「同月の連邦公開市場委員会の議事要旨」と語句が異なっても、基本的に伝えたい事柄は変わっていません。



 パウエル議長は、「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、家計と企業に痛みをもたらすことにもなる。」ことを公に認めました。
 なお、9月に関する項目は、簡略的にまとめると次のようになります。

  • 金融引き締めは、インフレ抑制をやり遂げるまでやり続けなければならないこと。
  • 9月の利上げは、ほぼ確定であること。
  • 9月の利上げ幅は、先月までのデータ、以降の見込み分析データ次第であること。
  • 9月の概ねの見通しは、0.75%を軸に前後0.25%幅で検討されるであろうこと。
  • 10月以降の対応は、この場でコメントしないこと。

米国株式市場、3大株価指数がまさに「自棄(ヤケ)下がり」...

 パウエル議長の発言が終了して、発言主旨が外部へ伝わっても瞬間的な株価の下落は見られませんでした。何故なら、当初見込み通りの内容であったことで、市場参加者にとっては「ショッキングでした」が「驚きではなかった」からです。
 ドルは瞬間的に高騰しましたが、債券価格は左程動かず、利回りも幾分か上がった程度です。ダウ平均が千ドル超下がる「株価下落」であれば、為替は3〜5円の変動幅、債券は0.5%の利回り変動が、普通は見られる筈だからです。

米株は一度も反発することなく、ダラダラと下がり続けた...

 株価の値下がりは止まることを知らずに、市場の閉鎖時間が来るまでダラダラ続きました。私は、この現象を「ダラダラ下落する、自棄(ヤケ)下がり」と命名しました。ダウ平均が一日1千ドル超下落したのは、下り過ぎのように見えますが、8月に株価が上がり過ぎていたので止むを得ません。
 次週の見込みとしては、ダウ平均3万ドル割れにトライするかもしれませんし、明けには市場雰囲気が一変して反発するかも知れません。冷静に考えると、ここ一カ月、パウエル議長やFRBは何もブレていないのですから・・・。

早急に、東欧で争っている「2国の停戦」を仲介すること...

 依然として東欧では戦火が続き、当事国である彼の2国は地下資源産出と穀物生産の大国です。その余波が世界へ波及して「インフレを撒き散らしている」わけです。
 「臭いものは元から断たなきゃダメ」理論を推し進め、彼の2国を煽った『米英』が停戦実現を強く斡旋しないと、これ延々と続き世界が疲労します。ウクライナは近々「資金ショート」して、国の維持・存続さえ危なくなってきます。

要するに・・・

 パウエル議長の発言にあった「インフレを鈍化させる」までの道のりは、果てしない月日が求められるであろうことが、過去のデータからも示されています。更に世界経済は「戦乱」も抱えているのです。
 市場参加者の「ため息混じりの失望感」が直に伝わって来るようですが、「人は慣れる動物」なので、いずれは乗り越えて行くことでしょう。その時は、株価上昇パワー全開となるので楽しみです。

8月27日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3日ぶりに大幅反落。前日比1008ドル38セント(3.0%)安の3万2283ドル40セントと、約1カ月ぶりの安値で終えています。ナスダック総合株価指数も3日ぶりに反落、前日比497.555ポイント(3.9%)安の1万2141.710で終了しています。こちらも約1カ月ぶりの安値です。



 ダウ平均は、下げ幅と下落率ともに今年3番目の大きさでした。下げた理由は、ジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演し、インフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調したことです。「金融引き締めの長期化観測が強まり」、結果として「米景気の一段の悪化を懸念した」売りが幅広い銘柄へ伝染したのです。

欧州も利上げ機運が強くなる...

 欧州中央銀行(ECB)も大幅な利上げを継続するとの観測が強まっています。9月の理事会で通常の3倍である0.75%の利上げを議論する可能性があるロイターが伝えています。
 米国だけでなく、欧米の中央銀行の金融引き締めが強化されることで、世界的に景気悪化が避けられなくなるとの懸念も、投資家心理の重荷となった模様です。

MYポートフォリオ

 今回のような大掛かりな下げ相場が起った場合、市場参加者が無傷で乗り切れることはなく、かく申す私もボロボロとなっています。
 配当金の前掴みで、下がった銘柄の追加購入を行ったこともあり、年間の配当金・分配金の見込み額が初めて7万4千ドル(税込み)を超えました。また、円安(137円半ば)の進行もあって、円貨換算値で1千万円(税込み)越えの10,182,667円まで上昇するなど、孤軍奮闘してくれています。
 時価評価額は日々変動するのでホンに頼りないですが、「配当金・分配金」は思ったほど変動しないので「精神安定剤」として重宝しています。


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編集後記

 株価下落は想定内でしたが、1千ドル超のダウ平均値下がりは想定外でした。そして、一度も反発することなく、寄り付き後からズルズルと下がりまくった平均株価に対して、米国株らしくないと感じたのは私だけでしょうか?
 米国市場へは世界各国から幅広い考えを持った方々が集まってきます。そのパワーで一日数回の反発・下落を交えて動くのが普通なので、今日の株価チャートは「米国らしくないな」と感じてしまいます。
 最悪、今日は「株価下げ相場の単なる始まりに過ぎず、これから本格的な下落が始まる」のだとしたら、目も当てられません。では、土日連休をお楽しみ下さい。

弱り目に祟り目

 mRNAワクチン開発の有力2陣営が法廷で激突へ。「ファイザーとビオンテックは技術を複製した」との訴状。ファイザー側のワクチンを市場から引き揚げることや今後の販売差し止めは求めていない。ファイザーによる低・中所得国92カ国への販売については賠償請求をしないとしている。

 ドイツで33%、フランスで25%の値上がりーほぼ連日の高値更新。「市場の機能不全」で電力価格は誰の手も届かない。-チェコ首相が語る。


8/26 パウエル議長の講演後、ドル/円は140円を目指すか?…5