米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

7/5 米国企業、自社株買いを加速...

 新型コロナで業績が落ち込んでいた米国企業は、するすると『自社株買い』と『配当増額』に向かい始めました。ブルームバーグに次の記事が掲載されていたので、全文を引用します。

米企業の自社株買いが加速へ、大手銀の資本還元拡大で過去最高更新も

(ブルームバーグ):株価の高いバリュエーションを見て立ち止まる投資家もいるかもしれないが、米企業による自社株買いの動きは止まっていない。モルガン・スタンレーやウェルズ・ファーゴなど米大手銀行は先週、米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステストをやすやすと通過した後、自社株買いの拡大と増配の方針を示した。

 米企業の自社株買いは2020年に新型コロナウイルス禍で落ち込んだ後に増加に転じ、今年1-3月(第1四半期)に急増した。

 自社株買いは株価押し上げの直接的方法であるだけに株式相場には朗報で、企業はコロナ禍からの景気回復で手元資金が潤沢にある。ホライゾン・インベストメンツのスコット・ラドナー最高投資責任者(CIO)は「自社株買い戻しは、過去最高を更新するとわれわれは考えている」と述べた。

 ブルームバーグの集計データによると、S&P500種株価指数構成企業は21年1-3月期に計1715億ドル(約19兆円)を自社株買いに投じた。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を依然として下回るものの、20年10-12月期の1200億ドル強に比べて大幅な増加だ。

 これまでのところ、テクノロジー企業が自社株買いを主導。1-3月期はアップルなどIT(情報技術)セクターが自社株買いの約3分の1を占めた。今後は、金融危機から10年以上が経過し、金利上昇で利益を得る立場にある銀行が自社株買いを強化する。

 モルガン・スタンレーは増配のほか、向こう1年で自社株買いに最大120億ドルを投じる計画だ。株式相場の強気派にとってモルガン・スタンレーの資本還元の発表は好都合なタイミングだ。4-6月(第2四半期)に8%上昇したS&P500種は企業収益の頭打ち懸念や高い株価収益率(PER)、新型コロナウイルスの変異株によるリスクなどで上昇ペースが鈍化している。

 S&P500種は高値更新を続けているものの、勢いは緩慢で1%超の上昇を記録したのは過去1カ月で1日しかない。PERは実績ベースで31倍に近づいており、過去10年の平均の19倍をはるかに上回っている。2021/07/05 10:57

 ことの是非はともかく、自社株買いでPERは低下します。記事内にあるようにPERが高倍率であれば将来の株価下落が騒がれるので、企業はそれを嫌って「業績を引き上げるか、発行株数を引き下げるか」の2者択一が求められるのです。そう、経営者の株価への執着心は日本企業の比ではありません。まさに株価は経営者にとって『通信簿』となります。
 米国企業は、将来利益を出す目的のために従業員が夜の盛り場へ夜な夜な出向き、その交際費を認めることをしません。酒を飲んで利益が出るなら営業マンはいらないので、経費で落ちる交際費は会社にとって無駄なのです。しっかりとした収入を得て、自分のお金で遊べばいいからです。会社の経費で遊べば軽蔑されるのが米国、日本では逆に「大物」と称賛されます。文化の違いと一言でかたずけられるものではありません。何故なら、我々は命の次に大事な「お金」そのような企業に投資しているからです。

企業はいったい誰のために存在するのか

 もちろん株主のためです。このテーマは論を待ちません。このように述べると、必ず反論する方がいますが、その方には「サラリーマン」=「株主」の論理が欠落しています。
 私は、何も自社の持ち株を勧めているわけではなく、労働者は株式を所有するのが基本と断言しているのです。銀行預金ではなく『株式保有』なのです。企業が発展・成長して、利益増大となれば、株価が上昇し配当額が増えます。自分とその分身である株式で力を合わせ、複利効果で資産を形成していくのです。そして、これを満面に享受するのは「株主」=「サラリーマン」になります。
 『サラリーマンはお金がなくて、株式を買うことができない貧乏ピープル』のレッテルを張り続けてきたのが、経営者・労組・政党・マスコミ・アナリストの類なのです。労働者を低賃金で酷使すれば、① 日本株式市場が外国人に乗っ取られるのも至極当たり前、② 内需が盛り上がらず、輸出に精を出さざるを得なくなるのも至極ごもっともの結論になります。

72の法則

 先進国の政府債務が増大し続けていて、毎年の利払いだけでも莫大な資金需要が生じています。極論すれば、世の中に出回るお札の数が増えていることに他なりません。古今東西、資金需要の出し手は個人であり、借り手は企業や政府が基本です。富は循環して最後は『人』に帰属します。故に、人には相続税なるものが存在するのです。企業や政府には相続の概念すらありません。
 人は誰しもお金を手にすれば、消費と投資運用を考えます。但し、日本では消費と銀行預金に入れ替わりますが、資金を蓄えようとする気持ちは認めます。ご承知のように、銀行預金は暴動も起きず平穏のまま、定期預金でさえ小数点コンマ以下に据え置かれています。100万円の預金が2倍になるのに何年が必要か、計算してみて下さい。これには『72の法則』を用いれば簡単に求められます。


株式の所有

 株式市場を丸ごと所有できるETFを試しに買ってみましょう。投資先は米国株。日本と異なり1株から株式を所有(日本では基本100株単位)できます。
 世間で『株をする』という言葉がよく聞かれますが、この意味は「株式取引の売買をする」で使われています。売り買いの差益で利益を得る次の方法です。
① 安く買って高く売る。
② 高く売って安く買い戻す。
 しかし、このブログでお話ししているのは、資産形成の『株式を保有する』についてです。いつまで保有するのか、と問われれば、「永久に保有する」がその回答です。期限はありません。かたくなに考えず、命が危なくなれば売却して換金すればよい話です。あたかも定期預金を解約するように...。このように述べると、次のように必ず反論する方がいます。
「定期預金は元本保証、株式投資は値下がれば元本割れとなる」
 反証しますと、①「値上がれば元本以上となる」こと。② 中期・長期に保有すれば、米国株式は値上がる素地が大きく広がっている事が挙げられます。①は論を待ちません。②に関しては、米国政府の債務増大で年々紙幣発行が増加しています。増加すればするほど、株価は上昇します。そして、昨今の傾向として『ETF』の存在を無視できなくなっています。
 一例として、人気ETFであるVTIを取り上げます。VTIは、『あらゆる時価総額規模の米国株式を保有する、米国株式市場全体を投資対象とするETF』と定義づけされています。



 数億ドル規模の新規資金がVTIに流れ込んでくると、VTIではこれに見合った株式を比率に応じて淡々と購入していきます。資金が株式市場の隅々の企業に及ぶようになり、結果として株価が時価以上に引き上がってしまうのです。株価が上昇すれば、企業の資金ショートが起き難くく、資金ショートがなければ、中小企業と雖もなかなか倒産はしません。
 このように、株式を売買するのではなく、保有に焦点を当てれば、人生の勝敗がハッキリとすることをご理解いただけるでしょう。