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4/16 JPモルガンCEOは、常に脇を締める生粋のバンカー…

 米大手銀行JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、投資家向け会合では「ハリケーンはすぐそこにある」と発言するなど、米連邦準備理事会(FRB)による量的引き締め、ウクライナ紛争といった「経済の波乱要因」に備えるよう訴え続けています。先行きの不透明感を指摘するレベルではなく、「警戒トーンを強めた形」で経営者と投資家に対して警告しています。


4/16 JPモルガンCEOは、常に脇を締める生粋のバンカー…

2023年1-3月期決算(第1四半期)

 14日朝方、同氏がCEOとして率いるJPモルガン・チェースは、2023年1-3月期決算(第1四半期)を発表しました。1株利益、経常収益とも予想を上回る実績となり、金利上昇の恩恵を受け、純受取利息(NII)も予想以上に拡大しています。また、市場が懸念していた預金残高も2.38兆ドルと予想外に拡大して、市場予想(2.33兆ドル)も上回り、預金流出は確認されていません。

2023年通期の「純受取利息」の見通しを上方修正...

 SVBなどの破綻をきっかけに、JPモルガンに500億ドルの預金が集まりました。貸出残高は同1兆1288億ドルとなり、2022年末比で1%減っています。
 トレーディング部門は株式は予想を下回ったものの、債券・為替・商品(FICC)は好調を維持。また、通期の純受取利息の見通しを810億ドルに上方修正している程です。
 アナリスト達によると、今回は満点の決算だったようです。但し、積み増した貸倒引当金は23億ドルと、前年比56%増となっています石橋を叩く姿勢は不変です。

詳細なJPモルガン第1四半期の決算内容

(1-3月期・第1四半期)
・1株利益(調整後):4.10ドル(予想:3.38ドル)
・経常収益(調整後):393.4億ドル(予想:368.3億ドル)
  FICCトレーディング:57.0億ドル(予想:52.5億ドル)
  株式トレーディング:26.8億ドル(予想:27.5億ドル)
  投資銀行:15.6億ドル(予想:15.4億ドル)
  CIB:83.8億ドル(予想:79.9億ドル)
  純受取利息(NII):208.3億ドル(予想:191.2億ドル)
・融資残高:1.13兆ドル(予想:1.13兆ドル)
・預金残高:2.38兆ドル(予想:2.33兆ドル)
・利付資産利回り:2.63%(予想:2.39%)
・貸倒引当金:22.8億ドル(予想:23.1億ドル)
(通期見通し)
・純受取利息(NII):810億ドル(従来:730億ドル)(予想:737億ドル)


決算発表後、買戻しでJPモルガン株が急騰...

 これを受けて、NY株式市場は「買い」で反応して終値138.73ドル、対前日比+9.74ドル、+7.55%高で終了しています。
 同銀のダイモンCEOは声明で「米経済は引き続き、総じて堅調だ。消費者は支出を続けておりバランスシートも健全で、企業も良い状態にある」と珍しく自賛しましたが、脇を締めることは忘れずに、「しかしながら、過去1年にわたり当行が見守ってきた波乱の前兆は依然として見えており、銀行業界の問題がこうしたリスクに加わった」と指摘しました。米国銀行界の重鎮は健在のようです。

他の米大手銀行にも「株買い」が強まる…

 決算報告を受けて、3月の預金引出し騒動で懐疑的な投資家やファンドは、JPモルガンやシティバンク等の米国大手銀行に「買い戻し」を入れる反面、売りターゲットになっている地銀へは「売り」を強める『両建て売買を拡大』したようです。
 これら地銀の決算報告日までが、思惑渦巻く『仕込み』の再チャンスとばかり、株価の上げ下げを虎視眈々と狙っています。

銀行経営の安定化は、「FRBの利上げ継続」に直結する…?

 もっとも、米国金融界が安定化を早期に取り戻すとなると、別の『懸念』が頭をよぎり始めます。それは、銀行業界大手の業績の底堅さは、インフレとの闘いを和らげるためにFOMCにかかる圧力の一部を軽減する可能性があることです。
 コンサルティング会社オピマスのオクタビオ・マレンツィCEOは、この結果は「銀行にとっては良いことだが、より広範な金融市場にとっては悪いことだ。」と指摘しました。

これからも続く、市場とFRBの「イタチごっこ」・・・

 同氏が『(3月の)銀行問題が今や「蒸発」してしまう中、FOMCが今年後半に利上げ方針を転換することに期待する。』と述べたように、違った問題点、不安点が浮上しています。こちらを抑えればあちらが浮上するなど、市場とFRBの「イタチごっこ」は、まだまだ続くようです。

編集後記

いつものように、国際通貨基金(IMF)の「ちょっかい」が始まった

 報道によると、「国際通貨基金(IMF)の対日審査団長を務めるラニル・サルガド氏は14日、日銀は植田和男新総裁の下で金融緩和策の柔軟化に努めるべきだと表明した。」とのことです。日本の物価見通しは「上下双方向に振れるリスクがある」と指摘して、全体として引き続き金融緩和策を維持しつつ、インフレが進む事態にも備えるよう促したのです。

国際通貨基金(IMF)は、財務省の巣窟機関・・・

 読者もご存じのように、財務省から人員も派遣していて、国際通貨基金(IMF)への拠出金が米国に次いで2番目に多額のお金を支出しているのが日本です。
 今やIMFは、海の向こうから『日本をコントロールする財務省の巣窟となっている国際機関』なので、日本政府や米国政府から指示があれば、政策に沿う発言を行い、後生大事に有り難がる政府関係者の守護神となっています。

エレン米財務長官、「米追加利上げの停止」を認め始める・・・

 イエレン米財務長官は、報道機関CNNとのインタビューで、「最近の銀行破綻を受けて金融機関が慎重になり、融資を一段と引き締める可能性があり、連邦準備理事会(FRB)の追加利上げが不要になる可能性がある。」と述べました。


「米国経済への銀行与信が制限されて、FRBが行う必要のある追加利上げの代わりになる可能性がある」ということです。つまり、『銀行融資が厳しく制限されれば、経済活動に翳りが生じて自然と物価が落ち着く。』と述べたにも等しいのです。
 条件付きながら、財務トップの同長官(前FRB議長)が『追加利上げが不要』に言及したことは特記事項です。


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