米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

4/4 原油の追加減産、サウジがバイデン米政権へ宣戦布告...

 2日、サウジアラビアは「5月から本年末にかけて、日量50万バレルの原油を自主的に減産する」と発表しました。中国の経済活動が活発化する兆しが既に表れ始めていることもあって、原油価格は「産出量減少と消費量増加のダブルパンチ」の追い風が強まり、今後、高値安定的に推移すると見られています。

もはや、腹を括った「サウジアラビア王家」・・・

 これなんぞ、インフレ抑制とロシア財政の枯渇化へ躍起となっている米バイデン政権に対する、サウジアラビアからの『当てつけ』『挑戦』と云った宣戦布告にも等しい行為です。
 原油産出量の減少は、先進国の株式市場にとって「悩みのタネ」を増やすだけなので、手放しでは喜べないでしょう。常に、景気の下押しやインフレ懸念が付きまといますから...。


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(ウラジーミル・プーチン大統領とムハンマド・ビン・サルマーン皇太子)

従来の減産200万バレル + 新たな減産115万バレル 

 今回の減産量は、「石油輸出国機構(OPEC)」とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」が協調して、合計で日量約115万バレルとなる勘定です。「OPECプラス」が昨年11月から続けている日量200万バレル減産に更にプラスをする措置で、米銀の預金引き出し騒動で下落した原油相場を支える狙いが明白です。

他産油国も同調、原油価格維持の予防的措置・・・

 ロイター報道によると、イラクは21万1千バレル、アラブ首長国連邦(UAE)は14万4千バレル、クウェートは12万8千バレルを自主的減産します。ロシアは2月に表明した日量50万バレルの減産を、2023年末まで続ける意向を示しています。
 サウジアラビアのエネルギー省報道官は、「石油市場の安定を支えるための予防的措置」であることを強調していますが・・・。


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米原油先物のWTI、1バレルあたり80.41ドルへ急上昇・・・

 国際指標の北海ブレント原油先物は3月、米欧の一部銀行の経営不安から1年3カ月ぶり安値の1バレル70ドル前後に急落していました。
 この減産措置の発表で、過度の下落警戒が和らぎ、前週末終値から上昇して80ドル前後まで持ち直しています。産油国としては、消費国の意のままに原油価格を操作されることが「堪らなく腹が立つ」のでしょう。

4月4日のトピックス

 実質的な4月入り。日本的に言うと『新年度突入』ですが、米国では1月~12月サイクルなので、単なる第2四半期入りです。
 ダウ工業株30種平均は4日続伸、前週末比327ドル00セント(1.0%)高の3万3601ドル15セントで終えました。2月17日以来、およそ1カ月半ぶり高値への到達となります。
 ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落。前週末比32.454ポイント(0.3%)安の1万2189.453で終えました。今日などは、大きく長期金利が低下したにもかかわらず、PER値など関係なしと云わんばかりに下げ続けました。ここんところがよく分かりません・・・。



 原油先物相場の大幅高が一気に相場観を目覚めさせて、地銀不安を隅に置きやるのか注目です。資源関連を中心に買いが入った反面、景気の先行きに懸念が高まってくるので、お決まりの「ディフェンシブ株上昇」が見られました。

そろそろ、第一四半期決算の発表が続く・・・

 株式市場的に見ると、新年度以降の第一四半期決算発表がボチボチと始まります。アナリスト予測値の上下動で、一喜一憂する変動相場が見られる事でしょう。ちなみに、速効で発表された電気自動車のテスラの1~3月期世界販売台数ですが、残念にも市場予想に届かなかったことで対前日比6%安の株価で終えたのも、この『決算相場の類』に入ります。

1月~3月におけるテスラの世界販売状況

 日経新聞によると「テスラが2日発表の1~3月期の世界販売台数は前年同期比36%増と大きく伸びたものの、市場予想に届かず株売りに押された。」とあります。
 大幅な値下げで販売台数は回復したものの、値下げは利益率の悪化につながります。ドイツ銀行の分析では「世界的な景気悪化や中国のEV販売競争で、もう一段の値下げに追い込まれる可能性が高まっている」と状況を分析しています。販売台数を回復させても、利益増加につながらなければ「元も子も」ないのです。

MYポートフォリオ

 半導体のマイクロン・テクノロジー株が寄り付き後、売り浴びせられていたので16株ですが買いを入れました。その他、地銀株を少々買い込みました。チャールズ・シュワブ(SCHW)株への売りがしつこいです。

GAFAM銘柄、「売り」から「買い」へ急転換・・・

 米国10年債券の利回りが大きく低下する場合、通説では高PERのハイテク株急騰で動き出すところ、高値に位置するGAFAM銘柄は「売り対象」として市場が始まりました。しかし、強い「買い気流」に抗い切れずにプラス展開へ反転し、売り方も諦めた様子です。
 マスコミ報道によると、株価急上昇のGAFAM銘柄を「売りの好機」としているアナリスト達が出始めています。日経新聞に『米テック株、「買いサイン」は本物か』の記事がありました。一部引用します。

$$ 米テック株、「買いサイン」は本物か


 (中略)1〜3月期を振り返るとテック株は高成績を残した。S&P500種株価指数の業種別指数でみるとIT(情報技術)銘柄を含む「情報通信」と「電気通信サービス」が1位と2位を占め、ともに2割超上昇。アップルやマイクロソフトなど巨大IT銘柄5銘柄だけで同四半期に時価総額を約1兆5200億ドル(約200兆円)増やした。


 巨大IT銘柄は金利低下という追い風に加えて、安定した現金創出力や盤石な財務という強みが投資家をひき付けた。アルファベットは、短期有価証券を含む広義のキャッシュが総資産の31%を占める。シリコンバレーバンク(SVB)など中堅銀行の相次ぐ破綻を経て、リスク許容度の落ちた市場参加者のマネーの受け皿になった面がある。


 ここに1つ目の「錯覚」がある。「テック銘柄は生活必需品や公益事業と同じ性格を持つのかという問い合わせが多数寄せられるが、テックは伝統的なディフェンシブ銘柄に比べて景気敏感性が高い」。米モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は指摘する。

 銀行が与信態度を厳しくするなか、景気悪化が色濃くなれば巨大テック株への下落圧力は今後強まる。(日経新聞 2023/04/04 7:13)

編集後記

 今回、原油価格の維持を狙った「産油国の自主減産」は、サウジアラビアの米国に対する『宣戦布告』以外に適当な言葉が見つかりません。

次の①~②で、サウジは引くに引けない・・・

 米バイデン政権は、① トランプ前大統領(共和党)に対して検察権力までを繰り出し、次期大統領選挙を見据えて潰しに掛かっていること。② ウクライナ騒動に関して、ゼレンスキー大統領と端から結託、ロシアへウクライナ侵攻をけしかけて敵国ロシアの解体までを視野に入れていること。


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(歳の割には、いつも背筋を伸ばしているバイデン大統領)


 これらは、サウジアラビアに対して『次は自国の番である』ことを明白に示唆しているので、サウジとしては米民主党政権への警戒感を緩めることはできず、ロシアを防波堤として何としても側面支援する腹積もりのようです。この点、習近平の中国共産党政権も同様でしょう。但し、いつもながら岸田自民党政権だけは、米バイデン政権へ摺り寄っていますが...


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