米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

4/10【番外編】株価と為替レートで収益額・損失額が決まる...

 2022年10月20日、外為市場で終値の最高値150.16円/ドルを記録しました。以降、翌日に高値151.94円/ドルを記録したのが最後、再び150円/ドルを超えることはありませんでした。暫くは、訪れて来ないでしょう・・・。
 これより、日銀の為替介入もあったこと、米金利引き上げのペースが落ち着いたこと等から、2023年に入って130円台が定着しています。ひと度、米の利上げ停止や日本の金利抑制の解除の動きが出始めると、120円台突入(円高)は時間の問題と思われます。


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ドル資金の確保と為替レート

 米国株を購入する場合、元手が日本円であったならドルへ両替することが必要です。ここから何事もスタートですから、1円の円高・円安の差であっても積もれば大きいものです。ドル/円の為替相場は世界共通、あなたが独自に決めることが出来ません。必要に迫られて、不本意ながらの換算値で両替を行わざるを得ない時もあります。
 この時々の両替為替データを後生大事に記録している方はまずいないでしょうが、ドルから円に戻す時、利益が出ていれば「雑収入」として確定申告する必要が国民の義務でありること、ご存知ですか? 種々の非課税条件がありますが、原則として確定申告を行うと知っておきましょう。儲けには申告の義務が課されます。

証券口座の開設と税処理を届け出・・・

 晴れて、米国株にデビューする前に証券会社に口座を開設します。その際、口座に付帯する税務区分を『特定口座・源泉徴収あり』とするのが一般的です。その他区分を選択することもできますが、後日に面倒な作業が発生が発生したりするのでお勧めはしません。なお、原則1年間は税務区分を変更できないので、最初は『特定口座・源泉徴収あり』にすると、覚えて置きましょう。

特定口座には、取り引き時の為替レートが記録される...

 例題として、あなたが1000ドルを130円/ドルで両替して、銀行へ13万円を支払いました。そして、当日嬉々として銀行から証券会社へ1000ドルを移管します。この1000ドルを用いて、直ちに証券会社で株価100ドルのA株を10株購入します(手数料等は考慮せず)。税務区分は『特定口座・源泉徴収あり』です。
 翌日、購入済したA株の支払い清算が行われます。その時、ドル/円の為替レートは125円の「円高」に急変していました。あなたの特定口座には、『A株式10株購入、取得価格100ドル/株、取得為替レート125円』と記録されるのです。1ドル130円で1000ドル購入したことなど裏に追いやって、125円が前面に現れました。130円などお構いなしのようです。

6カ月後、株価100ドルで全株売却すると・・・

 事情があって、6カ月後にA株式を株価100ドルで全株売却しました。翌日の売買清算時の為替レートは135円の円安に様変わりしています。円がドルに対して急落しているのです。この時、特定口座で記録される「売買清算状況」は次のようになります。
『A株式10株売却、売却価格100ドル/株、売却為替レート135円。売却時の円換算額130000円。購入時の円換算額135000円。譲渡益額(税込)5000円。徴収税額(20%)1000円』

ドル貨で、精算額を受け取る場合

 上記の例題で申し上げると、ドル貨で精算額を受け取る場合は1000ドル(@100ドル×10株、税込)となります。但し、徴収税1000円を証券会社から求められますので、1000ドルから1000円相当額のドル貨(7.40ドル)を差し引かれた残額992.6ドル(税引)が口座入金されます。なお、差し引きできる円価が口座にあれば、1000ドルが入金されます。

円貨で、精算額を受け取る場合

 上記の例題(両替手数料を無視)で申し上げると、円貨で精算額を受け取る場合は135000円-1000円 = 134000円(税引)となります。購入時と同じ株価で売却したにもかかわらず、売却時の為替レートが10円の円安(135円/ドル)になっていたことにより、税引きの受け取り額が増加して来るのです。

厳密に申し上げると・・・

 上記の「円で精算額を受け取る場合」で得た134000円(税引)は、1000ドルを130円で両替した時から4000円が増加しているので、これはこれで「確定申告の対象」になります(年間の雑所得が20万超の場合)

配当金と分配金は、泣いても笑っても「源泉控除」される!

