米国株 -『正しいものは美しい』

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11/06【番外編】ここ一年における、GAFAMの株価推移(その1)...

 GAFAM、IT企業の雄である5社(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の頭文字を取った呼び名のことです。世界市場で圧倒的な存在感を見せるGAFAM。今や、これら企業のそれぞれのサービスは、社会インフラとまで言えるほどに私たちの生活に根付いています。

GAFAMの時価総額は、東証1部2170社の時価総額を上回る・・・

 2020年5月、日経新聞はGAFAMの時価総額が560兆円となり、東証1部2170社の合計を上回ったと報道しました。日本の会社が束になっても勝てないほどGAFAMの規模・影響力が強いことがわかります。これが世界の常識で事実なのです。

GAFAMを大別すると・・・

 GAFAMを取り組むサービスで分別すると、Google、Amazon、Facebookグループ(Aグループ)と、Apple、Microsoftグループ(Bグループ)の2大グループに分けることが出来ると思います。

Aグループにおける直近1年の株価推移...

 下記の折れ線グループは、直近1年の株価推移を表示します。S&P500が20%程、ナスダックは35%程、それぞれ下落している中、緑色グーグル株と青色アマゾン株は44~49%程の下落、黄色メタ株に至っては70%超の大幅下落を記録しています。(画像クリックで2倍画像が表示されます)


Aグループにおける直近6カ月の株価推移...

 条件を直近1年間から直近6カ月に変えると、周りの景色もガラリと変わるものです。メタ株の大幅下落は不変ですが、緑色グーグル株と青色アマゾン株の上下が入れ替わっています。(画像クリックで2倍画像が表示されます)


Aグループにおける直近1カ月の株価推移...

 今、FRBが髪を振りかざして金利引き上げに邁進中です。このFRB(米連邦準備制度理事会)の判断に関しては『これからの歴史家が判断を下す』ことでしょう。このFRBによる連続した金利引き上げを『FRB金利ショック』と一応命名します。

急僅か10日間の出来事・・・

 下図のグラフを見る限り、株価急落はここ10日程の出来事です。「第3四半期における企業決算発表」に端を発しています。成長著しい大企業であっても、連続した金利引き上げが6カ月も続いて行われると、何も影響を受けないとは考え難くく、売上高・利益額の減少は止むを得ません。しかし、あたかも常勝を義務付けられたGADAM銘柄は、それを決して許されないのです。(画像クリックで2倍画像が表示されます)
 S&P500種などは、ほとんど変動がありませんが、ナスダックは7%程の下落となっています。これは、これら3銘柄を含んで平均株価が算出されているからです。


アマゾン株

 アマゾン株は、2022年に入って株価を20分割すると公表後、短期的に株価が急上昇する場面もありました。しかし、世界的な金融引き締めによる株式市場へ逆風が吹き荒れるなか、アマゾン株価も例外なく下落基調を辿っています。
 特に、第3四半期決算後、堰を切ったように「売り方に狙われ」て、真一文字の下向きベクトルが強まっています。

アマゾン株の超長期20年間における株価変動

 アマゾン株の超長期20年間における株価変動は、概ね400倍の上昇です。主だったところを挙げると、

  • 2000年のITバブル崩壊時では▼(マイナス)95%
  • リーマンショック時では▼(マイナス)60%

と急落しています。そして、今まさに進行中の株不況、

  • 『FRB金利ショック』時では、概ね▼(マイナス)50%

になります。

今後のアマゾン株の見込み・・・

 一言で申し上げると、依然として『成長派が大部分』です。アマゾン株は成長株の代表銘柄ですから、現株価に対してPERが80倍強とかなり高いです。未だに配当金を出しておらず、株主還元を行わず「莫大な設備投資」を行っているのです。
 同社の利益の大部分は、物流や小売りではなく、世界ナンバー1のシェアを誇る「AWSと呼ばれるクラウド事業」にあります。このAWSクラウド事業は利幅の大きい最先端の事業であるが故にライバル社から標的になり易く、マイクロソフトやグーグル等が自前の専用海底ケーブルを敷設するなど、莫大な先行投資を行って『追いつけ追い越せ』と規模を拡大して迫って来ています。

