米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/24 サウジの怒り、原油生産が風雲急を告げる?...

 報道によると、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、「先物市場の流動性の乏しさとマクロ経済への懸念を背景とする直近の原油価格の下げに対応するために石油輸出国機構(OPEC)には減産する用意がある」と述べました。
 更に、「OPECとロシアなど非加盟産油国で構成する『OPECプラス』には、課題に対応するためのコミットメント、柔軟性、手段がある」と語ったとあります。
 今や、サウジアラビアは米国と非友好で、親露の傾向が一段と色濃く出ています。バイデン氏よりプーチン氏への信頼が厚いのです。

WTI原油先物価格が上昇し始めた!!

 これを受けてNY市場のWTI原油先物価格は、次の24時間チャートの如くジリジリと上昇を始めています。一足飛びに、駆け上がることはないでしょうが、26日の「ジャクソンホール会議」で、主要消費国の幹部連がインフレ抑制、エネルギー問題、脱炭素等にどのような対応を考え、何をどのように発言するのかが注視されています。


8/23の24時間、WTI原油先物価格

原油先物価格低迷で、盟主サウジの面目丸つぶれ...

 ロシアへの経済制裁を遂行している西側先進国。ロシアは「OPECプラス」の主要メンバーです。今や、サウジの立ち位置はバイデン政権を軸にした西側諸国ではなく、自らの原油ファミリー(ロシアを含む)にあります。
 米国はイランへも手を差し伸べて、イラン産原油の輸出可能な算段も始めています。原油増産で米国に渋々譲歩したサウジアラビア。ここに至って怒りが沸騰したのでしよう。

バイデン大統領は、2022年7月半ばにサウジアラビアを訪問...

 先の訪問に関して主要マスメディアは、両国首脳が行った「グータッチ」の話題で持ちきりでした。サウジアラビアは米国からの原油増産要請に対して、7月と8月に予定量より50%増やすことを約束。但し、サウジアラビア皇太子は月産1300万バレルを超える生産はしないと明言しました。価格軟化に対して、一応はクギを刺したのです。


2022年7月、両国首脳が行った「グータッチ」

サウジアラビアは米国の顔を立てて、原油増産に渋々合意したが...

 サウジアラビアは米国の顔を立てて原油増産に合意しました。しかし、以降の原油先物価格の推移は、下記チャートを見る限り芳しくなく、このままでは原油価格を軟調にするためだけに、ワザワザ「原油増産」をサウジが表明したことになります。
 米国大統領の「中東訪問の成果取り」に使われただけで、サウジにとってはメリットがないどころか、「OPECプラス」の盟主としての立ち位置がグラつき始めています。このような背景があって、上記の「減産可能」発言が行われました。


サウジアラビアは米国の顔を立てて、原油増産に渋々合意したが...

嘗て、2020年4月20日、WTI原油先物価格がマイナス40ドルで決済!

 遡ること、新型コロナ禍の2020年4月20日、WTI原油先物価格は、歴史的に記録となるような大暴落を引き起こしました。何と、一時マイナス40ドルというかつてない最安値を付けたのです。取引価格としての最安値はゼロが通り相場ですが、ゼロを大きく下回ってマイナス40ドル(引けではマイナス37.63ドル)を記録したのです。

 今回、4月20日が「WTI原油先物5月物の決済日」だったので、ここでいったん決済する必要があります。しかし、決済したいのにゼロ円(無料)でも、原油の引き取り手が存在しなかったという事由によるものでした。

当時、コロナ感染の拡大により、世界中で原油が余剰となった...

 コロナ感染の拡大により、世界中で原油が充足どころか、余ってしまうことになったのです。原油を積んだままのタンカーが洋上を彷徨い、タンカー不足に拍車を掛けました。
 つまり、背景に「原油を保管するためのコスト負担が、通常時よりも莫大に発生する異常事態」が生じていたために、現物の受け取りを拒否、逆にお金を支払ってでも、手持ちの原油を引き取ってもらったのが真相です。普通では、とてもじゃないですが、考えられない事が本当に起こるんです。

時に、世界の原油消費国は、見て見ぬ振りをした...

