米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

3/17 米2年債利回りが、3.81%から4.20%まで急上昇...

 ようやく、米国債券市場は長短金利の逆転現象である「逆イールドカーブ」に戻ったようです。短期債「米2年債利回り」が長期債「米10年債利回り」を上回る逆転現象などは、本来発生しないのです。しかし、昨年来から1年近く見られる現象でした。
 今回の銀行システム不安で債券買いに投資家が殺到したことで、本来のあるべき姿の「イールドカーブ」へ方向舵が急旋回していたのも束の間、いつの世も切羽詰まった債券買いが、投資家のその時々の心情を如実に現します。


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逆イールドカーブ

 逆イールドカーブは、1990年以降に発生した「ITバブル崩壊」、2007年末頃から発生した「サブプライムローン危機」など、記録に残る株価暴落の前触れとみなされて、これが現われると『景気後退のサイン』だと市場では見られています。米国では、2022年3月の利上げ開始以降は頻繁に発生、今では「あたかも常設」となっています。


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これで、米国における地方銀行の信用不安も収束に向かう?

 喜ばしいことではありませんが、1年近くに亘って、不吉な長短金利の逆転現象(逆イールドカーブ)が続いている米国経済は、イールドカーブから数日振りに「定位置の逆イールドカーブ」へ戻りました。
 私感ながら、これで今回の「米国における地銀の信用不安も収束に向かう?」ものと思料しています。なお、米国政府は次のように、金融不安を払底すべく、次々と考えられる地雷原を撤去しつつあります。

初夏には思いだす、 嘗て「信用不安」で銀行株価が地を這っていたと...!

 寄り付き後、株価が数十%下落するような「けたたましい値付け」が発生していた今回の株価下落...。さてさて、仲良し数人が集まれば、嘗ての思い出話に花を添えるようになるのか、あるいは「危機収束などおこがましく」、これから「大規模な金融危機」へ突き進むのか。もちろん、私などは『思い出話の前者がやって来る』を取り上げますが・・・。

3月17日のトピックス

 ダウ工業株30種平均はようやく反発、前日比371ドル98セント(1.2%)高の3万2246ドル55セントで終了しました。ナスダック総合株価指数は4日続伸、前日比283.225ポイント(2.5%)高の1万1717.277で終えました。金利低下の恩恵もあって、売られていたテック株の買戻しが盛んです。


傾いた米地銀へ「預金支援」が広がる・・・

 寄り付きから再び強く売られていた「経営不安が続く米地銀のファースト・リパブリック・バンク」。米大手銀行が支援するとの観測から、金融システム不安が和らぐとみた買いが広がった模様。
 引け間際に11行の預金支援策が発表されると、一段高となる場面がありました。一時は40%近く下げた「ファースト・リパブリック」は、10%高で終え、JPモルガンやゴールドマン・サックスなど大手金融株も値上がりするなど、金融危機のリスクが完全になくなったわけではないですが、一先ずは落ち着いた感がします。

欧州中央銀行(ECB)が、この逆風の中で「0.5%利上げ」を実施・・・

 欧州中央銀行(ECB)が、16日の理事会で前回に続き、0.5%の利上げを決めました。米欧の金融機関の経営不安から利上げ幅を縮小するとの見方も強かったですが、「インフレ抑制を優先」したようです。もっとも、「0.5%の利上げを見送る方が投資家の不安をさらにあおる」との判断から計画通りの決定にいたったと報じられています。

これで、次回のFOMCにおいて「金利引き上げ」が既定路線に?・・・

 この時期、欧州中央銀行(ECB)が腹を据えて「利上げへのいばらの道」を選んだことで、米連邦準備理事会(FRB)が21〜22日に開く予定の「米連邦公開市場委員会(FOMC)」で、少なくとも0.25%の金利引き上げが強く意識されるようになりました。失業率の減少データもあって、労働環境の逼迫度は何も変わっていないのですから・・・。

MYポートフォリオ

 この混乱時、いったん撤退した「V ビザ A」の買戻しを実行しました。210ドル割れのビサ株を7株手配しています。金融株の混乱時の中、保有銘柄の洗い出しを行って取捨選択を厳選したつもりです。

編集後記

 『空売り』とは、先々に「当該銘柄の株価は下がるべく」との思惑で、当該株を借りてでも、売り立てする株式取引のことを云います。株を貸し出すのは、証券会社や大口の所有者です。もちろん、日割りで賃借料の支払いと担保力が求められます。
 今回、シリコンバレー銀行に売りの矛先を絞って『空売り』を仕掛けていたヘッジファンド達は、相当な利益を得たことで鼻高です。
 これに関連する、鋭い分析で定評のある「豊島逸夫の金のつぶやき」から、気になった箇所を引用させていただきます。

 (中略)ウォール街にも反省感が漂う。事が発覚するまで、米銀シリコンバレーバンク(SVB)担当アナリストたちから破綻リスクへの警告は全く聞かれず、持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの予想株価も200ドル以上で500ドルさえ見られたことが話題になっている。総じて、楽観的であった市場は猛省すべしとの掛け声がしきりに聞こえてくる。


 (中略)なお、リーマン・ショックとの比較もしきりに論じられるが、ここは冷静な判断が必要だ。リーマン・ショックでは、低所得者層向け住宅ローンを束ねて証券化した商品が大量に世界中で出回っていた。

 しかし、今回は、多くの米銀が大量保有して金利高による含み損を抱えているのが国債と住宅ローン担保証券(MBS)である。(豊島逸夫の金のつぶやき 2023年3月13日 13:06)

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