米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/06【番外編】天然ガスがウクライナ侵攻の最大理由に俎上する...

 遂にというか、やはりと言えばよいのか。9月5日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロシアがドイツ経由で欧州に天然ガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム」について、欧米の経済制裁が解除されるまで、供給停止を継続する可能性に言及しました。
 更に、ロシア大統領府は「ロシア産原油価格に上限設定のG7提案」で、西側諸国に報復措置を取る可能性に言及し、上限設定する諸国への販売を停止すると表明しました。

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ロシアがウクライナに侵攻した最大の理由は「ロシア産天然ガス」戦略

 本日は、この問題を取り上げていくのですが、ロシアがウクライナに侵攻した最大の理由に「天然ガス」や「ロシア産エネルギー」が俎上に上ってきています。ロシアの長期目線としては、ウクライナを小国に分割しながら、いずれはロシアに併合する腹積もりでしよう。彼の民族は数十年単位で物事を考えて実行します。

「米軍はウクライナに進駐せず」と内外に公言...

 ロシアの侵攻2ヶ月前、バイデン政権は「米軍はウクライナに進駐せず」と内外に公言して、プーチン大統領にリップサービスまでを提供しました。これではロシアのウクライナ侵攻にOKを出したも同然です。何としてでも、米国はロシア軍をウクライナに引っ張り出したかったのでしよう。

ロシア側の戦略解説が乏しい、日本のマスコミ...

 日本のマスコミは欧米マスコミの受け売りで、ロシア側の戦略解説がないので、我々読者は大変苦労します。ずら~と書き記していきますが、いつもながら纏まりには欠けると思います。ご容赦下さい。

2020年2月の時点におるロシアの天然ガスの野望

 ロシアは2020年2月の時点において、総事業費で約11兆円、総供給容量で世界5位の日本の年間需要量を凌駕する3大国際天然ガスパイプラインプロジェクトを推進し、実現しつつありました。
 3大プロジェクトとは、中国向けの「シベリアの力」、トルコ向けの「トルコストリーム」、ドイツ向けの「ノルドストリーム2」です。なお、現在稼働中の「ノルドストリーム」送付量は、原子力発電所14基もしくは石炭火力発電所50基の発電量に相当します。

潰しに掛かった米英の覇権主義。犠牲はロシアとドイツ...

 この3大プロジェクト実現にロシアは莫大な投資を行っています。米英はこれを潰すことで、ロシア側の投下資金をドブに捨てさせ、更に天然ガス供給を遮断すことで「得べかりし利益」を最大化させました。
 特に、ノルドストリーム2(トランプ政権は建設中止、バイデン政権は建設再開)においてはドイツの投下資金さえも回収不可にさせることで、ドイツ潰しも同時に実現できたのです。今や、ドイツの窮状はご承知のとおりです。

ウクライナ側の思惑も、米英に引き金として利用され...

 ウクライナ側の事情として、「ノルドストリーム」の常時稼働によってウクライナ側パイプライン輸送量が減少、連動する同利用料金も大きく減少しています。ここに「ノルドストリーム2」が完成すると、更に激減するので、パイプライン利用料金で国家財政が成り立っているウクライナとしては死活問題です。
 このため、ウクライナ大統領は「米英からの甘い囁き」に耳を貸したことでしょう。このような裏事情があるため、米英はウクライナ国内に使用を限定した軍事支援を行い続けています。ウクライナを生かさず殺さず、何としても、ロシア側に戦術核を使用させてはいけないからです。

予行演習したかのように、手際が良過ぎる

 対ロシア戦略は、広大なウクライナに進駐させることで各国から非難の嵐を吹かせ、これを理由にした経済制裁のタガをはめて締め上げる。多国籍企業のロシア撤退の決断が早過ぎること、一糸乱れないマスコミ論調(反ロシア)、ウクライナ周辺国の避難民受け入れなど、手際が良すぎます。これらが、私が想定する「ロシアにウクライナを侵攻させた事由」の一端です。


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G7、何とロシア産原油に上限価格を一方的に設定する...

 事の発端をみると、G7サミット(先進7か国首脳会議)で合意された『ロシア産原油の取引価格上限設定』が元になっています。私などはこれがさっぱり現実論として頭に入っていかないのです。挙げた拳をどのように、いつ頃に、下すつもりなのでしょう?
 なお、「ロシア産原油価格に上限設定」をWEB検索すると、次がヒットします。

  • 先進国がロシア産原油の輸入制限あるいは輸入禁止措置を進める中でも、それが原油価格の上昇につながることで、ロシアの原油輸出収入が期待されたほどには減らず、ウクライナでの戦費調達を助けてきたため...。

 我が国の岸田首相は7月3日、「今の半分程度の価格を上限として、それ以上では国際社会において買わない、買わせない仕組みを作る」とコメントしました。

ロシアが納得せず、売り惜しめば、原油価格が高騰するしかない...

 西側先進国の心底には、「原油は欲しくて買うシロモノではなく」て「高値でワザワザ買ってやっている」意識が抜け切らないのでは?
 購入側は「原油というシロモノを我々の技術力で有効利用しているからこそ、価値あるモノに変貌するのである」として、貴国(産油国)のように「有効活用できなければ、単なるドロドロとした液体にとどまる」。このような【蔑視】が招いている消し去りがたい揺れを感じるのです。

「ナショナリズムに火をつける結果を招くこと」を歴史が証明...