 証券口座を開設する時、「特定口座・源泉徴収なし」を選択すれば、源泉控除されることなく、配当金や分配金までを全額受け取れると『勘違い』している投資家が多いのに驚きます。税務署はそんなに甘くはありませんよ^ - ^。
 ここで言う「源泉徴収なし」とは、「譲渡税の源泉徴収なし」に他なりません。株式の売買に伴い差引収益額が発生した時に納税義務が生じる「国税・住民税(個人の場合)」のことです。よって、配当金と分配金の「国税・住民税」は、どうころんでも・泣いても笑っても、法律に基づき支払い時に「源泉徴収」されるのです。

結論として、(ドル/円)為替レートはとても大事な要因

 結論として、米国株式の売買は「株価」だけに注視して、売り買いすべきものではありません。為替レートが株式売買に及ぼす影響は無視できる程小さいものでもなく、株価とセットで損益を計算すべきものです。
 日本の税務当局は、ドル貨を介在する米国株の売買時、その時々に決められた『ドル/円為替レート』で収支損益を確定します。これは法律で定められた決まりです。ドル建て取り引きであっても、定められた『ドル/円為替レート』を用いて、一旦円貨に戻して計算し直すのです。投資家に戻る投資金や手数料、配当金、分配金などもも同様です。

国税・住民税は、毎年1月~12月を確定期間とする決まり

 国税・住民税は毎年1月~12月を1年間の確定・清算期間とします。よって、11月に入ると、「配当金と分配金の受け取りで生じている源泉徴収税額」と「株式売買で生じている源泉徴収税額」の概算合計額ぐらいは把握して置きましょう。
 ネット証券ならPDF化・電子交付化されているので、『特定口座・源泉徴収あり』の場合は楽にチェックできます。
 しかし、一般的に『特定口座・源泉徴収なし』を選択した場合、取り引き毎に発行される交付帳票がベースとなって、証券会社のまとめ方・取り扱い方が「雑」になります。この区分はあくまで、自身で税金の申告を行う方向きとなっているのです。

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年末、敢えて「損切売買」を実行して損失額を確定させる...

 納税額を極力減らしたい時は、年末に近づけば保有銘柄の整理売買を行うのが常です。敢えて、評価損が生じている銘柄を売却するなどして、損失額を確定させるのです。評価上ではダメです。この時、米国株で非常に大事になるのは、購入した時の「為替レートが幾らであったのか」に尽きます。
 『特定口座・源泉徴収あり』を選択している場合、所属の証券会社はあなたの個々の銘柄に関して全てを把握していますから、年間の総まとめはお手のもの。例年、1月半ばには「特定口座年間取引報告書」を提供してくれますが、税が確定した1月では遅すぎるのです。事前に把握するからこそ『税金対策』が行えるのです!

投資家として、銘柄毎の平均取得為替レートを把握して置く...

 MYポートフォリオでは、次のように保有銘柄毎に「平均取得為替レート」を把握しています。残念ながら、所属している証券会社はレクチャーしてくれないので(私がその方法を知らないだけかもしれませんが...)、開示されている証券会社のWEBページデータ類から「平均取得為替レート」を、次のように把握して活用しています。

サンプル画像

 青地の「取得為替」欄に書き込んでいます。その右の「損益額」はドル建ての株価だけのものです。
 日本在住の投資家は、①「損益額」と②「取得為替」レートと「売却為替」レートの差異額の2種類の計算が必要です。
 もちろん、『特定口座・源泉徴収あり』を選択している場合、所属の証券会社が計算、徴収税、報告書作成までを無料で仕上げてくれます。あくまで、取引終了後ですが・・・。


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 実例として、SBI証券のWEBページデータを用いて、いつでも簡単に取り出す方法をお知らせします。(次項に続く・・・)

編集後記

 はやくも第一四半期が終了しました。1年の1/4が過ぎたのです。利上げ開始から丸一年が経過して、調整して来た株式市場も駆け上がりたい上昇マグマの噴出を時々は感じることがありますが、利上げ停止の息吹を吹きかけて貰わない事には長続きする筈もなく、膨れ始めては萎む動作を繰り返すばかり・・・。
 そうこうするうちに、夏から秋冬に季節が変わるやも知れません。秋になっても慌てることのないように、株価と為替レートに関する知識を共に深めていきましょう。


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