米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

12/01「過剰な引き締めは望まず、利上げ減速へ」これが株高へ誘う...

 米国株式市場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受けて、12月会合での利上げ縮小観測が強まり、ハイテク株などへの買いが優勢となりました。特に、月末特有のお化粧買いも巻き込んで、取引終了にかけて株価の上げ幅を更に広げてこの日の高値で終えたことは特記ものです。
 パウエル氏が発した数分間の講演内容が、瞬く間に世界の隅々まで伝播して投資家を駆り立てました。今日の出来事で彼は、世界で最も影響力のある一人が「自分であること」をあたかも証明したことになります。


12/01「過剰な引き締めは望まず、利上げ減速へ」これが株高へ誘う...

米国株式市場、3大株価指数高騰...

 ダウ工業株30種平均は続伸し、前日比737ドル24セント(2.2%)高の3万4589ドル77セントと4月21日以来の高値で終えています。ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに大きく反発し、前日比484.217ポイント(4.4%)高の1万1467.996と9月19日以来の高値で終了しました。

「利上げペースの減速時期は、早ければ12月の会合になる」...

 パウエル議長は「利上げペースの減速時期は早ければ12月の会合になる」と述べ、金融政策が景気や物価に与える影響の時間差を考慮して『利上げは続けるものの、ペースは緩めていく考え』を示しました。金利高の期間を長くとる対応に切り替えるようです。ショック療法は終えたとの認識でしょうか?

 今日も、パウエルFRB議長から引き続き『利上げ継続するタカ派発信』を想定していた投資家は、一斉に「自らの売り取引を手仕舞い、巻き戻しの株買いに殺到」したことで、世界の株式市場では株高が随所で見られました。

「インフレ率の鈍化に明確な進展はみられない」...

 但し、利下げ歓迎派にとって喜ばしい事ばかりではなく、パウエル議長は「インフレ率が実際に低下していることを確信するには、さらに多くの証拠が必要だ」と強調したことを忘れてはいけません。
 更に、彼は「過去1年間、政策の引き締めと成長の鈍化にもかかわらず、インフレ率の鈍化に明確な進展はみられない」とも述べています。このことから、簡単には「利上げ停止・利下げ開始」には向かわないと見た方がよいでしょう。


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最終的な利上げの到達点 → 「いくらか高くする必要がありそうだ」

 FOMC参加者は、9月の時点で2023年末の政策金利見通し(中央値)を4.6%としていますが、パウエル議長は最終的な利上げの到達点について「いくらか高くする必要がありそうだ」と述べている点も気掛かりです。

鋭角の利上げ幅ではなく、鈍角の利上げ幅を採用?

 見方によっては、『鋭角の利上げ幅ではなく、鈍角の利上げ幅を採用』して、「到達点(最高金利)とその期間」が従来の見込み値から拡大させる可能性があります。すると、金利高の期間が長期間に亘って続くことになり、受けるダメージが大きいかもしれません。

債券市場、外為市場も一気の巻き戻し・・・

 昨今のFRB高官から発されたタカ派発言を受けて、株式市場では「講演で、パウエル議長が金融引き締め姿勢を強調する」との警戒感がありました。そのため、講演後、至る所でヘッジ取り引きの清算(反対)売買を強要された投資家も多かったことでしょう。
 債券市場でも、空売りの踏み上げ取り引きが発生。「清算買いと新規買い」が殺到し、その余波が外為市場にも直撃して、『強烈なドル売り、円・ユーロ買い』が見られました。暫くは、この基調をベースにした取り引きが続くことでしょう。


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高PER銘柄の株価が高騰...

 利上げ減速の期待から、米長期金利が一時3.6%台前半と前日終値(3.74%)から低下しました。長期金利の低下局面で買われやすい「高PER(株価収益率)のハイテク株」の背中を押して、これらは軒並み急伸して引けています。反動高の要素が強いので、現れるアクションが大きくなります。
 もっとも、パウエル議長の講演前には「売り優勢」となっていたので、ダウ平均は現地昼過ぎに268ドル安まで下げる場面もありました。講演後、安値から1千ドルほど急上昇したことになります。

MYポートフォリオ

 パウエル議長の講演前、軟調となっていた高PER株の「アマゾン株」15株、「グーグル株」4株を追加購入し、更にお気に入りの「ALLY アライ フィナンシャル」6株、「CWH キャンピング ワールド ホールディングス」1株を新規買いしています。

狙いは、100ドル未満の「アマゾン株」?

 私も、講演後に平均株価が3%程下がると見ていたので、これ以上を講演前に買い込むことが出来ませんでした。各銘柄へ下値の指値をバンバン入れて、寝入ったのですが、思惑が外れて万事休すです。
 グーグル株も100ドル超の株価に戻ってしまったし、各銘柄とも買い増しし難いほど高くなってしまいました。アマゾン株は依然100ドル割れなので、唯一「今だけ」のバーゲンセール銘柄かも知れません・・・。
 そもそも、アマゾン株は決算数値や理屈で判断する銘柄ではなく、思考回路を働かせてどのような未来図を描くかで判断すべき銘柄です。


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編集後記

 常にしかめっ面のパウエルFRB議長。まわりから表情を読み取られては金融政策責任者として失格です。常にプレッシャーを受け続けながら舵取りする辛さ等は、当事者以外知りようもありません。
 米国大統領は退任すると、今までの権力を奪い取られて、体裁よく政界、経済界から引退させられます。これに反して抵抗しているのが「トランプ前大統領」です。
 これに比べると、元・前FRB議長は世界経済界から引っ張りだこ。就職先が恰も終身制で数多あって、得る収入も莫大です。終身に亘って好きなことをして、出社義務もなく収入を得ながら暮らせるなんぞ、果報者です!