米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/30 暫くは、米国株以上に「日本株」を注視すべし?...

 アメリカの小説家であったマーク・トウェインが述べた言葉である、「History doesn’t repeat itself, but it does rhyme.」。この日本語訳は、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」となります。意味するところは、人によって受ける印象は異なりますが、概ね次のようなものでしょうか?

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」

 歴史は物理現象とは違い 不可逆的なものであり、同一事象は二度と起こらない。 しかし、例えば金融市場や商品市場におけるバブル発生とその崩壊の如く、表面上に現われた形は違えども、パターンとしてよく似た事象を繰り返し引き起こす。 まるで韻を踏むようにして・・・。

 欧米では前月比8%を上回るインフレーションが先進国で発生しています。26日に開催された「ジャクソンホール会合」で集まった各国中央銀行首脳は、次のとおり自国の金融政策を公表しました。

  • FRBのパウエル議長は、「インフレ抑制の第一義して、ひたすら金利引き上げを強く勧める」と言及しました。
  • 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事も、FRBのパウエル議長に歩調を合わせるかのように、「インフレ率を鈍化させるために、決意を持って行動する必要がある」を述べました。
  • 唯一、日本銀行の黒田総裁だけが異なる方針を表明しています。「賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はない」というものです。

「サブプライムショック」、米銀の「強欲」が事の発端...

 低所得・低信用者向けの「リスクの大きい消費者向け債券」自体はサブプライム債券として従前から存在していましたが、米銀はこれらに確率論等の新たな信用論理を組み合わせ、更に外部から格付けを付与するなどのお化粧を施して、『債務担保証券(CDO)』を新たに組成しました。
 そして、これらを世界中の金融機関、証券会社、投資家、投資ファンド、年金基金、財テク企業等へ幅広く売りさばいたのです。

2007年-2009年の金融危機の始まりは、フランス某銀の投げ売りから...

 事の発端・詳細は、WEBでリーマンショックやサブプライムショック等で検索していただくと、諸先輩方の回顧録などが閲覧できます。
 私の拙い記憶では、フランスの某銀行が米銀が組成した債務担保証券(CDO)を投げ売り(損切り)した事から始まったようです。
 それまでは、債務担保証券(CDO)が危険なシロモノとの認識もなく、大手金融機関が組成して「格付け」も存在していたことから一切表に出ていません。
 そして、これ以降、チラホラとマスコミでも取り上げられるのですが、「損切とは勿体ないね...」議論が幅を利かせていて、数年後にはこれら債券の時価評価額が0(ゼロ)になろうとは、誰も想像すらしていなかったのです。

あの当時、日本の立ち位置...

 欧米のマスコミ論調では、唯一、日本の銀行だけが概ね無傷とみられており、ジャパンマネーに各国の主要金融機関が群がって、資本融資や増資引き受け、業務提供等を交えながら「世界制覇」の如く前面に躍り出たのです。米国FRB首脳が大挙して、日本訪問を行ったのもこのような時期でした。

そうこうする内に、日本株式市場へ売り攻撃が始まる・・・

 「不安視する世界マネーの受け皿となるであろう」と見られていた日本株式市場でしたが、堅調さが日ごとに消え、欧米株式市場で受けた傷を癒すため、欧米の投資ファンド等は利益の出ている日本市場で、日本株売りに拍車を掛けて投下資金の回収を図ったのです。
 結果、連日に亘り株安が生じました。安全地帯など、マネー循環の前では何処にも存在しないことが白日の下に晒されたのです。

強烈な、「円高 + 日本株売り」が発生...

 サブプライムショックは「欧米通貨安」を強烈に誘い、対極にある「日本通貨高」を引き起こしました。経済ショックを回避すべく、欧米中銀は金融緩和と市中金利の引き下げを急ぎ、マネー膨張を嫌った日本銀行と大きく異なる金融政策を取ったことで、100円/ドルを下回る強烈な「円独歩高が強く出現」したのです。

日本民主党の定見のない政治姿勢と相まって...

 政権交代を成し遂げて、当時の政権与党であった日本民主党の「定見のない政治姿勢」と相まって、強烈な「株売り + 円高」をを招き、みすみす欧米投機家に儲けさせるような金融政策を提供するなど、もはや混乱の極致となって2012年の自民党政権の復活まで、衆愚政治が延々と続いたのです。

「前回と今回の差異」は、『円高ではなく円安』であること...

 円安が続くと、ドル換算した日本株は『割安』となります。特に、今回のように数十円単位で円安が出現することは稀で、投機ファンドの連中はここ数カ月の間、しこたま仕込んで利益が乗った「円ポジションを維持」していることでしょう。
 これからも、パウエル議長が「米国景気を犠牲にしてでも、金利引き上げでインフレ撲滅」を錦の御旗に掲げてインフレ退治に進むのですから、暫くはこの流れに乗って『ドル高+円安』でもう一儲け、二儲けを貪る算段でしょう。

円安が強く現れる程に日本株が上昇、しかし次の『谷がより深く』なる...