 もちろん、G7サミット以外の国々が市場価格での購入拒否を貫けば、ロシア側が利益減少や挙句には干し上がる訳です。しかし、『OPECプラス』加盟の他の産油国は、ロシアを援護するは必定、原油価格が高騰するしかないです。何故なら、消費者側が原油に「手を突っ込みし過ぎると、ナショナリズムに火をつける結果を招く」ことを、過去の歴史が証明しているからです。

OPECプラスがロシアに援護射撃、原油減産を決定...

 OPECプラスは9月5日に閣僚級会合を開き、10月の原油生産量を9月に比べて1日あたり10万バレル減産、8月の水準に戻すことを案の定決めました。これまでの段階的増産の方針を転換し、1年以上ぶりの原油減産に踏み切ったとみられます。

 9月の生産量は、バイデン大統領のサウジへの働き掛け?が功を奏して、増産となった模様ですが、大統領の権威も僅か一カ月の短命でした。

米国、この減産に反発するが、利益だけは享受する・・・

 報道によると、「米国は数十年ぶりのインフレ要因となっているエネルギー価格を引き下げるため、原油増産を各方面に呼び掛けており、この減産に反発する可能性がある。」とあります。かく言う米国では今、環境対策は二の次に押し込んで、シェールオイル増産に拍車を掛け、欧州へ自国産の原油・天然ガスを高値で売りまくっています。

しかしながら、覇権国である米国は強国である...

 米国ではこの点において民主党・共和党の区別なく動き、覇権国の【長期戦略】が蠢いています。80年以上前に中国大陸制覇で日米両国が衝突したように、今、欧州大陸制覇で米ロが火花を散らしているのです。

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「原油と天然ガス」は「米国とロシアの代理戦争」の様相・・・

 対ロシアに関する「原油と天然ガスの動向」を敷衍すると、欧州大陸に散らばる諸国へこれらエネルギーを誰が供給して配下に収めるのか、恒常的に利益を掬い上げるのか、安全保障の名のもとに行われる代理戦争のように思えてきます。もちろん、これは米国とロシアとのエネルギー覇権(消費国・売り込み先の確保)をめぐる争いです。

世界の大手マスコミは「反ロシア」の狼煙を炊き続ける...

 よって、ロシア侵攻が始まるや、小国ウクライナは子羊のように「消え去る運命の生贄」にされ、世界の大手マスコミは「反ロシアの狼煙」を強力に推し進めているのです。そろそろ、定番の米国発反ロシア映画が製作・公開されることでしょう。全てこれらは、米国の覇権戦略に組み込まれています。

投資家としてなすべきは、次の5文字を実践するのみ... 「米国株投資

 投資家としてなすべきことは、どのような時でも「自国通貨をドルに転換して行う米国株投資」に尽きます。米国株投資は、このような米国という強力な覇権国のバックボーンを陰日向から受け、大きく伸長するのです。
 利益の向かう先はアメリカ合衆国であることも、過去の歴史が証明しています。米国株投資、何とシンプルで且つ胆略化された素晴らしいシステムなのでしょう・・・!!

編集後記

 前日は米国の祝日(LABOR DAY)で原油先物市場も閑散としていましたが、「G7、ロシア産原油価格に上限設定」措置が原油先物価格にどのように反映するのか、今日の原油先物チャートを楽しみにしています。
 日本の諺に【腐っても鯛】の言葉があります。まさに米国の今後の伸長を体現する言葉であり、米国抜きでは何も成し得ません。なお、私は盲目的な米国信者ではありません。消去法の如く、将来の米国に「寄らば大樹の陰」として並走しているだけです。

米国株式市場が暴落しても日本市場は安泰か?

 某誌の「米国株式市場が暴落しても日本市場は安泰か?」と問うバカげた記事タイトルが目に止まりました。くだらない本文など読みませんが、庇護者がFRBから集中砲火を浴びて体中ケガをしているのに、手を繋いでもらっているヨチヨチ歩きの幼児が無傷でいられる訳がない。庇護者が幼児を守ると誰が決めたのか、体力的にどちらが強いのか、どちらが残るべきなのか、自ずと分かることでしょう。

今日も円安が続く・・・

 6日14時を回って、ドル/円は141円台手前まで下がって来ています。巷では145円/ドルが当面の下限の限界値と噂されています。

インフレを止める至極簡単な方法...

 短絡的に申し上げて、経済学ではインフレを下げる方法が判っています。インフレ率と失業率は【逆相関関係】なので、失業を増やせばインフレは止まります。そのためには金利を引き上げればよいのです。金利が上がれば企業収益が下がるので、雇用関係が確実にジリジリと悪化します。それが今、アメリカの中央銀行が行っている金利の引き利上げです。

弱り目に祟り目

 新首相の就任特有の「バラマキ」が始まったようです。ブルームバーグが内容を確認した文書によれば、「光熱費抑制策に伴う政府支出は今後1年半で1300億ポンド(約21兆円)に上る可能性がある。」とのことです。これ、利子だけ支払う『永久債券』で賄うのでしょう。ロシアを焚きつけた事、思いの外高くついた?

 電力の供給がなくなれば、国家として存続が出来ません。「原子力発電所」の守護は必須で、日本も早急に対応せねば、原発周辺の市町村がホント気の毒です。

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