米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/23 意固地なパウエル議長、不用意発言のイエレン米財務長官...

 金融当局者は、金融商品へ資金を賭ける投資家を「腐った肉に群がるコバエ」程度に見ているのでしょう。今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、アナリスト達が想定していたとおり「0.25%の金利引き上げ」が実施されることが決まりました。
 終了後、パウエルFRB議長が「当局者らは今年の利下げを見込んでいない」「必要なら想定以上の利上げを実施する」と発言したことを受けて、平均株価が下がり始めました。そして、ジリジリと戻し始めていたところ、市場の終了間際ですが、イエレン米財務長官が「預金保険の適用範囲について、大幅な拡大は検討していない」と述べたと伝わるや否や、米株は『真っ逆さまのつるべ落とし』になりました。

3/23 意固地なパウエル議長、不用意発言のイエレン米財務長官...1

前日までのパウエル議長、イエレン米財務長官の発言・・・

 今回、不良融資や不良債券ではなく「預金の引き出し」から「銀行破綻が生じた」こともあって、金融プロ集団や市場アナリスト達からは『利上げの一時停止も・・・』、あるいは『今回は一旦利下げを実施すべきでは・・・』等の声が強くなっていました。

0.25%の引き上げ + 次回以降の利上げ停止にも言及・・・

 しかし、議長就任以降に不手際もあったことから、パウエル氏の言動や性格から推測すると、今回は『0.25%の引き上げ + 次回以降の利上げ停止にも言及して・・・』的な「ハト派的な紳士を演じて、金融市場へ軟着陸を目指す」との見方が主流となって、今日の株式市場はオープンしたのです。

預金保護枠の拡大も検討・・・

 更に、イエレン米財務長官(前FRB議長)からは「預金保護枠の拡大も検討・・・」との見解が示されていたので、昨日から株式市場にはFOMC前にも拘らず『買い場が到来』。今回のFOMCは「すんなりと」通過する筈でした。しかし、さもありなん!!

FOMC後のFRB当局者、米財務長官等の動向・発言

 米連邦準備理事会(FRB)は、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で次のことを決定したと発表しました。

  • 政策金利を0.25%引き上げ、4.75~5.0%とすること。
  • 四半期に一度公表する政策金利見通しでは、2023年末時点で5.1%(中央値)と前回の昨年12月の予想から変更がないこと。
  • 議長の記者会見において、パウエル議長は「委員らは年内の利下げを基本シナリオとしていない」と言及しました。

3/23 意固地なパウエル議長、不用意発言のイエレン米財務長官...2

量的引き締め(QT)も変更せずに「継続」・・・

 パウエル議長は、量的引き締め(QT)についても「変更すべき兆候はない」と指摘しました。金融システム不安が高まる中で、引き締め姿勢を和らげるとの観測が一部にあっただけに、投資家の手じまい売りを誘った面が強いです。
 株式相場はパウエル議長の記者会見が終了した後、下げ足・下げ幅ともに広げたからです。そして、次に真打のイエレン米財務長官が登場します。

預金保険の適用範囲、大幅な拡大は検討していない・・・

 前任のFRB議長であるイエレン米財務長官は「預金保険の適用範囲について、大幅な拡大は検討していない。」と述べました。株式市場が閉まる直前、この発言が市場へ伝わるや否や、ダウ平均値が真っ逆さま、530ドル超下落しました。併せて、リスク回避の円買い・ドル売りも活発化、一時131.01円と日通し安値を付けました。

2者択一の軽率な判断が、「株売り」の背中を強く推した・・・

 米財務長官が述べたように「全面的(無制限)に預金保護をすることはできない」ことは、社会人としても常識です。しかし、頭に血が上っているあの時間帯、既に投資家(預金者)の思考が停止している時は、深い意味も理解せずに「白か黒」、「YESかNO」の2者択一で判断しがちです。

 前FRB議長のイエレン氏としては『思考が停止した投資家どもに十分配慮した、不用意発言を行わない』のが金融のプロとして当然の行動です。伝言ゲームの形で伝われば、尚更お終いです。ここんところが希薄だったので、売り一色となりとても残念です。

利上げ宣言後、意に反して「長期債の利回りが急降下」・・・

 何のことはない。金融市場の混乱を嫌気した投資資金は、米国債へ一目散に逃げ隠れました。次のように、FOMCの発表以降、利回りが急降下(債券価格上昇)して3.451%で引けています。
 何のための「金利引き上げ(政策金利を0.25%引き上げ、4.75~5.0%とする)」なのか? このところが分かり難い。これが今の米国債券市場の現状です。
 今、債券を購入すると、近い将来で価格低下(利回り上昇)が生じて、評価損が発生する可能性が高いです。すると、またまた、不安に駆られた預金者から「預金の引き出し」が始まります。イタチごっこです。


3/23 意固地なパウエル議長、不用意発言のイエレン米財務長官...3

FRB当局者、年内あと1回利上げ想定 2024年は利下げへ...

