米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

8/3「米国債の格下げ」報道が、株売りのキッカケを提供...

 先週末には、8月にFOMC開催の予定はなく、9月開催のFOMCでは「利上げ見送り観測」が当然のように語られ始め、米国の政策金利が暫く維持される見込みが強く醸し出されていました。好決算が続く第一四半期決算の後押しと併せ、米国株の値上がる動向が日増しに高くなって来ていたのです。

米国債を、最上級の「トリプルA」から「ダブルAプラス」へ格下げ・・・

 週始めの月曜日、突然、フィッチ・レーティングス社は、米国の長期債券の格付けを最上級の「トリプルA」から、1段階引き下げて「ダブルAプラス」に格下げしました。
 事由としては、今後3年間で予想される財政悪化、債務上限を巡る政治(政党)対立に代表される「統治上の問題など」を挙げています。しかし、こんなものは、今に始まったものでもありません。


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勝手に格付けして、誰も責任を取らずに「放置する行為」・・・

 単なる株式化された民間営利企業が、通貨発行体(政府機関)が振り出した債券の評価値を勝手にランク付けして、『後は野となれ山となれ』で放置する行為が商売として成り立っている欧米の格付け市場。私など、これ自体が?なのですが...。サブプライムローン危機やリーマンショック等の時にも大問題となり、最後はうやむやになった『例のあれ』です。

市場心理が悪化し、米長期金利が上昇。最後は米国株売りへ向かう・・・

 投資家の誰もが「米国債は紙屑化する」と思っていませんが、面と向かって『米国債を格下げ』されると、これを利用してお金儲けを企む守銭奴が必ず現れます。悲しい習性です。
 まず、手を付けるのが「米国債の売り」であって、以降は「米長期金利の上昇(一時、前日比0.10%高い4.12%)」となり、「米株式相場」の『売り口実が出来上がる』のです。

7月のADP全米雇用リポートで、「雇用者数」が大幅増・・・

 更に、2日発表の7月のADP全米雇用リポートは非農業部門の雇用者数が前月比32万4000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(17万5000人増)を大幅に上回る増加となりました。


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 これでは、労働需給の逼迫を背景にした米国物価高が続くことになってしまい、米連邦準備理事会(FRB)が「利上げを停止し難くなる」との観測を誘った模様です。すると株式が売られるので、何ともタイミングが悪すぎました。

8月3日のトピックス

  • ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落、前日比348ドル16セント(1.0%)安の3万5282ドル52セントで終えました。
  • ナスダック総合株価指数は続落し、前日比310.466ポイント(2.2%)安の1万3973.447で終えています。

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MYポートフォリオ

編集後記

 比較的長めに株式投資を行っていると「好事魔が多し」に遭遇することがあります。昨日、米国債の格下げといった「余計な行為」を行う民間企業(フィッチ・レーティングス社)が現われなかったら、「米国市場の適温(右方上がり)相場」が今週も続いていたことでしょう。


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一刻も早く、お金を儲けたい・・・

 一般的に、他人のマネーを預かって株式運用するプロ集団にとって、企業が支給する配当金などは考慮していません。とにかく株価が上昇であっても下降でも、大きく動けば「それでよし」的な考えを持っています。

 つまり、売買の差金決済で利益を生み出すことが本筋なのです。当たり前のことでも殊更に大きく取り上げたりします。今回のように、米国債券の格付けを勝手気ままに順位付けする民間企業があれば、これを煽って株売りに利用する集団がいたりと...。そして、これで儲けるには、思い切りよく「損切り」する小心者の投資家が必ず必要です。

だから、株式市場に不正がはびこる?・・・

 穿った見方をすれば、格付け民間営利企業から前もって今回のデータを仕入れていたら、「棚から牡丹餅」的な利益を簡単に得ることが出来てしまうのです。裏も表もあるのがこの世の常。目敏い者にとって、お金儲けの「ネタ」は何処にでも転がっています。


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