 円安が続く限り、海外マネーが日本市場へ流入して「日本株は一応安泰」です。目を転じて、「日経平均をドル建てチャート」で観ると、2009年の半ばから2倍程度しか上昇していないことが判ります。


日経平均ドル建てチャート


 米株チャートは3.5倍程の上昇なので、まだまだ日本株を引き上げられるとソロバンを弾くファンドも多く、10月以降、日本における物価上昇率がデータ的に現われるまでは、円高への反転も生じ難いでしょう。この間がチャンスです。
 年末から新年明けぐらいから日本でも物価高を実感するようになると、黒田総裁の任期満了まで3カ月程になることと併せて、更なる円安阻止の為に日本の金利引き上げ議論も出始めることでしょう。『歴史は繰り返さないが、韻を踏む』状況が訪れるやも知れません。くれぐれも『山高ければ谷深し』に引きずり込まれないようにしたいものです。

8月30日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は続落。前週末比184ドル41セント(0.6%)安の3万2098ドル99セントと、約1カ月ぶりの安値で終えています。前週末にダウ平均は1008ドル安と大幅に下落した。週明け29日も売りが続き、ダウ平均の下げ幅は一時は300ドルを超えた。
 ナスダック総合株価指数も続落。前週末比124.041ポイント(1.0%)安の1万2017.669と、こちらも約1カ月ぶりの安値で終了しました。



 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の26日の講演で金融引き締めの長期化観測が強まり、米景気の一段の悪化を懸念した売りが続いるようです。一時、場中で小高くなりつつあった「平均株価」でしたが、市場の終わり間際には「猛烈な売り」を受けて急落しました。

ハイテク銘柄の下げ、原油銘柄の上げ...

 米長期金利が29日未明に一時3.13%と6月下旬以来の高水準を付けました。金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいハイテク株も売られています。反面、米原油先物相場が大幅に上昇し、石油株が買われたことが相場を下支えしています。

終了間際の平均株価急落...

 『昨日の今日、平均株価が直ぐにでも立ち直れば、売り方の面目丸つぶれ』ですから、これは止むを得ないでしょう。暫くは、押し引きの綱引きがありそうです。しかし、「投資家の諦めの境地」もあって、現時点では3万ドル目指して下げ続けるような弱さを見せていないように感じます。暫くこのまま進み、思いの外、米国株は値を下げないかもしれません。

MYポートフォリオ

 原油銘柄の踏ん張りが心強かったです。報道では、欧州特にドイツにおけるエネルギー事情の悲惨さが伝わる反面、今後の見通しに目途が付いたなどと言う「やせ我慢」「見栄を張る」ドイツ高官の発言もあり、気の毒さがヒシヒシと伝わります。

「退蔵資金」に1.5%の手数料を支払い、「自由資金」へ衣替え...

 私事で恐縮ですが、某口座へ押し込めている投資資金780万円の内450万円を「表に」引っ張り出して、配当銘柄へ純投資を始めました。この資金は諸事情があって、今後20年以内に引き出すと、自分のお金であっても、やんごとなき事由で「税金の支払い義務」が生じてしまいます。

古き言葉の「質権設定」...

 税制が盾となり、現役世代の間は無税で引き出しできないこともあって『退蔵資金』と命名しています。これに質権を設定、年率1.5%の貸付利息で金融機関から「融資を受ける形態」にすることで、使途が限定されない「自由資金」として見事甦るのです。後は、貸し越し利息1.5%を超える運用ができれば、利益を貪れるという甘い算段が働きます。


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編集後記

 ハンガリーは、ロシア国営原子力企業ロスアトム(Rosatom)による原子炉2基の新設計画について、規制当局が25日に承認したことを受け、数週間以内に着工する方針を発表しました。総工費は125億ユーロ(約1兆7000億円)。
 ハンガリーは25億ユーロ(約3000億円)を負担し、ロシアから100億ユーロ(約1兆4000億円)の融資を受けます。なお、同じく欧州連合(EU)加盟国のフィンランドは、ロシアのウクライナ侵攻を受け、5月にロスアトムの原発建設計画を中止しています。

今や、原発関連(濃縮ウラン他)・企業は「ロシア」の独断場?

 ドイツで既存原発を稼働させたくても、技術者や機器の充足が間に合わずにイエローカードが出ています。この原発関連でもロシアの技術力維持が顕著で、今や原発の新規・修繕の企業群は西側になかなか見当たらないという、悲しい情報も届いています。米国でさえ、濃縮ウランをロシアから輸入しているぐらいですから・・・。

弱り目に祟り目

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