米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

2/21【番外編】買い進むのか?静観するのか? そろそろ、腹を据えないと...

 各種の経済テータで猛威を振るい鎮まる気配が未だ乏しい『米国版インフレ』ですが、いずれ鎮静化、収束に向かうのは確実です。著名な投資家は、先回りしてポチポチと前年10月-12月期に仕込み始めているのが判明しました。そろそろ、我々素人投資家も準備し始める時期に来たのではないでしょうか。

フォーム13F・・・

 米国では、総額1億ドル(約134億円)以上の株式を保有する投資家は、保有状況を米証券取引委員会(SEC)へ四半期(3ヶ月)ごとに届け出る義務があります。主に米上場銘柄が対象です。2022年12月末時点分の保有状況の開示が2月半ばまでにほぼ出揃いました。備忘録程度でも、チェックは必要です。

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 この報告書は通称「フォーム13F」と呼ばれ、究極のプロと呼ばれる投資家・投機家の行動が一端でも垣間見える資料として毎回注目されています。次の日経新聞の記事を参考にして、主なところをご紹介します。

我々は、腹を括り始めるべきなのか・・・

 そろそろ、我々、個人投資家もフルインベストへの加速感を引き上げるべきなのか、あるいは現預金比率を高めて、維持し続けるべきなのか、ベテランカリスマ投資家の四半期前の動向をチェックしてみましょう。

バークシャー・ハサウェイの保有する米株式

  • 10月-12月期のバークシャーは新規の銘柄追加を行わず、既存の保有株数をいくつか増減させただけであったこと。
  • 【増加】アップル(AAPL)を33万3,856株増やして8億9,513万6,000株を保有。バークシャー保有株の概ね39%のシュアとなる。メディア企業のパラマウントグローバル(PARA)を240万株増やし936万株。住宅用建材を扱うルイジアナ・パシフィック(LPX)を124万株増やし210万株をそれぞれ保有。以上、3銘柄を増加させた。
  • 【削減】シェブロン(CVX)、ゲーム会社のアクティビジョン・ブリザード(ATVI)、金融のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)やUSバンコープ(USB)、ファウンドリーTSMC(TSM)などでした。

バフェット氏の両建てポートフォリオ

2022年12月末時点の保有ポジションの主だった銘柄は次のとおり。

  1. アップル
  2. バンク・オブ・アメリカ(BAC)
  3. シェブロン
  4. コカ・コーラ(KO)
  5. アメリカン・エキスプレス(AXP)
  6. オクシデンタル(OXY)

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 バークシャーのポートフォリオはITの雄である「アップル株」、「銀行株」、「エネルギー株」が大半を占め、集中投資しています。今後の金利状況の上昇・下降に拘わらず、ウクライナ争乱の鎮火・拡大にも対応できるような銘柄の組み合わせです。

なんと、マイクロソフト株は子会社ポートフォリオで保有中・・・

 ウォーレン・バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイ社を通じて子会社が、あまり知られていない「59億ドル相当の株式ポートフォリオ」を所有しています。
 メインのポートフォリオに仲良しビル・ゲイツ氏の「マイクロソフト株を保有していないのが七不思議の一つ」でしたが、何の何の、子会社が保有する株式ポートフォリオにキッチリと据えられているじゃないですか?

  • 保有中のマイクロソフト株の市場価格: 1300万ドル。初回購入は、2001年第1四半期。

もっとも、この子会社ポートフォリオ内でも最大はアップル株です。

  • 保有中のアップル株の市場価格: 28億3000万ドル。初回購入は、2013年第1四半期。

原油銘柄のシェブロン株も古くからちゃんとあります。

  • 保有中のシェブロン株の市場価格: 6億3790万ドル。初回購入は、2001年第1四半期。

有力な投資会社の保有状況

 フォーム13Fは、四半期末時点に機関投資家がどんな銘柄をいくら保有しているかを開示するために行われているものです。

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 但し、米国外への投資や債券投資、オープンエンド型投資信託などが「報告対象外」となっていますので、ポートフォリオの全てが開示されている訳ではありません。この点、要注意です。
 そして、報告対象はロングポジション(買いポジション)だけなので、空売り状況は一切不明であること。更に、米国特有の『曖昧さ、数字の不一致等...』が至る所にあると云われています。
 私など知恵の浅い者にとっては、全て英文なので、見難いこと極まりなく、日本の奇特な方が独自に「まとめたWEBサイトを訪問してチェックする方法がベスト」です。

