米国株 -『正しいものは美しい』

米国市場で「フルインベスト投資」を目指します。

4/17【番外編】ブラックロック社へ資金の大量流入が判明...

 ブルムバーグ紙の報道によると、3月の銀行預金の引き出し騒動以降、米ブラックロック社ファンドへの資金純流入額が大きく拡大していることが判明しました。同社の運用資産は1-3月(第1四半期)に9兆900億ドル(約1210兆円)に拡大しています。米銀数行の破綻を受けて、同社のファンドへ資金が大規模に流入したことが背景にあります。


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FRBの金利引き上げの都度、預金から証券類へ資金移動が起こる・・・

 これなど、FOMC開催の都度、金利上昇に敏感に反応する預金者が、高金利商品へ資金移動を進めていたからに他なりません。この動きは「3月の取り付け騒動が起こる前から」確実視されていたことです。
 FRBは昨年の3月以降、金利引き上げに強く言及、市中金利が急上昇していることから、今なお「浮遊魚の如く」高金利を求めて大口資金が彷徨い始めています。

『不労所得』を求め続けて、行き着く先は「米ブラックロック社」!

 14日の発表によると、同社ファンドへの資金純流入額は1100億ドル。投資家や顧客らが債券上場投資信託(ETF)に資金を移した。ミューチュアルファンドやETFなど長期投資商品への純流入額は1030億ドルにも上り、アナリスト予想平均の841億ドルを半端なく大きく上回っています。

米ブラックロック社CEOは、預かり資産拡大へ自信満々のご様子...

 米ブラックロック社のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)によると、地銀の健全性を巡る「信頼の危機」を背景に、本年3月には400億ドル(5兆2800億円)余りが同社の現金運用商品に流入したとのことです。
 3月の騒動で、銀行は決済資金の預入先であり、余剰資金の運用先ではないことを、自ずと預金者へ認識させた感があります。IPO等のしがらみを断ち切って、地銀預金から証券ファンドや大手銀行預金へ「資金移動」が起こっていることなのでしょう。


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膨れ上がる同社の預かり資産額

 同氏は「預金流出は増えており、それらはETFやあらゆる形の現金ファンド、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に流入している。」と発言。「この種の混乱は、当社にさらなる機会をもたらすだろう」と述べたようです。同社運用資産は昨年末時点の8兆6千億ドルから5.8%増加しています。投資資金を全て飲み込む勢いを感じます。

市場の急変を受けても、同社のダメージは限定的...

 ご承知のように、米ブラックロック社の運用は独自の資産運用の形態をとらず、米株式へのETFの組成、米政府発行の債券のパッケージ化など、市場との連動性を取る「手数利用ビジネスが主流」です。万が一、価格の急変動が生じて資金流失となった場合でも、同社が受ける損失は限定、相場急変で最もダメージを受けるのは顧客資金です。この点が、銀行預金と投資会社の預かり資金との最も大きな違いです。

米株式市場の高値安定は、これら資金流入に拠るところが大きい!

 FRBが金利を引き上げ続けていても、米株式市場が比較的安定しているのは、株式をパッケージ化した「ETF」へ、この種の資金が流入し続けている多分にあると推測されます。様子見資金は短期債券の運用先となっている「MMF」へ流入しています。
 なお、MMFは、証券投資への待機資金の受け皿として活用されていることもあって、所謂『逃げ足も速いマネー』と見られています。

米2年物債券利回りが再び4.0%を超えている

 今週末、米2年物債券利回りが再び4.0%を超えて来ているので、少しでも高い利回りを求めて「資金」が彷徨っています。FRBの利上げを伴った新規債券の発行が続き、彷徨える大量の資金が同市場へ入り込んできても、債券利回りの低下が起きない(債券買いが売りを上回らない)ことに、私など素人は毎回驚いています。市場の底流には、底知れぬ莫大な資金が蠢いているのではないでしょうか?


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日本の低金利政策と、米市場へ日本マネーの浸透化?

 考えられ事は、日本銀行が長年実行している「マイナス金利政策」「日銀による日本国債買い入れ」「日銀による日本株ETFの買い入れ」等で有り余ったマネーが、米国を主戦場として徘徊しているのではないかというものです。
 この推測が正しければ、新しい日銀総裁(植田和男氏)による運用変更、つまり0.25%程度の金利引き上げが実施された場合、最も影響を受けるのは『世界、なかでも米国の金融市場』であることになります。日銀総裁や数名の理事達が、日本国内だけの理屈で簡単に利上げを決められるレベルを、もはや超えているのではないでしょうか?

編集後記

 バフェット氏率いるバークシャー社が、再び日本円で低利起債し金儲けに余念がない中、バフェット氏の日本株礼賛と再投資など、心にもないことが続く「奇妙な出来事」が起こっています。一般的に著名投資家は、今どの銘柄に投資しているなど、公に発表、肯定、否定さえ何もしないものです。
 嘗て、ジョージソロス氏は某社からインタビューを受けていて、「今、投資されている銘柄はどこですか?」と聞かれるや、「そんなこと、言えるものか!」とピシャリとたしなめた、という記事がありました。これが名だたる投資家の感性でしょう。

事の発端は、FRBのインフレ誤認による「利上げ開始の遅れ」に尽きる!

 私などは、今回の預金流出や徘徊騒動の元を突き詰めると、昨年3月以降、FRBによる急速な市中金利引き上げ(4%強)によるものと結論付けています。気になる項目を上げると次のようになります。どのように解釈しても、パウエル議長の責任が重大です。

  • FRBが「ゼロ金利政策」を長く続け過ぎた事。
  • FRBが「インフレの芽」を誤認して摘み損ね、利上げ開始タイミングが遅れた事。
  • 利上げが遅れたことで、毎度の大幅な金利引き上げが市場を混乱に陥れている事。

MYポートフォリオ構成(ドル建てMMF、ドル建て現預金)

 確定申告で税の戻りが大分とあったので、現預金が一時的に増加しています。ドル建てMMFとドル建て現預金を米株と並列に並べてみました。


ドル建てMMFの源泉徴収税は、円貨計算で行う・・・

 ドル建てMMFを「円安の時に預入」して「円高の時に引き出す」と、所得税の源泉徴収の計算を、日本円に一旦戻してから行いますので、予期せぬ結果が待ち構えていることがあります。
 同年内に譲渡益や配当所得がない、あるいは少ない場合は、『株式との損益通算処理後であってマイナス計上』となってしまうことです。上手く立ち回ると、「ドルの円に対する減価」を徴収済みの国税・住民税を取り戻すことで、カバーできてしまうのですが...。
 ドル定期預金とは税処理の考え方、処理の方法が異なりますので十分に注意下さい。後々、後悔しないように・・・。

(実例)MMFの損益額▼224,580円の現状で、全額を払い出すと・・・

 保有しているドル建てMMF88,310ドルを外貨受取で全額売却すると、今、若干の円高気味なので▼224,580円の損失が発生します。あなたが『特定口座の源泉徴収あり』を選択している場合、譲渡益の元金が224,580円以上あるなら、「株式等の損益通算処理」で徴収税率15.315%(他に地方税5%)の最大45,624円が還付されるのです。
 払戻金は「88,310ドル +1ヵ月未満の利息」、ドルベースでは利息分が増額となります。なお、譲渡益がなく、配当金(分配金)だけの場合も同様ですが、還付方法が異なります。


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