 このような時、原油生産国はなす術もなく、サウジアラビアなどは国の存亡にもかかわる一大事でしたが、消費国である西側先進国は原油価格(先物をを含む)下落を放置したまま、無作為に過ごしたのです。結果、中東産油国は『原油価格の維持・発展は、自らが行うものである』と…。このように意識を改めたのです。

これからの展望...

 まず、盟主サウジアラビアが納得する価格帯としては「1バレルあたり100ドル超」でしょう。加盟国への説明にも事欠きませんし、2桁と3桁では大きな違いです。
 次に、米国のバイデン政権がハッパをかけて増産させまくっている「米国産シェールオイル」が、日量1500万バレルまで達しているので、シェールオイル産出量の上限設定を米国は行う必要があります。そりゃ、サウジアラビアが怒り心頭なのも分かります。
 「サウジの増産 + 米国のシェールオイル」が原油先物価格を軟調にさせている主因で、更にここへ、イラン原油の輸出再開が加われば・・・。これが、米国・バイデン民主党の狙いどころ、意図するところです。

既に、2陣営は敵対関係な状態にある?...

 更に、ロシア産原油に価格上限を設定する等の「反産油国対応を取る消費国」。 ガソリンに替わる「EV製自動車開発」。太陽光、波、風の「自然発電開発」。挙げればキリがありません。2陣営が既に敵対関係状態にあることが、お分かりいただけるでしょうか?

8月23日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3日続落、前日比154ドル02セント(0.5%)安の3万2909ドル59セントで終えています。ナスダック総合株価指数は小幅に3日続落し、前日比0.272ポイント安の1万2381.301で終了しています。



 依然として、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを続けるとの警戒感がくすぶり、「取り敢えず売り」が優勢となった模様です。

一時的な債券売り、ドル売りが入る...

 上昇を続ける米10年債券の利回り、場中に思惑的な売りが入り、一時ドルが全面安の展開となりましたが、2年米国債の入札が芳しくないとの情報が流れるや否や、「指標となる債券買い + ドル買い」が、再び優勢となりつつあります。暫くの間、どうあがいても、債券高(利回り上昇)+ ドル高の基調は変わりません。

MYポートフォリオ

 「BTI ブリティッシュ アメリカン タバコ ADR」の四半期配当金が入金されました。税引きの手取り額で989.60ドルでした。これで8月における受取額(税引き)は5319.89ドルです。
 今月の配当・分配金の入金は、期ずれがあるのでこれで打ち止めだと思いますが、ひょっとして8月末付で入金があるかも知れません。あれば、過去最高額の受け取りとなります。株価は不安定ですが、配当・分配の入金状況は安定かつ順調です。


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編集後記

 米国株強気派の気概が崩れ始めて来ているのが「24時間株式チャート」を見ていると分かります。本気で考えているのか、短期のポーズなのか、分かり兼ねますが、一銭も早くマネーを手にしたい気持ちの焦りなのでしょう。
 始めたばかりの「FRBの利上げ」を秋口から『緩めて』、年末には『停止して』、年明け以降は『時機を見て緩和』を実行する。よって『今、株買いを再開すべきである』との理論武装です。無理を重ねた構造となっているので、皆が乗って来ないのです。

弱り目に祟り目

 過去、陰・日向で続けられている「奨学ローンの返済延期措置」に加えて、減免措置まで繰り出しての「秋の中間選挙対策」です。
 「借りたものは返す」は、社会生活の基本です。結局、「徳政令」を発動するなら誰も税金など払いません。バラマキの最たるもので、『一票』のため、何でもありの一環です。

 米ゴールドマン・サックス(GS)は、今週開催されるジャクソンホール会合において、FRBのパウエル議長が「金利引き上げペース鈍化の可能性に改めて言及する」との見方を示しました。

 今の大勢は「言及しない」です。言い回しにもよりますが、GSの見方どおりであると、ダウ平均は33300-33500ドル付近へ、長期金利は2.8%台へ、ドル円は133円-134円台へと一気に戻る事でしょう。


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