米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

9/22 0.75%の利上げ決定後、市場は上げ下げの乱降下...

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、市場の大半の予想どおり、連邦公開市場委員会(FOMC)において0.75%の利上げを決め、政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を3.00%-3.25%に設定しました。3会合連続の利上げとなります。

今後の更なる「追加利上げ」「インフレ亢進」「経済減速」を示唆...

 FRBはインフレが引き続き昂進しているので、今後とも利上げ継続が適切であるとして、追加の利上げを示唆しています。そして、インフレ亢進への見込みを大幅引き上げた一方、米国経済の成長見通しを引き下げています。

金利は直ちに上昇(債券価格は低下)...

 米10年債利回りは3.62%、米2年債利回りは4.11%まで上昇して、2007年来の高水準となりました。逆イールドカーブは一段と拡大して、景気後退の予測が強まった結果を示しています。

一角のドル高が出現し、一時144円70銭まで上昇...

 ドル/円は144円70銭/ドルまで上昇後、143円台へ反落。ユーロ・ドルは0.9911ドルから0.9814ドルまで下落しています。ポンド・ドルは1.1340ドルから1.1238ドルまで下落し、37年ぶり安値を更新。英国では国の存続自体にイエローカードが突き尽きられています。

パウエル議長の記者会見主旨

 30分程度の会見でしたが、同議長は金融政策で「物価の安定を回復する」ことを強調し、概ね次のような主旨でした。従来の主張と大きな差はありませんが、今年末の政策金利の見込みを4.4%と引き上げたことが目に付きます。

9/22 0.75%の利上げ決定後、市場は上げ下げの乱降下...1

  • 適正な金利水準としては、まだ引き上げ終了には程遠い。
  • 2022年末の政策金利は4.4%、2023年末は同4.6%になる見通しを示す。
    • 年内(11月と12月の2回)、最大1.25%の引き上げが見込まれる?
  • 得られた1つのデータに対して、過剰な対応はしない。
  • MBS(住宅ローン担保証券)の売却は、今のところ検討していない。
  • 何処かの時点で利上げペースを緩和させるが、軟着陸が困難と見ていると指摘した。

利上げ決定後の所感...

 金融市場が予測した0.75%の引き上げとなり、関係者は安堵したことでしょう。私は政策的に1.00%の引き上げを二重丸としていましたが、『人は木の股から生まれるのではない』を噛みしめるような判断を示し、中間選挙前の大事な時期、これ以上与党を窮地へ落とせない配慮を示す、妥当な落としどころであったと思います。

市場は、曲がった根性を袖から見せた!

 市場の反応としては、発表後に「ドル高、債券安(金利高)、株安」のトリプルが瞬時に現われましたが、次に市場特有の『曲がった根性を袖から見せる』が如く「ドル安、債券高(金利安)、株高」に転換、パウエル議長の会見後は定位置の「ドル高、債券安(金利高)、株安」に戻って落ち着きました。

市場は、0.75%をそれほど痛手と見ていない...

 このような「上下左右に金融市場が簡単・瞬間に動く」という事は、今回の0.75%の金利引き上げを手のひらで球を転がすが如く、市場は痛手と見ていないということです。言い換えると、一時的に身をひそめるだけで『まだまだ余裕がある』という事でしょう。

政策金利が上がる程、「株式市場はメリットを多く受ける」論理...

 「曲がった根性」から市場論理を読破すると、今回の『政策金利が引き上げられることは、それだけ下げられる幅が広がるという事に他ならないので、将来的に株式市場が受け取るメリットが多くなる』という手前勝手な論理が広がります。どうとでも、解釈や受け取り方が可能なのです。

9月22日のトピックス

 ダウ工業株30種平均は前日比522ドル安の3万0183ドルで終えています。ダウ平均はパウエル議長の記者会見中に前日比で200ドル以上上げる場面もありましたが、取引終了にかけて売りに押されています。


9月22日のトピックス

編集後記

 今回のように、株式市場がクシャミをして株価が下落した時、嬉々として楽しんで売買するのが、彼の「バフェット氏の投資手法」です。彼は、ひるむことなく80年以上に亘り苦心しながらも、あのような一角の資産を築いたのです。


9/22 0.75%の利上げ決定後、市場は上げ下げの乱降下...2

全ては時が解決する・・・

 バフェット氏が過ごしてきた市場での長い期間、スターリン死去、キューバ危機、ケネディ大統領暗殺、ウォーターゲート事件、オイルショック、エンロンやワールドコムの倒産、アメリカ同時多発テロ、挙げればキリがない程に株式市場へ激震が走っています。株価低迷が16年も続き『株式の死』と揶揄された時期(1970年代に長期低迷)もありました。


9/22 0.75%の利上げ決定後、市場は上げ下げの乱降下...3

再び、上昇を刻み続けるのが米国株式市場...

 今、バフェット氏は健在で超富裕層へ登りつめ、米国は他国がうらやむ繁栄の限りを尽くしています。たとえ、歴史に残るような不祥事が舞い込んでも、時間の経過と共に、蚊が差した程度の痒みに変え、何事もなかったかのように再び上昇を刻み続けるのが、米国株式市場なのです。

明日以降・・・

 最大の政治ショーが終わりましたので、明日以降の株式市場はマイナス分を取り戻す基調に変わって来ることでしょう。次の政治ショーは、11月後半の「米国中間選挙」と「連邦公開市場委員会(FOMC)」が予定に入っています。さぁ、残すところ2カ月余りです。


9/22 0.75%の利上げ決定後、市場は上げ下げの乱降下...4