米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/23 円安阻止の為替介入、その効果は「風前のともしび」?...

 私は、今回の円安阻止を狙った為替介入の目的を、実情の伴わない円売りを仕掛けている連中へ、制裁的な懲罰を与えることにあると解釈しています。所謂「損失の痛み、激痛を与える」という程度のものです。
 何故なら、通貨当局にとって為替介入というのは、自分たちが嘗てばら撒いた通貨を「更にばら撒く(売り)」、あるいは「勇んで回収する(買い)」という行為、これ以上でも以下でもないからです。

為替介入は「云う事を効かない者達に、損失の痛み・激痛を与える」程度

 瞬間的に、損得を無視した2円~3円程度の一方的な為替の動きがあると、レバレッジを組み合わせた「ドル・円」取り引きを行っている連中は、パニックとなるのは必然です。
 当局側の本気度が直ぐに見えないところに、カサにかかって攻めたてる同業他者も加わることから、一目散に清算・損切りに走る者、踏み上げを仕方なく被る者、阿鼻叫喚の世界が訪れます。

一方の米国が、参戦していない事実は重い・・・

 新聞報道によると、日本政府が独自に仕掛けたドル・円の為替介入であって、一方の米国政府は「同調せず」であったという事です。米国は「理解」程度は示した筈ですが、タイアップすることはなかったのでしょう。であれば、売り方側の「青い目の異人さん」側の立ち直りは思ったよりも早くなります。


9/23 円安阻止の為替介入、その効果は「風前のともしび」?...1

 鈴木財務大臣は、単独での介入かどうか明言は避けていましたが、アメリカの財務省は「今回の介入には関わっていない」として、日米の協調介入でないことを明らかにしました。(NHK 2022年9月23日 6時21分)

内外に『日銀防衛ラインは140円-145円』を公言してしまった?

 今回の為替介入、不覚にも日本銀行は「防衛死守ラインが140円-145円の範囲にあること」を内外へ公言してしまったも同然です。これで、海外投機家たちは、円貨の吊り上げ・つるべ落としを安心して繰り返すことでしょう。
 次は、日本株売買と絡ませ「145円で株買い、140円で株売り」のような仕掛け等、あたかも現金自動支払機の如く、日本は「打ち手の小槌」に身を落とします。もちろん、彼奴等が得る利益は日本国民の得べかりし利益であることは論を待ちません。

我々が取るべき投資の指針は...

 次の一言で簡単に言い表せます。『資産はドル貨で保有すること。常に減価する円貨で持っていても、日本国内の株式や不動産に換えていても、有利な条件で将来へ持ち越しできない時代を迎えている。』
 残念ながら、日本国が好きなのと、自分自身や大事な家族を守るのとは、自ずと異なるのです。切り分けて仕切りをして置かないと、大事な時に混乱するので・・・。

9月23日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比107ドル10セント(0.4%)安の3万0076ドル68セントで終えました。ナスダック総合株価指数も3日続落、前日比153.387ポイント(1.4%)安の1万1066.805で終了しています。

ダウ平均株価、一時3万ドルを割り込む

 ニューヨーク株式市場は朝方から売り注文が出てダウ平均株価は一時、3万ドルの大台を割り込みました。取り引き時間中に、3万ドルの大台を割り込むのはことし6月以来、およそ3か月ぶりです。心理的に大きなマイナスです・・・。なお、ダウ平均株価の値下がりは3営業日連続、この間の下落幅は900ドルを超えています。


中央銀行の大幅な利上げ継続で、センチメンタルが最悪...

 米連邦準備理事会(FRB)や欧州の中央銀行が大幅な利上げを継続し、世界景気を冷やすとの懸念が広がっています。またまだこれからが本番なので、投資家の我慢度合いが試されているのです。
 今日は、景気敏感株や生活必需品以外の消費関連株の下げが目立った感じです。いつものように、米長期金利が大幅に上昇したことで、相対的に割高感が増した高PER(株価収益率)のハイテク株が派手に売られました。グーグルが100ドル割れには驚きましたし、『安い!』と感じました。

欧州の中銀、利上げが急ピッチ...

 22日は英イングランド銀行が0.5%、スイス国立銀行が0.75%の利上げを決めています。9月8日には欧州中央銀行(ECB)も0.75%の利上げを決定しており、世界的に「利上げドミノ」が起きている状況です、日銀以外は・・・。
 このような取り巻く環境の中で、日本だけが「為替介入して自国通貨安を阻止」できる筈がないのです。金利の高い処から低い処へマネーはコロコロと転んで行きます。

再来年の2024年まで、高い政策金利を維持するとの予想が幅を利かせる...

 気の早い者たちが大勢いるようで、「FRBが再来年の2024年も、高い政策金利を維持するとの予想」が強まっているらしいのです。このため、米債券市場では長期金利が大幅に上昇して、一時は3.7%を超えて、11年ぶりに高水準を記録したとのことです。

製薬を中心とした、デフェンシブ株が堅調...

 このような、世間が暗く落ち込んでいる時、決まって持ち出されるのがディフェンシブ銘柄です。買いの矛先が、製薬業に向かったらしいとのことです。これ、一時的な動きであって、暫くすると何か理由を付けて「見向きされなくなる」のがオチです。

編集後記

 昨日の為替介入、あのタイミングしか手がなかったようですが、欧州市場が開いている状態だったので、効果のほどはイマイチだったかも・・・。日本市場だけの効果の程を見せつけてやればよかったのにと思いましたが・・・。

半月から1カ月半程度で、介入前以上に円安が出現...

 円買いの為替介入は1997年と98年にも実施されましたが、いずれのケースも介入を始めた日から半月から1カ月半程度で介入を始めた水準を上回って円安・ドル高が進みました。

日銀の防衛ラインがバレました・・・

『日銀防衛ラインは140円-145円』を知られてしまったのが痛いです。そして、ならず者がこの防衛ラインを打ち破るべく、執拗にチャレンジして来ると思います。その時は、頑として撥ね返さないと、なし崩し的に崩壊しちゃいます。

何度も出来ない「為替介入」、一度目は成功だ!

 多量のドルを保有する者としては、介入は痛し痒しです。未来永劫的に、この水準以上の円安で進んでくれた方が私的にはベターです。まぁ、目安としては1ドル150円あたりが、座り心地の良い・落ち着く値かと思います。妥協とは、こんな感じでいつも決まるもので、常にアバウトですから…。


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