12/06 ディフェンシブ銘柄への傾倒が始まる? (更新)
米国10年物債券利回りの低下が止まらない
12/03(金)には、とうとう10年物金利が1.4%を下回り、1.35%付近で推移(債券買いが旺盛)する「一大事」となっています。何故なら、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が公の場で、次のような内容を示唆したからです。結論から申し上げると、『今後、市中金利は上がる。よって、債券価格は値下がる。』と述べたのに等しく、「買い」ではなく「売り」なのです。
- テーパリング(段階的縮小)を予定どおり粛々と進め、これまでの計画よりも早期に資産購入プログラムのテーパリングを完了することを検討することを示唆した。
- QE(量的金融緩和政策)縮小を来年春にも終了し、同年下半期に利上げを開始する軌道を示唆した。これを受けて金利先物市場では同年に2回の利上げを織り込んだ。
くどいようですが要約すると、「今後は市中の債券類の購入を縮小し、停止する意向であること」と「2022年には市中金利の利上げを2回行うこと」を示唆し始めたのです。
これは絶対的ではありませんが、米国では各市場との対話を重要視しするので、前もって考え方を示唆して、広く薄く浸透させる手法を毎回取っているのです。
空売り勢が踏み上げを食らった可能性が浮上(更新)
ブルムバーグによると、12/3(金)週末に10年物債券利回りが大きく低下した一因は、「レバレッジドファンドる債券の買戻し」による可能性が高いとの内容です。仕手戦の様相を呈して来てので、この先の動向は不明になりました。提灯方がどちらに味方して勢いづくのか、これは見ものです。(更新 : 2021/12/06 14:58)
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、レバレッジドファンドは11月30日終了週に米国債のネットショート(売り持ち)ポジションを2020年4月以降で最も大きく増やした。
しかし米国債は上昇を続け、ブルームバーグ米国債指数は12月3日に9月以来の高水準に達した。値上がりの一部がショートスクイーズによるものだった可能性が示唆される。(2021/12/06 13:12 ブルムバーグ)
米国債10年利回り(1日チャート)
米国債10年利回り(1週間チャート)
しかしながら、1週間チャートを見てもジリジリと債券利回りが低下(買いが旺盛で債券価格が上昇)しているのが伺われます。
債券ファンドが危険信号を発信、米国債ETFに過去最大の資金流入
米株式市場にひび割れが見え始めた金融市場で、債券の上場投資信託(ETF)は目の前の危険を知らせる信号を発信し始めた。
最大の米国債ETFであるiシェアーズ米国債20年超ETF(ティッカー:TLT)には、2日までの1週間で過去最大の25億ドル(約2800億円)が流入した。
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」への不安が募る中、資金が米国債に逃避したことが背景にある。社債に対するセンチメント悪化も一因。380億ドル規模のiシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)では、空売り比率が過去最高に接近。
iシェアーズiBoxxハイイールド社債ETF(HYG)の資金流出入は、3週連続で出超となった。
こうしたクロスアセットのシグナルはさらに市場の動揺を強めるものとして懸念されている。新型コロナの不安に、予想外にタカ派寄りに転じたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が加わり、株式市場は揺らいでいる。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのシニア・グローバルマーケット・ストラテジスト、サミーア・サマナ氏は「タイトなスプレッドやオミクロンへの懸念、そして米金融当局の焦点が労働市場からインフレにシフトしたことを考慮し、クレジットに対する投資家心理にはじわじわと警戒が広がり始めている」と分析。
株式市場については、「ディフェンシブ銘柄が活気づいているはずだ。生活必需品と公益がアウトパフォームするのは想定内だ」と述べた。
(ブルムバーグ 2021年12月6日 4:52 JST)
円/ドル為替も円貨の連れ高基調
上昇すべき米国10年債券利回りが下落すると、円貨とドル貨の利回り差異が縮小するので「円が買われる」ことになります。で今、円/ドルは113円を下回り、112円台が出現しています。
今後、差異が拡大すると112円台を目にすることがなくなりますが、差異が縮小すれば111円台が出現します。貴方の見込みは何処にありますか?
円/ドル為替(1日チャート)
円/ドル為替(1週間チャート)
読者へのアドバイス
円貨をドル貨に変換するタイミングを計っている方なら、今このタイミングを逃さないことをアドバイスさせていただきます。更に円高となる可能性より、円安へ向かう可能性が高いことがお勧めする事由です。尤も、先々の事は誰も分かりませんが・・・。
1週間のまとめ等...
ETF組込比率に応じた銘柄の評価額と保有個別銘柄の評価額との合算
毎度の如く、唯漠然とETFへ資金を投下するだけでは心もとないので、① ETFに組み込まれている個別銘柄を組成比率から逆算して時価総額を抜き出し、② 個別銘柄の時価総額を加算したものを作成して、ポートフォリオ全体を見渡すため、下図リストを自動生成しています。
■ 個別銘柄を加算したリスト
■ ETF構成比に限ったリスト
個別銘柄を加えずにETFを構成している銘柄だけで組成したリストです。まさに、米国株式市場のトレンドを現している銘柄群が並んでいます。
編集後記
今年も1カ月を切るところまで進みました。米国では1月~12月が基本となる年度期間で、企業決算や信託、投信、連邦税、州税も同様です。『終わりよければ全てよし』の譬えもあるとおり、年度末を飾りたい気持ちは米国でも変わりません。
年度末の株高に向かって突き進んでくれることを願いながら、ディフェンシブ銘柄へ力点を少し動かして、お互い身を守ることが大事です。
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