過去、20年間『アマゾン株は、もうダメだ』と言われ続けて来た・・・

 某広告に『20年前にアマゾン株を100万円で買っていたら...』のキャッチコピーが表示されていました。20年間で400倍の上昇ですから40億円の評価額です。
 世界広しと雖も、創業者のジェフ・ベゾス氏以外、20年以上も保有し続けて来た投資家はいないでしょう。いつの時代も、データを屈指した投資達に『これからは、アマゾン株はダメだ』と言い続けられた銘柄なのです。
 私など、米国株を始める前まで、アマゾン株は「ネットの古本販売業者」との思い込みに固まっていましたから・・・。

アマゾンイフェクト

 アマゾンイフェクトという言葉が我々の生活を席捲するように、アマゾンは既存の小売り店からインターネットを通じた売買へと、消費者行動を大きく変化させました。既存店舗で『商品の下見』を行って、購入は「アマゾンWEBサイトで行う」といった行動が、目ざとい若者の主流になっています。
 この結果、米国内はもとより、日本でも百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、旧来型の消費関連企業に大きな影響を与えています。そして、今や調剤薬局業界へもアマゾンの進出が始まっています。

アルファベット株(グーグル)

 グーグルは、良い意味・悪い意味を含めて『一体、何をしているのか分かり難い』企業体です。嘗て、グーグルといえば、『市販パソコンを、世界中で何万台も並列に並べ』検索結果をリアルタイムにユーザーへ返すアプリを提供、そこへ企業から広告を募っている米国籍企業のイメージしかなかったです。
 今や『スマホOSやアプリ開発・提供を通じて』『地図、検索等のネット界の手中に収め』『人工知能開発で深く先行』『新時代のクラウド開発』『自動運転ソフトウエア開発』を行うなど、幅広い対応に取り組んでいます。

企業広告が減少...

 利益の大部分は企業広告による広告費です。御多分に洩れず、第3四半期決算で売上高は前年同期比6%増の690億9千2百万ドル(約10兆2300億円)となったものの、純利益は前年同期比27%減の139億1千万ドルで3四半期連続の減益となりました。

YouTubeの減収...

 投資家が懸念したのは、YouTube広告の売上高が同2%減の70億7千百万ドルとなったことです。同社が2019年にYouTubeの広告売上高を開示して以来、減収は初めてです。YouTubeは中国の動画投稿アプリTikTok(ティックトック)との競争にさらされています。

投資家バフェットに、投資しなかったことを後悔していると言わせた銘柄

2017年に開かれたバークシャー社の株主総会で、投資家ウォーレン・バフェットは「グーグル(GOOGL・現在の社名はアルファベット)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)に投資しなかったことを後悔している。」と、発言しました。
 バフェット氏は、ビジネスの内容がわからないIT銘柄には投資しないことが有名だったので、この種の発言に皆が驚いたものです。

今後のアルファベット株(グーグル)の見込み・・・

 私の一番のお気に入りが「アルファベット株(グーグル)」です。2022年7月に1対20の株式分割を行う前は、1株2千5百ドル近辺を行ったり来たりしている値嵩株でした。
 当時、「株価2千ドルを下回れば購入」と決めていたのですが、なかなか下回る気配すらなく諦めていたところ、今回のGAFAM株価暴落で遂に100ドル割れ(1対20の株式分割)となり、予定どおり新規購入を進めました。今や、90ドル割れまで進んでいます。

