米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

6/28 資源株と原油株へ、そろりそろりと資金流入...

 24日、米国最高裁が「現憲法は中絶の権利を与えていない」「中絶を規制する権限は、国民と国民に選ばれた議員に戻す」と表明し、中絶を憲法上の権利と認めた1973年の最高裁判決を覆す判断を下しました。

判決への反対派、賛成派の色分け

 以降、御承知のように、米国では判決への反対派と賛成派との色分けが進み、「民主党=反対派、共和党=賛成派」から、更に「反トランプ派=反対派、トランプ派=賛成派」「ハイテク系企業=反対派」など、多種多様な個人・団体が入り混じって、大規模デモが繰り広げられています。もちろん、米国マスコミはこぞって【反対派】です。

バイデン政権の中間選挙対策

 バイデン政権は、中間選挙対策として「石油製品、中でもガソリン料金の引き下げ」路線へのウエイトを引き下げ、「反最高裁判決、中絶反対」路線に重きを置く方針へ舵を切ったようです。このためバイデン政権と釣るんで「原油先物価格や原油株へ空売りを仕掛けていた連中」は大きな支柱を失い、ジリジリと撤退を始めたものとみています。

前例からして、次は原油先物価格が上昇に向かう...

 目指すところは、1バレル120ドル超ですが、バイデン大統領がサウジアラビア訪問を予定しているので、仕掛け人は嫌がるでしょう。しかし、売り方の「売残高」が高水準に積み上がっているので、いじめに向かう可能性も高いです。

米国経済、年内に景気後退入り?

 株式市場に巣くう『ピーチク・パーチク雀の子』は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が急ピッチで利上げを進めているため、米経済の【景気後退入りを年内とする見方】が急速に広がって来ている、と騒ぎ立てています。

更に、スタグフレーションに直面する?

 更に、インフレが収束しない内に景気後退に入る【スタグフレーション】までもが、現実味を帯びて来ていると、はしゃぎ始めました。雀の子は、これを拡散しまくって「しばらく飯を食っていく」考えのようです。

「嘘」も繰り返し叫べば「本当」になる?

 『景気後退』『不況到来』などと騒げば騒ぐほど、火のない所に煙が立たないの譬えどおり、「実現してほしくない狼煙」として立ち昇り、人の心に不安感が宿ってしまいます。頼んでもいないのに、ホント始末に負えません。

早ゃ、もう芽が出始めた「来年の利下げ」議論...

 市場の一部では、既に「来年の利下げを織り込み始めており、ドルを買いづらい環境になりつつある。」との声が出始めて来ています。こうなると、株安は年内一杯の見立てが正しくなってきます。畢竟、この見立てが勢いを保ち続けることが出来るか否かは、追随する大物アナリストや大手分析集団がいるか?に掛かっています。

6月28日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落、前週末比62ドル42セント安の3万1438ドル26セントで終了しました。ダウ平均は前週に1600ドルあまり上昇していたので、さすがに短期的に利益を確定する売りが優勢でした。ナスダック総合指数は0.7%下落、S&P500種株価指数は前週末比0.3%安で終えています。


リバランス(資産配分の見直し)買いの期待感が強い・・・

 今週は「月末」と「四半期末」がセットでやって来る週であり、市場関係者は年金基金などによるリバランス(資産配分の見直し)買いが期待できるとはしゃいでいます。想定どおり、株式相場を押し上げるのか否か...。

MYポートフォリオ

 本日付で原油ETF「XLE」から第二四半期分配金が振り込まれていたので、概ね半分ほどを保有銘柄の追加購入資金に充当しました。6月は残り数日ですが、カバードコール系ETFの分配金支給が月内にあるので、更に買い込む資金を得て対処できることは事実です。


6月配当金・分配金が過去最高額

 次の2段目の棒グラフのとおり、過去3年間における最高月額を更新中です。更に、増加する動きもありますので楽しみです。


編集後記

ロシア・ウクライナ紛争は、欧州内戦の様相に向かう...

