米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

12/21 日銀による不意打ち、騙し討ちの『金融政策の変更』...

 報道によると、日本銀行は「金融政策変更は、事前通達等を行うことなく突然行う」旨を表明していたとあります。米FRBが懇切丁寧に根回しを行う『市場との対話』等をすっ飛ばして(決別して)、日銀は『関係者による密室の決めごと』で「政策変更をやりますよ、と伝えていた。」とあるのですが、一体全体、誰に・・・?

米国株投資家ならドル・円の為替動向...

 米国株をメインにされていた方なら、差し詰め「ドル・円の為替動向」が気になることでしょう。日本の税務当局も売買における徴税基準を決済日のドル・円為替(仲値)に置いていますから・・・。
 昨日の昼過ぎに、市場に日銀による『不意打ち、騙し討ちの金融政策変更』が伝わるや、137円台を行き来していたドル・円の為替値は一気に133円台まで急騰。深夜帯のNY市場では131円台が出現する始末です。

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日銀によるメインの金融政策変更

 日銀は、長期金利の変動許容幅を、従来の0.25%から0.5%に拡大するようです。しかし、先だって米国のFRBでは0.5%の利上げを決議していますから、日銀が0.25%の利上げを行ったとしても、差し引きで0.25%分米国の金利水準が高くなることになります。これ大事なことです・・・。以下、時系列で整理しました。

  1. 14日、米国連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げが公表されました。
  2. 結果、日米の金利差が0.5%拡大します。
  3. 世界中で「ドル買い、円売り」が生じます。何故なら、ドルを買って保有するだけで、4%以上の金利収入が手元に入るからです。
  4. 20日、日本銀行が「長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大する」と公表しました。
  5. 結果、日米の金利差が0.25%縮まります。
  6. 但し、~13日までの日米金利差を基に計算すると、差し引きで0.25%の日米金利差の拡大が続くことになります。
  7. 結果、~13日までのドル・円為替値と比べて『円安になる』ことが基本セオリーです。
  8. 現在のドル・円為替値(21日午前6時50分、131.696円/ドル)は、これを無視した取り引き(円高)となっています。よって、いずれは、元の為替水準以上の「円安」に戻る筈なのです。

 これ、四則計算で考えると簡単な計算式で済んでしまい、幼稚園児でも分かる理屈なのです。しかし、ひとたび「投資の世界」に足を踏み入れると、投資家達の『思惑』が入り込んで、方々各方面に手足が伸びて変則になりがちです。

今回の日銀の決議では、理屈上、決して『円高』にはならない!

 今回の日銀の決議では、円は対ドルに対して、理屈の上では『円安のまま推移』して、決して『円高にはならない』のです。暫くは、外国為替市場において「カルチャーショック」が尾を引いて、ドル・円の上げ下げが続くでしょうが、いずれ元の鞘に収まる筈なのです。

早速、日本の住宅ローン金利改定(引き上げ)?

 日本銀行が20日の金融政策決定会合で長期金利の上限引き上げを決め、家計や企業活動にも影響が及びそうだ。

 住宅ローン金利は固定型の利率が長期金利を参考にして決まり、年初来の引き上げが加速する恐れがある。ただ、円相場は日米の金利差縮小で円高方向に振れるとみられ、急速な円安で進んだ輸入物価高の沈静化にも一役買いそうだ。


 大規模金融緩和では、短期金利をマイナス0・1%とし、長期金利は0%程度に誘導する。

 日銀の裁量で決まる短期金利とは異なり長期金利は市場の売り買いで決まるため、日銀は長期金利が指定の0・25%を上回りそうになると国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」で抑えてきた。 今回の上限引き上げで今後は0・5%まで上昇を認める。


 長期金利の上昇でまず懸念されるのは、住宅ローン金利の負担増だ。今年に入り世界的な金利上昇で日本の長期金利にも上昇圧力がかかり、固定型は引き上げの動きが続いたが、今後拍車がかかりかねない。

 また、企業向け貸出金利の指標である長期プライムレート(最優遇貸出金利)も長期金利を参考としているため引き上げられる可能性がある。


 一方、米国の急激な金融引き締めで拡大してきた日米の金利差は今回縮小方向に動いた。円建てで運用するうまみが強まることで、外国為替市場では円買いが進みそうだ。円高は輸入製品の購入負担を下げるため高止まりした国内物価を抑制する効果があり、家計負担の軽減につながると期待される。(産経新聞 2022/12/20 15:42)

(注意)日銀が為替介入した時点で比較すると、日米金利差は縮まらず、拡大傾向にあります。上記の記事内容は誤解を生じかねません。

12月21日のトピックス

 米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発、前日比92ドル20セント(0.3%)高の3万2849ドル74セントで終えています。ナスダック総合株価指数も5営業日ぶりに小反発して、前日比1.080ポイント(0.01%)高の1万0547.112で終えました。
 ダウ平均は前日までの4営業日で約1350ドル下げており、主力銘柄の一部に短期的な戻りを見込む買いが入った模様です。但し、世界の主要中央銀行による金融引き締めが景気を冷やすとの懸念は根強いままです。


各国通貨に対して『ドル安』が生じている・・・

 日銀が20日まで開いた「金融政策決定会合」で、長期金利の変動許容幅を拡大することを決めました。大規模緩和の縮小に向かうと受け止められ、主要国の長期金利の上昇につながったています。
 外国為替市場ではドルが主要通貨に対して売られ、「米国外での事業比率が高い企業の収益悪化が、今後は幾分和らぐとみる買いも入った」との指摘が強かったです。
 なお、アナリストが目標株価を引き下げた電気自動車のテスラは8%下落した。追い打ちとは、このことです。

MYポートフォリオ

 米国の金利上昇が続いている間は、ハイテク系銘柄の株価がパッとしませんから、買い込むには最適な時期です。いずれ『飽きられて』株価が戻り始めるので、それまでの短期勝負となりそうです。本日付でブラジル籍の食肉会社(BRFS BRF ADR)49株を新規購入しました。米国籍のタイソン株とセットで考えたいです。


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編集後記

 日銀の「長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する」発表で、唯一低金利政策を続けていた日本も「金利引き上げ」に「仲間入り」することになりました。日本も遂に、平民の金融政策(低金利)から脱皮して、富裕層の金融政策(高金利)に進むことになりました。
 金利が高い世では、お金を借りたなら最後、ケツの毛まで毟り取られます。20日の東京市場で「金融株が急騰」したのも、この理屈に飛び乗った強者どもの魂胆が見え見えです。

信頼感と信用度合が低い日銀総裁・・・

 なお、市場参加者の胸中には、「日銀は現行の緩和政策を更に修正するとの警戒感」が詰まっており、「円買い圧力が強まりやすい地合いとなっている」との認識を持つ参加者が大半と見られます。
 市場との対話力に乏しく、『不意打ち・騙し討ち』を得意とするような中央銀行トップの言質など、誰も信用しないのでしょう。