具体的に挙げると・・・

 私見ながら、アルファベット株(グーグル)は、取り組んでいる業態が不明なところが気に入っています。何か、想定以上のものが現われてくるようで...。更に、人工知能系開発で最先端を進んでいそうなこと。ネット業界(検索、OS、ソフト類、クラウド系等)の支配率が、今後も高まることが見込まれていること等です。
 不安は、依然として企業の広告費に自社利益が握られていることです。まぁ、そもそも、GAFAM銘柄の業績見込みを把握し、収支を見通せること等、誰も彼もできませんが...。

メタ・プラットフォームズ株(フェイスブック)

 2021年10月28日、社名をメタ・プラットフォームズ(商号: Meta)に変更しました。巷で囁かれている社名変更の事由は、業績悪化しつつある「Facebook」ではなく、今後の成長が見込まれる「メタバース」の開発を事業の核に据えるためと言われています。
 この取り組みには、アップル社が実施した「ユーザー追跡の無効化措置」が大きく絡んでいます。なお、変更は社名のみでSNSの名称は維持されています。


メタ・プラットフォームズ株(フェイスブック)、マーク・ザッカーバーグCEO

メタ株は、年初来で72%下落・・・

 ヘッジファンド勢の御用達銘柄として1株300ドル超まで買い上げられていた「メタ・プラットフォームズ株(フェイスブック)」が、2022年に入り「超速で株価が下落」しています。その率、何と▼(マイナス)72%です。
 社名を変更した1年前の株価水準328ドルから最近では95ドルへと、▼(マイナス)70%を超える大暴落となっています。現在のドル円レート換算でおよそ76兆円が消失したのです。

株価下落は、アップルのユーザー追跡(トラッキング)拒否に始まる...

 業界の常識として、アップルとメタの関係は何年も前から冷え切っており、アップルCEOのティム・クック氏は2014年の時点で、Facebookが広告のターゲティングにユーザー追跡(トラッキング)を利用しているのを批判していました。
 2021年1月にリリースされたiOS 14.4から、ユーザーの許可なしにアプリは広告トラッキングができない仕様となりました。そして、アプリのトラッキングを無効化するようユーザーに促したことで、両社の関係は急激に悪化しました。
 これにより、広告に依存する各社のSNSプラットフォームは大きな打撃を被りましたが、とりわけFacebookの被害は甚大で、このアップル社のアプリ変更によって100億ドル(約1兆4700億、1ドル=147円換算)を失ったと言われています。

ウォール街の怒りを買いながらも、メタバース事業へ取り組む...

 メタのマーク・ザッカーバーグCEOは、今年10月26日、第3四半期の決算発の席上、2023年もメタバース事業への支出を増やすというメタ社の計画について、市場アナリスト達はその正当性を説明するよう繰り返しザッカーバーグ氏に求め、決算説明会は一時紛糾した模様です。

安楽な将来設計に暗雲が漂う・・・

 ザッカーバーグ氏は、単に「メタバース事業がインターネットの未来」だと信じて取り組んでいるのではなく、この取り組みこそが『アップル社の呪縛から逃れるための最善策』と信じているからこそなのです。
 この面だけを取り上げると、メタ株に対しては安楽な将来設計が描けなくなっています。株価下落率▼(マイナス)72%は、伊達ではありません。

編集後記

 GAFAMを構成する5社(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の内、Google、Amazon、FacebookをAグループとして取り上げ、株価推移と私なりのコメントを付与してみました。なお、Bグループは続編とします。
 GAFAMの内、パソコンとスマホで独自OSを提供しているのは、Google、Apple、Microsoftの3社です。AmazonはOSの提供こそないですが、クラウド事業の支配者ポジションを確立しています。

メタ・プラットフォームズ株(フェイスブック)の一人負け・・・

 この様にみると、メタ・プラットフォームズ株(フェイスブック)は、エンドユーザーが利用しているOSに、自社アプリが依存していることが受け身・弱点となって、「にっちもさっちも」行かなくなっているようです。このままでは、近い将来、GAFAMが『GAAM』のように"F"がなくなるかもしれません。


11/02 2022年10月の配当・分配状況(まとめ)-4