週明けのドル・円の外為市場では大きく「円安」へ下降して始まりました。日本時間６日午前２時頃、日本経済新聞電子版が「日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診。政府・与党が最終調整」との速報記事を出したことを受けての「円売り」です。

• 日銀次期総裁、政府・与党が雨宮副総裁に打診する案で調整－報道 - Bloomberg

日銀の金融緩和が継続される期待感・・・

　４月８日で黒田日銀総裁が退任予定で、その後任人事が注目されているところです。
　例の如く、『たすき掛け人事（財務省→日銀→財務省...）』が最有力となっていること、金融緩和の継続を続けざるを得ないこと（日本沈没を避ける）等で、現日銀副総裁が総裁就任ともなれば、引き続き『日銀の金融緩和が継続される期待感』から、早朝のアジア・オセアニア市場でさっそく「ドル・円が急落」しています。

１月米国雇用統計が市場予想を大幅に上回る・・・

　先週末に公表された「１月の米国雇用統計」が市場予想を大幅に上回り、FRBが早期に利上げを停止するとの観測が米国内で後退しています。このこともあって、ドル円は１３２.49円/＄と１月１２日以来の高値まで買い上げられ、朝７時２５分時点では１３１.80円/＄付近で推移しています。

ドル（外貨）定期預金

　今、狙い目は『ドル定期預金』じゃないでしょうか…。代表的なネット銀行での定期預金利息は、次のようになっています。満期日にはドルで利息・元金払いが行われて、ドルで源泉徴収が行われます。一般的な馴染みのある定期預金で、もちろん確定利回り商品です。

• 1ヵ月 3.100％、2ヵ月 3.100％、3ヵ月 3.100％、
• 6ヵ月 4.600％、1年 4.600％、2年 4.100％、3年 3.900％

ドル（外貨）投資信託（外貨建MMF）

　定期預金ではなく『投資信託』の分類ですが、SBI証券などには高利回りの外貨建MMF（マネー・マーケット・ファンド）があります。月末に再投資される変動金利の商品です。
　全て外貨で行う場合、満期日にはドルで利息支払いと円換算値で源泉徴収、解約時にはドルで利息・元金払いが円換算値に置き換えて行われ、「利息と元金」の為替損益を含む源泉徴収が行われます。
　この結果、急速な円安が進むと追徴を受けて元本割れが発生することがあります。逆に、円高になると「他の投資商品との損益通算処理」で税金還付が発生することがあります。節目節目で為替動向に左右される『投資商品』の範疇に属します。

・ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド　3.9210％
・ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド　3.8060％
・ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト　3.7960％
・ゴールドマン・サックス　3.9300％

自民党の茂木敏充幹事長、「そのような事実はない」と否定・・・

　　自民党の茂木敏充幹事長は６日、日銀総裁人事で政府が候補者に就任を打診して与党と最終調整との報道が出たことについて、そのような事実はないと否定した上で、「まさにこれから最終局面にえ入っていく」との認識を示した。

　　自民党役員会後の記者会見で語った。求められる総裁像や次期総裁に期待することは「予断を与えるといけないのでコメントを控えたい」とした。（ロイター 2023年2月6日 6:44 午後）

　「雨宮副総裁に日銀総裁打診」との報道を否定・・・。敢えて否定する意味が分かりません。他の方に決まるなら理解できますが、万が一雨宮氏に決まったなら、茂木敏充幹事長は自身の発言の落とし処をどのように付けるつもりなのか、何も考えていないのです。
　その時は、シャァシャァと以降に決まったことにして、知らぬ存ぜぬで空惚けて押し通すのでしょう。いつもながら、この人の言葉には重さを感じません。嘗ての自民党幹事長のお歴々が、草葉の陰で呆れています・・・。

• 日銀人事は最終局面に、望ましい総裁像などコメント控える＝自民幹事長 | ロイター

編集後記

　正に、タイミングの良い日経新聞を使った事実上の次期総裁発表です。官邸や政府関係者と根回しを行った上での思い切った報道でしょう。更に、今回の発表が新聞紙上ではなく電子版という処が「ミソ」で、日経のこれからの主力は『電子版』であることを、図らずともアピールできて好都合です。
　思うに、ドル・円の動向は午前９時迄の華僑勢の「第一段階」、午後３時迄の東京勢の「第２段階」、午後３時以降のヨーロッパ勢の「第３段階」、午後１１時３０分以降のニューヨーク勢の「第４段階」、それぞれ投資家の思惑を交えて動くことでしょう。
　但し、為替市場は「あまのじゃく」な面が強く、衆目の思いとは正反対に動くことが多々あります。今日のような日は、為替取引などせずに『傍観』するに限る？