米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/24【番外編】更に、原油産出量が世界で減少する…

 昨日、報道によると、中央アジアの国カザフスタンからロシア黒海に至る「原油パイプラインCPC」が出荷を停止したとのこと。理由は「悪天候で設備が破損した」となっています。これにより、世界の原油供給量1%強に相当する日量120万バレルの原油輸出が、1~2カ月滞る可能性が浮上しています。

 この事で、WTI原油先物価格が数ドル上昇して、平均株価を押し下げた模様です。また、ロシアのプーチン大統領は、「友好的でない」と見なす国に輸出する天然ガスについては代金の支払いをルーブル建てで求める方針を示しました。

ロシア、原油と天然ガスの支払いはルーブルで...

 更に、米国や欧州による制裁の報復として、天然ガス取引で「欠陥のある通貨」を使うのをロシアはやめるべきだと主張。「EUや米国にロシア産品を供給し、ドルやユーロなどの通貨で支払いを受ける道理はないことは極めて明らかだ」とも述べたといいます。対する最大購入国ドイツ、イタリアは、次のコメントを発しています。

  • ドイツのハーベック経済相は、ルーブル建てでの支払い要求は契約違反だと反発し、対応を欧州諸国と協議すると述べました。
  • ドイツに次いで多いイタリアは、対ロシア制裁の軽減につながる可能性があるためルーブルで支払う意思はないと、ドラギ首相の顧問が言明しました。但し、未だ真相は藪の中です。
  • 中東諸国や中国などが、どの様な反応を示すのか注目です。

プーチン大統領、敵対国家にはルーブル建てでガス代支払い要求へ - Bloomberg
プーチン氏、天然ガス支払い「ルーブルで」 非友好国対象 | ロイター

原油価格を安定させるには...

 今、原油価格を安定させるには、原油産出量を増やす以外に方策がありません。少なくとも『増産する強い発表』が必要なのですが、産油国の中東諸国はすんなりと応じません。考えられる理由は次のようなものです。

バイデン政権の米国とサウジアラビア皇太子の関係がこじれている

 バイデン政権では、トランプ前政権とサウジとの関係解消を旗印に、サウジアラビアの強権的な体制や人権状況を問題視して、政権発足時から関係見直しを進めています。オバマ時代から「米国民主党VS中東諸国」の状態でしっくりいっていません。
 よって、同国はアメリカなどからの原油増産の求めに応じる姿勢を示していないのです。米国民主党は、秋の米国中間選挙を控えて【脱原油=エネルギー政策】の転換を迫られています。転換を行えば、共和党から格好の攻撃材料となり選挙は敗退確実、まさに四面楚歌の状態です。

共に原油価格を安定させてきた友であるロシアとの関係

 原油価格抑え込みとOPECの影響力排除を進めて来た西側諸国に対して、2016年、サウジアラビアとロシアが主導する形で【OPECプラス】体制が出来上がりました。この結果、再び、産油国は原油価格への影響力を強めることができています。このような生い立ちと背景があって、ロシアに対して何らかの配慮が働いるのでしょう。

中東やロシアは原油価格に国家財政を大きく依存している

 昨今、欧米は【脱原油】【脱炭素】を見え高く叫び、新規エネルギー開発へ邁進し、原油関連への融資を制限する施策まで発表しています。いまここで、産油国としては追加投資まで行って原油価格を引き下げる愚策を行い、投資資金の回収まで届かなければ大損です。
 更に、原油生産でロシアの立ち位置を弱まる施策を取れば、OPECプラスの弱体化イコール中東諸国の地盤沈下に繋がりますので、慎重になっています。

米国内での大幅な原油と天然ガスの増産が必要?

 最も手っ取り早いのは、米国内での大幅な原油と天然ガスの増産です。米国内の環境破壊を棚上げにして、補助金を出してでも、バイデン氏や民主党の選挙公約を引っ込めてでも、やるっきゃないでしょう。
 が、しかし、ポーズだけで、のらりくらり時間をかけて引き延ばしてお終いになりそうです。やれば、民主党内の左右の政争が勃発して秋の選挙どころではなくなります。こちらも、四面楚歌です。高笑いはトランプ前大統領とその一派及び米国共和党でしょうか?

米国内インフレ亢進は止まらない?

 このようなロシア・ウクライナ紛争による余波は、物価高騰に直結しています。紛争によって、人命が失われ、形あるものが粉砕され、灰に帰すことになります。地下資源の産出、穀物の育成、産業機器の製造などが停滞や中止に追い込まれています。ここに新型コロナの猛威も重なって、物価高騰が止まることなく世界を覆い尽くすことも、頭に入れておかなくてはいけません。

FRBの強い利上げが続き、5月には0.75%も視野に入る

 何が何でもインフレを抑え込む強い意志を表明した米国FRB。5月の次回会合では最低ラインとして0.5%の利上げが確実視されていますし、インパクトを与えることに重きを置くならば、0.75%の引き上げも視野に入ります。こうなると、さすがの米国株式市場も持ち堪えられるのか、疑問符が付きそうです。

米国利上げで最も怖いのは、新興国の通貨暴落である

 米国が利上げを行えば行うほど、ドル建て債券で国家運営している「新興国の国家財政の破綻」懸念が高まります。新興国から投資資金の引き上げが発生して、金利急騰と株価暴落、最後には国家破綻が現実味を帯びてきます。過去の「アジア通貨危機」など最たるものでした。隣国の韓国などは、決して思い出したくない事件でしょう。

編集後記

 ロシア・ウクライナ紛争は報道が過熱して、更に両陣営に加担しているマスメディアが裏付けの乏しい報道を垂れ流すのでさっぱり判らなくなりました。
 今にも、争いが終わるような印象を持ったりしますし、核のボタンが押されるような恐怖を感じたりもします。しかし、世界の株式市場は連日上昇し続けています。これまた、摩訶不思議な出来事です。

米国とロシアで通貨紛争が勃発し、中国も参戦か?

 ロシアが自国の原油、天然ガスの支払いをルーブル建てで行うように購入国に通知しました。ドルの自由な利用を止められているロシアとしては当然ですが、米国は公然と公表した相手国を許さないでしょう。
 ドルの基軸通貨たる所以は【原油決済はドルに限る】として、各国へ圧力を掛けているところにあります。本件は米国とロシアの『場外乱闘に匹敵する規模の出来事』です。
 世界中の原油、天然ガス取り引きで「ルーブル」や中国の「元」が一定の割合まで上昇する懸念が高まると、米国は躊躇なくウクライナへ参戦するやも知れません。米国は自国を守るためなら、何でもありの国ですから…。


3/24 【番外編】更に、原油産出量が世界で減少する…