ロイターによると、次のような報道がありました。

 米連邦準備理事会(FRB)が22日に公表した最新の金利・経済見通しによると、政策当局者はインフレを抑制するために今年あと1回の利上げが必要との見解を示していることが分かった。来年は利下げが想定されているが、その幅に関しては12月時見通しよりも小幅に修正された。


 FRB当局者の2023年末の政策金利の予想中央値は5.1%と12月時から変わらず。ただ見通しは様々で18人のうち7人が追加利上げが適切と考えている一方、1人が据え置きを予想した。


 予想中央値では政策金利は24年末に4.3%に低下する見込み。ただ4人が5.1%を超える水準を想定する一方、4人は4%未満になると指摘するなど見解は再び大きく分かれた。12月時の予想中央値は23年末で5.1%、24年末は4.1%だった。


 インフレについては、個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが23年第4・四半期に3.3%に鈍化すると予想。FRBの2%目標への進展は12月時の見通しより鈍化すると見込んだ。


 現在3.6%の失業率は23年第4・四半期に4.5%、24年に4.6%に上昇すると想定。12月時は今年4.6%への上昇が見込まれていた。2023年の経済成長率の見通し中央値は0.4%。12月時は0.5%だった。24年については1.6%から1.2%に引き下げられた。

(ロイター 2023年3月23日4:41 午前)

米FOMC声明全文

ロイターから全文を引用します。

 米国の金融システムは健全で強固だ。最近の展開により家計や企業の信用状況が引き締まり、経済活動、雇用、インフレの重しになる可能性がある。これらの影響の程度は不透明だ。委員会は引き続き、インフレのリスクを非常に注視している。


 委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。これらの目標を支援するため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを4.75─5.00%に引き上げることを決定した。

 委員会は今後もたらされる情報を注意深く監視し、金融政策への意味を評価する。

 委員会は、徐々にインフレ率を2%に戻すのに十分な制限的な金融政策姿勢を達成するために、幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれないと予想する。


 目標誘導レンジの将来的な引き上げの程度を決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する。

 さらに、以前発表された計画で説明されている通り、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける。委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む。


 金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。

 もしも、委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。


 政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、マイケル・バー、ミシェル・ボウマン、リサ・クック、オースタン・グールズビー、パトリック・ハーカー、フィリップ・ジェファーソン、ニール・カシュカリ、ロリー・ローガン、クリストファー・ウォラーの各委員。(ロイター 2023年3月23日4:05 午前)

3月23日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比530ドル49セント(1.6%)安の3万2030ドル11セントで終えています。ナスダック総合株価指数も3日ぶりに反落。前日比190.153ポイント(1.6%)安の1万1669.956で終えました。終了間際、一斉に下落した状況が見て取れます。


MYポートフォリオ

 保有する金融銘柄で「値嵩株」を全て売却、値が下がっているETFである「金融セレクト・セクター SPDR® ファンド(XLF)」を、今日一日で310株、強く買い進めました。

XLFの特徴

  • 金融セレクト・セクター指数の値動きに、経費控除前ベースで概ね連動する投資成果を追求する。
  • 同指数は、S&P500®指数における金融セクターのパフォーマンスを計測する指標。
  • 銀行、証券、保険などの業種に分類される企業に対する対象を絞った投資。
  • 総経費率は0.10%
  • ファンドの配当利回り2.19%
  • 組入銘柄数は73。
  • 予想株価収益率(PER)は12.98。

編集後記

 昨日で、預金引き上げに伴う混乱が終了したものと見ていたところ、イエレンさんの不用意発言があって『振り出しに戻り』そうな気配を感じます。なお、GAFAM銘柄に投資資金が戻り始めているように見えます。これは、米国の金利上昇に『天井が見え始めて来た』ことに強く関連付けられるのでは...。
 見込みどおり、金利引き上げは、6週間後の次回FOMCが最後になるやも知れません。すると、次は景色がガラリと変わって、株式市場にとって『美味しい餌(金利引き下げ)が撒かれ始める』のです。

3/23 意固地なパウエル議長、不用意発言のイエレン米財務長官...12