テック銘柄に帰着し始めている・・・

 急ピッチな利上げで大幅に売られたハイテク株、一斉に手放した同銘柄を十分に下落した10-12月期に大きく買い戻した跡が伺われます。対中国に対して強硬姿勢を続けている自国政府の意向などお構いなく、アリババをしっかりと保有するところなど大したものです。

 中国も大きな投資テーマになったようだ。08年の金融危機時に住宅バブル崩壊を予想した空売りで大きな利益を上げ、「世紀の空売り」で知られる著名投資家マイケル・バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントは電子商取引(EC)大手であるアリババ集団や京東集団(JDドットコム)の米預託証券(ADR)に新規投資していた。

 マカオなどで事業を展開する米MGMリゾーツ株の保有も明らかになった。アパルーサもアリババ集団を買い増していた。


 10月の共産党大会で習近平(シー・ジンピン)総書記の3期目続投が決まった後、習政権の強権姿勢に対する警戒感から中国株は下落した。

 米市場に上場する中国銘柄の値動きを示すナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は大会閉幕後に直近の安値をつけた。


 12月以降は新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ政策」が緩和され、経済活動の再開期待で中国関連の株価指数は上昇に転じた。(日経新聞 2023年2月20日 16:00)

 更に、GAFAM銘柄も乗り遅れないように買いポジションを再び構築し始めている点も要注意です。ものの見事に『底値拾いに徹した動き』です。


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 ヘッジファンドのタイガー・グローバル・マネジメントは、IT(情報技術)大手の米メタやアマゾン・ドット・コムを買い増した。人工知能(AI)を活用したデータ分析を手がけるズームインフォ・テクノロジーズへの新規投資も明らかになった。台湾積体電路製造(TSMC)株はすべて売却していた。


 ジョージ・ソロス氏が率いるファンドでもアルファベットやテスラの保有が増えていた。グロース(成長)銘柄への集中投資で知られる上場投資信託(ETF)「アーク・イノベーション(ARKK)」のコールオプション(買う権利)も新たに取得していた。一方、通信大手のTモバイルや住宅大手DRホートンの保有が減っていた。


 ハイテク株は急ピッチな利上げで大幅に売られてきた。多くの機関投資家が運用指標として利用するS&P500種株価指数は22年10月に、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は同年12月に直近の安値をつけた。

 23年に入るとインフレ率の伸びが減速して利上げ打ち止めへの期待が高まり、ハイテク株は上昇基調となった。テスラ株は年明けから1カ月半あまりで7割値上がりした。


 有力ファンドの保有開示では22年7〜9月期まではIT関連を減らし、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄に資金を振り向ける動きが目立っていた。

 10〜12月期にタイガー・グローバルやソロス・ファンドが下値拾いに動いていた可能性がある。


 ヘッジファンドのアパルーサ・マネジメントを率いるデビッド・テッパー氏は22年12月、米CNBCの番組で「株式市場ではショート(空売り)寄りだ」と答えていた。

 発言とは裏腹に10〜12月期にソフトウエア大手のセールスフォースやライドシェアのウーバー・テクノロジーズを買い増していたことが判明した。(日経新聞 2023年2月20日 16:00)

けれども、したたかな対応を織り交ぜる・・・

 報道によると、ハイテクや中国に強気一辺倒ではなく、ソロス・ファンドは「ナスダック100株価指数」への連動を目指すETF「インベスコQQQトラスト」のプットオプション(売る権利)を持っていたようです。プットは株安局面で利益が出る。市場に強弱感が入り交じるなか、攻めと同時に守りも固めるしたたかさが浮かび上がります。

編集後記

 毎回、米証券取引委員会(SEC)が「フォーム13F」を公表すると、喧々諤々の議論、検討が沸き起こるものです。そして、必ずと言っていい程に『真似る素人投資家が現われる』のです。その査証として、バフェット氏がアップル株を買い増したんじゃないか?と伝わるや否や、アップル株は1株152.55ドル(下記チャート図)まで戻しています。


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 実は、このような動きを双方が互いに利用しているのです。バフェット氏は長期投資家ですが、全ての銘柄を必ずしも長期保有する訳ではなく、超短期保有の『鞘取り』することも往々にしてあります。長短を使い分けているのでしょう。

 例えば、今回、台湾積体電路製造(TSMC)株に7月〜9月期に初めて投資し、9月末時点で保有額は41億ドル(約5500億円)ありましたが、10月〜12月期には保有株式数の86%を売却していたのです。自社におけるキャッシュフロー重視の姿勢でしょうか?・・・。


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