 ロシア・ウクライナ紛争は欧州内戦の様相を呈して来ています。2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻以降、月日が経過すると人の噂も75日の譬えどおり、アジアや中東を含む新興国は全く興味を示さなくなり、G7など西側の欧米国だけがグループを組んで騒いでいるような雰囲気が出始めています。


 更に、安値(バーゲン価格)になった「ロシア産原油、天然ガスの長期購入契約」を望む国が増えて来ているとの情報も、チラホラ聞くようになりました。

ハイテク系企業と判決賛成州(中絶反対州)とが訴訟騒動に...

 案の定、危惧したとおり、ハイテク系企業と判決賛成州とが訴訟騒動へ発展しそうです。判決賛成派の切り札である【殺人という二文字】で、どこまで切り込んでくるかに掛かっていそうです。但し、企業はトラブルを避けることを最優先にするので、この種の結果は既に出ているも同然です。

 米連邦最高裁が人工妊娠中絶の合憲性を否定する判断を下し、米国の企業に新たな事業リスクが浮上している。今後は全米の各州がそれぞれ中絶を認めるか、制限するかを決める。一部の企業は手術を受ける従業員に向けた支援策を打ち出したが、制限派の州がこれに対し、訴訟を提起する可能性も出てきた。全米50州が二分する事態は、企業に難しい判断を迫る。


 性と生殖に関する健康・権利を研究する米ガットマッハー研究所は、最高裁が中絶の合憲性を否定すれば、13州が中絶の制限・禁止にすぐに動くと予測してきた。

 最高裁が24日に判断を下すと、さっそくケンタッキー州やサウスダコタ州で中絶を制限する州法が発効した。これらの州では、最高裁が合憲性を否定すれば、自動的に発効する「トリガー法」がすでに成立していたからだ。テキサス州やテネシー州などでも近く制限・禁止法が施行される見通しだ。

 サウスダコタ州のノーム知事は26日に米TV番組に出演し、中絶薬の処方など遠隔医療行為も禁止していく方針を示した。禁止・制限派の州で具体的な動きが加速しており、全米の半数の州に及ぶ可能性がある。


 一方、中絶容認派の州も声明などで対抗する。ガットマッハー研究所によると、明確な容認州は16州と首都ワシントン(コロンビア特別区)。カリフォリニア州とオレゴン州、首都ワシントンは24日に共同声明を出し「最高裁は憲法による生殖の自由の保護を取り消した」と非難したうえで、中絶の権利を守っていくと強調した。


 一部の大手企業は従業員支援を打ち出している。米ウォルト・ディズニーは最高裁の判決を受けて24日、中絶を禁止・制限する州から他州に手術を受けにいく際の旅費を負担すると従業員に伝えた。

 銀行大手のシティグループやJPモルガン・チェース、ジーンズを手がけるリーバイ・ストラウスはすでに同様の支援を決めていた。中絶問題は人々の生活に直結するだけに、従業員に対し自社の施策を説明することは、企業の差し迫った課題だ。

 だが、こうした施策が州から訴訟を受ける可能性が浮上している。「中絶は犯罪になる。シティバンクの職員は、中絶費用を支払う前に法律を確認する必要がある」中絶反対派が支持基盤の共和党が優勢で、中絶制限法が施行する見通しのテキサス州では、共和党議員がこう表明するなど企業に対するけん制が始まっている。



 企業は、従業員がどの州に住んでいても、平等に働き生活できる仕組みを維持する必要がある。だが、そのための仕組みが法的リスクに直面すれば、企業は手足を縛られかねない。米の一部報道によると、メタ(旧フェイスブック)は従業員に対し、中絶問題について、社内で公然と議論することを控えることを要請したという。


 中絶を巡る各州の動向には不透明さも残る。ルイジアナ州では24日に制限法が発動したが、27日に効力が止まった。同州裁判所が制限法の一時差し止めを認めたからだ。中絶を巡っては同じ州内でも意見の対立がある。こうした先行きの読みにくさも企業の対応を難しくする要素になりそうだ。(日経新聞 2022年6月28日 6:46)

弱り目に祟り目